CFOになるには|求められる経験・スキル、キャリアと具体的な方法を解説

公認会計士の転職

更新日:2023/11/30

公開日:

CFOは「Chief Financial Officer」の略称です。日本語では「最高財務責任者」と訳されます。

近年は日本でもCFOを置く企業が増えつつありますが、まだそれほどなじみ深いポジションではなく、CFOとして活躍されている方の数は多くありません。そのためCFOになりたいと思っても、具体的な目指し方や求められる経験・スキルが分からないという方もいるでしょう。

この記事ではCFOの概要や仕事内容などを説明したうえで、評価され得る経験・スキルや転職活動の方法、利用するべきサービスなどについて解説します。

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CFOとはどんなポジションなのか

まずは、CFOがどんなポジションなのかを知るために役割やほかのポジションとの違い、年収などを見ていきましょう。

財務面から経営を支えるCEOのビジネスパートナー

CFOは経営陣の一翼を担います。最高経営責任者であるCEOのビジネスパートナーとして、資金調達や運用などの財務管理業務を統括し、財務面から経営を支えます。企業の資本効率を上げ、企業価値の最大化を図るのがCFOに与えられたミッションです。

CEOが経営方針の決定や計画を行い、それにもとづき財務管理業務を執行するのがCFOという形になります。CFOは欧米では確立されたポジションであり、早い段階から経営に参画します。

財務部長との違い

CFOは最高財務責任者と訳されることから、財務部長と同じようなポジションだと考える人が少なくありません。しかし財務部長とCFOには違いがあります。

財務部長は社内の財務業務が適正に行われるように財務部門を統括する立場の管理職です。これに対してCFOは財務部門だけでなく、社内全体の財務業務や財務環境、財務戦略をマネジメントします。

また財務部長はあくまでも財務部のトップでありいわゆる中間管理職ですが、CFOは経営幹部であるという違いもあります。

CEO・COO・CTOなどとの違い

  • CEO:「Chief Executive Officer」の略で、最高経営責任者のことです。企業全体の業務執行に関するトップのことで、日本では社長とイコールになることが多く、代表取締役社長がCEOを兼任するケースがよくあります。
  • COO :「Chief Operating Officer」の略で日本語では最高執行責任者と訳されます。製造や開発、マーケティングといった事業活動に関するオペレーション業務を統括するポジションです。
  • CTO:「Chief Technical Officer」の略で最高技術責任者のことです。研究開発技術や製造技術といった専門技術を用いる技術部門のトップとして、経営的な視点から技術の活用や方策の策定などを行います。

上記のほかにCLO(Chief Legal Officer:最高法務責任者)やCAO(Chief Administrative Officer:最高総務責任者)、CMO(Chief Marketing Officer:最高マーケティング責任者)などさまざまなポジションがあります。

CFOの年収

CFOの年収は1,000万~5,000万円と非常に幅があります。とくに上場企業やベンチャー企業、外資系企業といった種類による違いが大きいため、どの企業のCFOなのかによって変わります。

ひとつ傾向を挙げるとすれば、上場企業や外資系企業のCFOはとくに高年収です。年収相場は2,000万円台半から始まり、外資系企業では5,000万円に到達する場合もあります。

一方、ベンチャー企業や中小企業では1,000万円台にとどまるケースが多くあります。ただしベンチャー企業の場合はストックオプションを付与されるケースもあるため、上場企業や外資系企業と比べてトータルでの報酬額が必ずしも低いわけではありません。

CFOの主な仕事内容

CFOは具体的にどのような業務を行うのでしょうか。主な仕事内容について解説します。

資金調達

企業がビジネスを推進するには、もっとも効果的なタイミングで適切な量の資金を投入する必要があり、その役割を担うのがCFOです。

金融機関や投資家などの資金調達先に対して自社のビジネスモデルや財務状況、返済計画等を的確に説明し、交渉のうえで資金を調達します。

財務戦略および財務計画の策定・実施

CFOはCEOが立てた経営戦略において重要な財務機能を運用するために、財務戦略および財務計画の策定・実施を行います。

財務戦略は企業全体の財務について中長期的に取り組むための戦略を立てることです。財務戦略にもとづき財務計画を立てることで社内外に対するアプローチの有効性が増します。

株主や投資家への説明

企業は、企業の所有者である株主や資金を提供してくれる投資家に対して、自社の事業や経営判断の合理性について説明する責任があります。その役割を担うのが財務責任者であるCFOです。

IPO関連業務

IPOを目指すにあたり管理部門の体制整備が重要項目となる中で、その舵取りを担うのもCFOに期待されることです。

たとえば内部統制の構築や各種規程の整備、上場申請書類の作成や監査法人の選定といった業務があります。

IPOを目指す企業ではビジネスの推進が優先されるため事業部門の拡大のみに注力しがちですが、本来は成長ステージの早い段階からCFOの参画が求められます。

CFOになるにはどんな経験・スキルが必要なのか

CFOは多角的な側面から自社の経営状況を分析し、CEOへ提言する必要があるため、非常に幅広い経験・スキルが求められます。

特定の経験やスキルがあればCFOになれるわけではありませんが、以下の知識や経験・スキルがあると評価される可能性があります。

財務・会計・経理分野の知識

CFOが自社の財務状況や経営成績を的確に把握し、ステークホルダーに対して透明性の高い財務情報を提供するには財務領域の知識が不可欠です。会計や税制、ファイナンス、リスクマネジメントなどの幅広い知識が求められます。

会計基準や税法等の法令は頻繁に改正が行われるため、知識は適時アップデートする必要があります。

経営戦略の策定・執行の経験

CFOはCEOなどとともに意思決定を行い、経営責任を負う経営幹部の一人です。したがって経営者的な視点や知識も必要です。

財務戦略をいかにして経営戦略に盛り込むのかが重要であり、財務数値の面からCEOに提言する機会が多々あるため、経営戦略の策定・執行の経験があると評価されます。

マネジメント・人事分野の知識や経験

財務的な視点で企業全体を見渡すポジションであることから、財務知識だけでなくマネジメントや人事分野における知識や経験も必要です。とくに規模が大きい企業ほど人員数が増えるため、個々の人材を直接マネジメントするのは困難になります。

その場合、各部門を統括する管理職をマネジメントし、CFOとしての考え方を浸透させることが必要です。企業における最大のコストである人件費をコントロールし、多面的に検討・決定するためのマネジメント力も求められます。

高度なコミュニケーションスキルや英語力

CFOは業務プロセスの構築や各種規程の整備などを行う中で社内のさまざまな部署と調整やコミュニケーションを図ります。

また株主や投資家などへの説明では透明性の高い財務情報を提供するとともに自社がリターンを生み出せる魅力的な投資先であることをアピールしなければなりません。

社内外の多様な立場の人とのコミュニケーションが発生するため、高度なコミュニケーションスキルが必要です。

ビジネスのグローバル化が進む現在では、海外投資家に向けた説明やアピールも必要となるため、英語力も求められます。

IPOの準備経験

IPO準備企業のCFOになる場合、IPOの準備経験が求められます。IPOの準備ではIRや開示業務、会計書類の作成や整理、内部監査対応など幅広い業務を行います。

IPO準備経験者は重要な職責を担っているケースが多いことから、これらの業務経験に加え、マネジメント業務の経験もある場合が多いでしょう。

CFOになる人たちのキャリア

CFOになる人たちはこれまでにどんなキャリアを積んできたのでしょうか。それを知ることで、逆算してどんなキャリアを積むのが有効なのかの判断材料とすることができます。

財務・経理分野のマネージャー

財務諸表を読み解き自社の経営状況を正しく判断する必要があるため、財務・経理畑で経験を積んできたというのはCFOの王道のキャリアです。

とくに財務マネージャーや財務部長クラスは自社の資金状況を把握し、資金計画や出納計画等を報告する役割を担うため、CFOになれる素養があります。

実績が認められて自社のCFOになるパターンだけでなく、実績をアピールして他社のCFOになるパターンもあります。

経営企画

自社が将来にわたり成長を続けていくには、企業やビジネスモデルを取り巻く環境の変化をいち早く察知し、分析・判断しなければなりません。そうした業務を行うのが経営企画です。

CFOにも経営者的な視点が求められることから経営企画でキャリアを積んできたケースも珍しくありません。

監査法人

監査法人では監査知識や会計知識のほかに、クライアントの事業内容やビジネスモデル、事業戦略などに関する知識や経験を身につけることができます。

特にクライアントがグローバル企業だった場合や、実際にクライアントを上場させた経験がある場合などには評価が高まるため、経験をもとにCFOになるケースがあります。

ただし監査法人から転職してストレートでCFOになるのは難易度が高く、コンサルティングファームや事業会社の経営企画等での経験を挟んで最終的にCFOになるパターンも多く見られます。

コンサルティングファーム

コンサルティングファームもCFOのキャリアとして比較的多くあります。とくに戦略コンサルや経営コンサルでは業務効率化や営業力向上、企業価値を正しく把握するためのノウハウを、実務経験を通じて習得できます。こうした実務経験を評価され、CFOに招聘されるパターンです。

戦略コンサルや経営コンサルはそれ自体の就職難易度が高く、監査法人や事業会社の経営企画等での経験に加えて地頭のよさや体力・精神力など多様な要素が求められます。そのため戦略・経営コンサル出身ということで高く評価される場合があります。

証券会社や投資銀行

財務知識や財務分析能力が不可欠のCFOは証券会社や投資銀行など金融業界の出身者から選ばれるケースもあります。投資銀行の出身者であればM&Aの経験も活きるでしょう。

ただし証券会社や投資銀行ではあくまでも外部から企業や事業を評価する立場にあたるため、経営の内側から関われる事業会社の経営企画や経営コンサルといった経験を積んでからCFOになるケースもあります。

CFOになるために有利な資格はあるのか

CFOを目指すうえでスキルを磨きたい、具体的には何か資格を取得するべきではないかと考えている方もいるでしょう。

CFOになるために有利な資格はあるのでしょうか。資格の種類や有効性について解説します。

資格を取得すればCFOになれるわけではない

CFOになるために必ず求められる資格はありません。したがって資格の取得とCFOへの転職は必ずしも結びつかない点は理解しておく必要があります。

とくに長い年月を要する難易度が高い資格の取得を検討する場合は、資格の取得が目的とならないよう、自身の年齢や保有スキル・経験等も踏まえて慎重に判断することが大切です。

FASS検定

FASS検定は経理・財務分野における客観的な実務知識とスキルの習得度を測る試験です。日本CFO協会が経済産業省の委託事業として運営しているため一般的な認知度が高く、評価の対象となる可能性があります。

将来の経営幹部を目指す人向けの検定試験なのでCFOを目指すうえでの取っかかりとして受験してもよいでしょう。

MBA

MBA(Master of Business Administration)もCFOになるために役立つ資格のひとつです。MBAでは財務スキルを習得したり、ケーススタディなどを通じて経営戦略を体系的に学んだりすることができます。

また海外のビジネススクールで学んだことが英語力や多様な人材への対応といった点で評価される可能性があります。

公認会計士

財務領域での知識やスキルを保有している客観的な証明度の高さから、公認会計士もCFOになるために有効な資格です。実際のCFO求人でも公認会計士が尚可資格として記載されているケースが少なくありません。

ただし公認会計士資格を取得してからまもなく、実務経験に乏しい場合は評価の対象となりません。監査経験のみで資金調達や上場準備経験などがない場合もCFOへの転職は難しいため、資格に加えて有効な実務経験を積むことが大切です。

CFOになる方法

ここからはCFOになるための具体的な方法について解説します。

前提として、CFOになるには一般の転職サイトを使って求人を探すのは困難です。企業の経営戦略上極めて重要なポジションであるCFOの求人が公開されることはほぼないためです。

したがって、CFOになるためには以下の方法が中心となります。

社内で昇進する

まずは社内での昇進を目指す方法です。この場合は財務や経営企画での経験を積みながら地道に昇進を目指していきますが、自社にCFOポジションがあることが前提となります。

ポジションがあっても空きがなければいつCFOになれるのかはわかりません。

とくに大企業や上場企業のCFOは個々の能力だけでなく組織内での関係構築能力など複合的な要因が絡むため、場合によってはあまり現実的ではないか、長い年月がかかるでしょう。

リファラル採用経由で転職する

企業が自社の社員から人材の紹介を受ける形のリファラル採用を通じてCFOを目指すパターンです。

求職者の側から見ると、CFOを求めている企業に知人がいること、その知人に自身の経験やスキルを理解してもらっていることを前提に紹介を受けられる可能性があります。

したがって、このような知人がいない場合には使えない方法です。

スカウト型転職サイトでスカウトを受け取る

スカウト型転職サイトというのは、サイト上で職務経歴書を登録することで、それを見た企業やヘッドハンターからスカウトを受けるタイプの転職サイトのことです。

スカウト型転職サイトはハイクラス人材をターゲットとしていることが多いので、CFOを必要とする企業が利用している可能性があります。

受けたスカウトの数や内容を確認することで自身の市場価値を判断できるため、その意味でもまずは登録してみてもよいでしょう。

転職エージェントの利用

CFOの募集は非公開で行われるため、非公開求人の紹介を受けられる転職エージェントも有効な方法です。

CFO求人を自力で見つけるのは困難ですが、転職エージェントが求職者の代わりに希望の条件にマッチする求人を探し出してくれます。

求人企業に対して丁寧なヒアリングを行っているエージェントであれば、企業の事業内容や募集背景、内部事情等の情報も提供してもらえます。

もっとも、転職エージェントにもいろいろ種類があるので、エージェントの選定には注意が必要です。CFOを目指す場合は経営幹部やハイクラス人材、公認会計士等の高度専門職などを扱っているエージェントを選びましょう。

CFOを目指すなら活用するべき転職エージェント・転職サイト

最後に、CFOを目指す方におすすめの転職エージェントおよび転職サイトを紹介します。

Hi-Standard公認会計士

CFO_PC

公認会計士の転職に特化した転職エージェントです。監査法人や会計事務所の求人だけでなく、事業会社の財務や経理部門の求人も扱っています。

キャリアカウンセリングを丁寧に行っているため、CFOになるための実績を積める転職先や必要なキャリアについて相談できます。

公式サイト:https://hi-standard.pro/cpa/

レックスアドバイザーズ

公認会計士や財務・経理の転職を専門とする転職エージェントです。とくに将来の幹部候補やマネージャークラスポジションの転職に強みを持ち、豊富な実績があるため、CFOを目指すなら相談しましょう。経験豊富なレックスアドバイザーズ独自のコンサルティングを受けられます。

ビズリーチ

ビズリーチ

ビズリーチは経営幹部や管理職・専門職などのハイクラス人材を対象としたスカウト型転職サイトです。登録するとスカウトを受け取れるので、CFOを求める企業と直接コンタクトを取れます。一定の基準を満たした優秀なコンサルタントに相談することも可能です。

JAC Executive

JACリクルートメント

経営幹部ポジションに特化した転職エージェントです。企業と幹部候補者双方の考え方やパーソナリティも考慮したうえで最適な紹介を行っています。国内外に豊富なネットワークがあるため、希望に合致した求人紹介を受けられる可能性があります。

パーソルキャリアエグゼクティブエージェント

パーソルキャリアエグゼクティブエージェント

エグゼクティブポジションに特化したヘッドハンティングサービスです。職務経歴書を登録するだけでヘッドハンターからスカウトを受け取れるサービスと、自分でハイクラス求人を検索・応募できるサービスの2つがあります。業界大手のdodaが提供するサービスなので転職サポートのノウハウが豊富で、丁寧なコンサルティングを受けられます。

クライス&カンパニー

クライス&カンパニー

クライス&カンパニーでは取締役等のエグゼクティブポジションの転職支援を行っています。紹介企業の7割以上が経営者や経営層とのダイレクトルートなので高い合格率を保持しています。一度の転職ではなく「生涯価値」の向上にコミットしたサポートが売りなので、キャリア相談をするだけでも価値があります。

まとめ

CFOはCEOのビジネスパートナーとして財務面から経営を支えるポジションです。CFOは幅広いスキルや能力が求められ、そのキャリアもさまざまです。

CFOになるための絶対的な方法は存在しないため、自身のスキルや経験を棚卸ししたうえで現時点での転職可能性や必要な業務経験等を探っていきましょう。

客観的な視点が必要となるため、転職エージェントにキャリア相談をすることもおすすめです。

edit_note この記事を書いた人

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ハイスタ編集部

一般事業会社の経理・財務・CFO候補に加え、監査法人・会計事務所への転職支援サービスも充実。転職成功事例や充実したサポート体制をお約束します。

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