40代税理士の転職事情|おすすめの転職先や転職を成功させるためのポイントを紹介

税理士の転職

更新日:2024.04.17

公開日:

「40代の税理士は、転職市場で需要があるのか?」

「40代の税理士が転職するとき、求められることは何か?」

転職を検討する40代の税理士の方で、このようなお悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか。

一般的に転職における年齢の壁は35歳と言われており、40代になると転職が難しいとされています。一方で、税理士は40代も転職市場価値が高く転職できる可能性が十分にあります。

40代であっても、業界内転職のほかに事業会社やコンサルティングファームなど、多様なキャリアパスのなかから選ぶことが可能です。

ただし年齢に見合ったスキル・経験が求められるとともに、希望のキャリアによっては転職難易度が一気に上がるケースもあります。

では、40代の税理士が納得できる転職を実現するにはどのような点がポイントになるのでしょうか?

本記事では、40代税理士の転職をテーマに、転職事情や転職先の選択肢をご紹介します。選考で適当なアピールがしやすいように、40代税理士に期待される要素や注意点もあわせて解説します。

転職を検討している40代税理士の方は、ぜひ参考にしてみてください。

40代税理士の転職事情

40代の税理士が転職市場でどのように捉えられているのか、どんな理由で転職しているのかなど、転職事情を解説します。

40代は税理士業界では若手

一般的に40代という年齢はベテラン層に位置づけられることが多く、転職市場でも求人が少なく転職が難しくなってくる世代です。

一方で税理士業界では高齢化が進んでおり、60歳以上が半数以上を占めます。40代以下が占める割合は全体の3割に満たず、20代30代の税理士は40代以上に少数派です。

そのため40代は税理士業界ではまだまだ若手とみなされることが多く、転職可能性が十分にあります。40代税理士が応募可能な求人は少なくありません。

※参考:税理士の魅力とリアル|日本税理士会連合会

40代でキャリアアップのために転職する税理士は多い

40代税理士は「将来的に独立開業を目指し、後継者になれそうな事務所を見つけたい」「何歳になっても税理士として働き続けるために価値を高めたい」など、自身のキャリアを積極的に形成したいという前向きな価値観をもつ方が多いです。独立する人が多かったり、中小規模の事務所が多かったりするため、自立して業務をおこなっていく意識が強いと考えられます。

また最近では専門分野を持つ税理士や事務所が勢いを増しており、専門性を高めるために事務所を移る税理士も少なくありません。専門性を持つことでほかの税理士と差別化し、市場価値を高める意向が高まっています。

そのため40代でも転職に積極的な税理士が多く、受け入れる側も優秀で意欲的な人材を歓迎しています。

40代税理士は経営への貢献を求められる

40代の税理士が転職する際、実務経験や知識を求められるのは大前提です。採用側は、経営を推進してくれる40代を求めています。

例えば、現職でトップの売上実績をもち、営業力やコミュニケーション能力、人脈をもつ40代税理士は魅力的です。または後輩の育成や案件管理、業務効率化に知見があり、事業を支えてくれるような40代税理士も需要があるでしょう。

貢献の仕方は様々ですが、いずれにせよ経営を支える柱の一人となってくれることを求められるでしょう。

40代税理士におすすめの転職先

40代税理士の転職先候補としては、以下の4つが挙げられます。

会計事務所・税理士法人

まず考えられるのが会計事務所や税理士法人など、業界内で転職するパターンです。

実務スキルや専門知識をダイレクトに活かすことができるため、採用される可能性が高いでしょう。

会計事務所や税理士法人でも規模や専門分野によってクライアント・業務内容に違いがあるため、案件規模が大きい事務所や専門分野に特化した事務所を選ぶことでキャリアアップが実現します。

事業会社の税務・経理・財務ポジション

事業会社の税務や経理、財務のポジションも、税理士の専門知識を活かせる転職先です。

税法の変更にともなう対策の立案や税務調査の対応など、税理士としての経験が活かせる場面も多くあります。

クライアントワークの会計事務所・税理士法人と異なり、自社の財務の健全性維持や経営戦略の策定に当事者として関わることができるため、やりがいを感じやすいでしょう。

コンサルティングファーム

税理士としての知識や経験は財務改善の提案やビジネスの戦略立案などに活かすことができるため、コンサルティング業界でも評価されます。とくに財務アドバイザリー系のファームでニーズが高いです。

コンサルティングファームへの転職は税務の知識や経験だけでなく、高いコミュニケーション能力やプロジェクトマネジメントスキル、論理的思考力など複合的なスキルが求められます。

金融機関

豊富な経験と専門知識がある40代の税理士は、金融業界でも評価されます。金融機関では、M&Aや事業承継、融資など専門性が高いアドバイザリー業務で活躍できます。

また、金融機関のバックオフィス部門でもキャリアを展開できる可能性があります。金融機関のバックオフィスでは自社の経理・税務業務もありますが、売買取引の事務処理や市場取引をおこなうフロントオフィスの支援業務もあり、金融業界独自の高い専門性が身につきます。

40代税理士に期待される3つの要素

会計事務所や税理士法人などの転職先において、40代の税理士は以下のような役割を担うことが期待されます。

事務所のマネージャーや後継者候補としての素質

40代の税理士は事務所の持続的な成長と発展を支えるために、マネージャーとして顧客管理や業務管理、スタッフの育成などにおいて重要な役割を果たすことが期待されます。

また所長が高齢で後継者不在の場合には、後継者候補として、あるいは事務所の将来を見据えた戦略立案や若手職員の育成に貢献できる人材として期待されることもあるでしょう。

若手とベテランの橋渡し役になること

職員の年齢構成の改善を目指す事務所では、20代・30代の若手税理士と50代以降のベテラン税理士との橋渡し役として40代税理士の活躍が期待されます。

日本では就職氷河期やリーマンショックなどの際に新卒採用が抑制された結果、「ひょうたん型」と呼ばれる年齢構成の事務所や企業が多く生まれました。この場合、ベテラン層と若手はそれぞれが直面する課題や悩みを理解できないことが多く、職場内が年齢層によって分断してしまい協力体制が構築できていないことがあります。

そこで中間層の40代税理士が若手とベテランの橋渡しをおこない、組織力を強化することが期待されます。

ビジネスマンとして完成度が高いこと

40代になると税理士としてだけでなく、ビジネスマンとして完成されており、基礎的な教育や指摘が必要なくむしろ教育側として活躍してくれることが期待されます。

税理士に関係なく、40代の社会人はビジネスマナーや社会的な常識が身についており、多様な人とコミュニケーションをとることができることが期待されます。

所内に限らず、クライアントとのやり取りやプレゼンの際に好印象を与えることが期待できます。

未経験でも40代で税理士に転職できる人とは?

いくら税理士業界で40代の需要が高くても、未経験での転職はかなり難易度が高いでしょう。しかし、未経験でも以下2点をどちらも満たす人は転職できる可能性が高まります。

事業会社での経理経験が10年以上ある人

税理士の実務は未経験でも、事業会社での経理経験があれば税理士業務で活かせる部分が大きいため、税理士としてのキャリアに有利にはたらきます。

たとえば事業会社の経理では税務申告やコスト管理などをおこないますが、これは税理士がクライアントの税務申告や財務改善提案などをおこなう際に役立ちます。

また、事業会社で培った課題解決能力やコミュニケーションスキルも、税理士としてクライアントとの関係を構築する際に発揮できるでしょう。

経験年数としては10年以上が目安となります。

税理士資格保持者または3科目以上合格者

税理士資格があれば専門的な知識と高い学習能力をもっていることを証明できるため、税理士実務の経験がなくても転職できる可能性が高いです。

3科目以上合格者も税理士に迫る知識があり、近い将来の資格取得にも期待できることから評価されます。

40代税理士の転職で注意すべき3つのポイント

40代税理士の転職は比較的容易ですが、注意すべきポイントはいくつかあります。以下では特筆すべき3つの注意点を紹介します。

現職と転職先の規模の差

事務所の規模が大きいほど年収も高い傾向があるため、転職で事務所の規模を上げたいと考える40代の方は少なくありません。しかし小規模事務所から大規模事務所への転職を希望するケースでは転職が失敗しがちです。

一般に大規模事務所ではクライアントが大手企業であることが多く、国際税務やM&A、組織再編税務など専門性の高いサービスを提供しています。

一方、小規模事務所では中小企業であるクライアントを相手に税務申告の代理や税務相談、給与計算などを引き受けることが多いです。多様な業務に対応する柔軟性が求められるものの、大規模事務所のような特殊業務を経験する機会はあまりありません。

このため、転職で急激に事務所規模を上げると業務内容のミスマッチが生じることになり、なかなか採用に至らないのです。

ただし税務申告や調査・監査経験に限らず、アドバイザリー業務やデューデリジェンスなど経営に関与する領域をひととおり経験していれば、転職において有利にはたらくことがあります。

経験年数が短く経験した業務の範囲が狭い40代税理士には、転職で事務所の規模を大幅に上げることは難しいということです。

未経験で事業会社への転職

企業経験がない税理士が事業会社へ転職を希望する場合、税理士としての専門知識は評価されるものの、業界特性が強いため40代では転職が難しくなります。

事業会社での勤務経験がないと、チームでの協働や組織内コミュニケーション、プロジェクト管理といった実務スキルが不足しているとみなされるためです。また税理士業界特有の働き方や文化から、一般企業でのスピードや柔軟性を求められる環境への適応も課題となります。

ただし大規模な税理士法人のように組織化されていた環境で働いてきた場合は、40代でも転職できる可能性があります。転職を希望する事業会社と現職を見比べて、類似点や適応可能性をアピールしましょう。

現年収・年収相場と希望年収の差

40代は住宅ローンや子どもの教育費など何かとお金がかかる世代なので、転職で年収を上げたいと考える方も多いことでしょう。しかし年収の大幅アップを期待すると失敗しがちです。

現在の年収から大幅アップを希望する求職者は、採用側から「自身のスキルや経験を過大評価している」と捉えられます。中途採用者の年収は、基本的には現在の年収を基準にして設定されます。よほどの価値があるスキルや経験がない限り、大幅アップは難しいと考えておきましょう。

また経験やスキルに応じた年収相場や転職先の年収相場に見合わない希望年収を提示した場合も、敬遠される可能性が高いでしょう。

とくに40代の場合はすでに年収が高くなっている世代なので、年収維持または若干のアップで転職できれば御の字です。

40代の税理士が納得のいく転職を実現するには

40代税理士が満足度の高い転職をするためのポイントを解説します。

所長税理士の考え方や相性の確認が必須

所長税理士との考え方の一致や相性は、転職を成功させるための重要な鍵となります。

経験豊富な40代の税理士が新たな職場でその能力を発揮するためには、所長との価値観の共有が必要不可欠です。価値観を共有できない場合は不満につながり、早期離職につながりかねません。

所長の考え方や価値観、組織のビジョンなどは事務所のホームページや転職エージェントの情報提供などを通じて確認しておきましょう。そのうえで所長との面接では、専門的な知識や経験をアピールするだけでなく、組織のビジョンに対する理解と共感を示すことが求められます。

常にスキルや知識の習得に努める

40代で税理士としての転職を成功させるためには、スキルと知識の継続的な向上が不可欠です。

この年代は長年の経験と専門知識が大きな強みとなりますが、変化する税法や会計基準に適応し、最新の情報を常に把握しておくことが欠かせません。また、コミュニケーション能力やクライアントとの関係構築能力も、転職市場での競争力を高めるためには必要なスキルです。

これらのスキルを磨くことで、次のキャリアへと進むための確固たる基盤を築けるでしょう。

RPAやクラウドなどの知識を得ておく

40代で税理士としてのキャリアを次の段階に進めるためには、RPA・クラウドサービス・AIといった最新技術の知識があることも必要です。

これらの技術は税理士業務を効率化し、より戦略的な業務に集中するための時間を生み出します。RPAは繰り返しおこなわれる作業を自動化し、クラウドはデータアクセスと共有を容易にし、AIは複雑なデータ分析を可能にします。

これらの技術を活用することで税理士はクライアントに対してより価値の高いアドバイスを提供できるようになるはずです。そのような人材は転職市場においても価値が高いため、転職時に有利にはたらくでしょう。

年収相場を把握しておく

転職市場における年収相場を把握しておくことで、適正な額での年収交渉や、キャリアプランの策定において重要な指標となります。

転職にあたって希望年収を設定する際には、税理士業界の水準や自身の年齢、能力などをもとに現実的な目標設定を行うことが大切です。

相場や自身の経験・スキルを踏まえたうえで市場価値を正確に評価することが成功への鍵となるでしょう。

転職エージェントを利用する

40代は年収水準が高くポジションも限定されるため、20代・30代に比べて応募できる求人が少なくなります。そのため自分だけで求人を探しているとなかなかよい求人が見つからず、転職活動が長期化します。

また事務所や企業の中核を担っており現職が忙しい方が多い世代なので、転職活動に時間をかけられないことも多いでしょう。

転職エージェントに相談すればあらかじめ伝えておいた希望の条件や経歴、スキルをもとにエージェントが適した求人を探してくれます。

エージェントを利用することで一般には公開されない非公開求人にもアクセスできるため、質の高い求人に出会えるはずです。

40代税理士におすすめの転職エージェント3選

税理士は専門性の高い職種なのでエージェントも業界・職種特化型がおすすめです。とくに以下の3社は税理士の転職事情に詳しいため40代にマッチしたキャリアを提案してくれるでしょう。

ハイスタ税理士

ハイスタ税理士は、税理士と科目合格者のための転職エージェントです。経験豊富なハイクラス人材の転職に強みをもつため、40代の方におすすめします。

丁寧なヒアリングと優れた情報収集力で最適な求人を紹介しています。

公式サイト:https://hi-standard.pro/tax/

MS Agent

MS Agent

MS Agentは士業と管理部門に特化した転職エージェントです。特化型として30年以上の実績があり、蓄積されたノウハウを活かしたアドバイスとサポートを提供しています。

MS Agentにしかない限定求人があるのもおすすめのポイントです。

REXアドバイザーズ

REX

REXアドバイザーズは公認会計士・税理士・経理・財務人材を対象に転職支援サービスを提供しています。

シニア、マネージャークラスのサポートをもっとも得意としているため、経験値の高い40代税理士の転職におすすめです。

まとめ

税理士業界において40代税理士は若手に位置づけられており転職のチャンスが十分にあります。

転職を成功させるには年齢相応の経験やスキルが求められる点を理解しつつ、所長税理士との相性見極めやスキルの向上に努めることが大切です。

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ハイスタ税理士

一般事業会社の経理・財務・CFO候補に加え、監査法人・会計事務所への転職支援サービスも充実。転職成功事例や充実したサポート体制をお約束します。

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