税理士補助とは?担う役割や仕事内容などをわかりやすく解説

未経験の転職

更新日:2024.07.18

公開日:

税理士補助は税理士業務を補助する仕事であるため、税理士を目指す人が従事する仕事だと思われる方が多いです。

もちろん、税理士を目指す人が税理士補助として働くケースが多いですが、税理士補助として働けば税務・会計スキルを習得しさまざまな企業の会計に携われます。そのため、税務・会計のスペシャリストを目指す人が働くことも少なくありません。

本記事では、税理士補助がどのような仕事なのか知ってもらうために、税理士補助の概要や仕事内容、向いている人の特徴、目指せるキャリアパスなどを解説します。

税理士補助とは?

税理士補助とは、税務代理や税務書類作成など、税理士業務を補助する仕事です。

事務所によっては、税務アシスタント会計スタッフなどと呼ばれますが、担当している仕事内容には違いはありません。

税理士補助と聞くと税理士を目指す人(税理士科目合格者)だけが従事していると思われがちですが、税理士補助は税務・会計のスキルを活かせる仕事であり、さまざまな会社の会計業務に携われます。

そのため、税務・会計のスペシャリストや、それを目指して働いている人も少なくありません。

税理士補助は未経験かつ資格がなくても目指せますが、業務についていくためには簿記2級程度の知識が最低でも必要です。

税理士補助の仕事内容

税理士補助の仕事内容は、主に次の4つです。

経理業務代行

経理業務代行とは、クライアント企業の経理業務を代行する仕事です。

現在、人件費のカットを目的に経理業務を外注する企業は多いため、そのような企業に代わって経理業務を実施します。

経理業務代行の主な仕事内容は、請求書や領収書、現金出納の仕訳業務や勘定元帳の作成、会計ソフトへのデータ入力などですが、場合によっては決算書の作成まで依頼されるケースも少なくありません。

総務業務支援

総務業務支援とは、人事・総務担当者がいないクライアント企業の人事・総務業務を代行する仕事です。

総務業務支援の主な仕事内容は、給与計算・勤怠管理・社会保険の手続きなど、広範囲に及びます。

クライアント訪問

クライアント訪問とは、個人・法人のクライアントを定期的に巡回して、会計資料を預かるとともに、クライアントの現状をヒアリングする仕事です。

税理士はもちろん、税理士補助も複数の担当を受け持ち、クライアント先へ定期的に訪問するのが一般的です。

税務相談は税理士の独占業務であるため、訪問先でクライアントから税務相談された場合は、相談内容を事務所に持ち帰り、税理士に伝えてから回答する必要があります。

その他

税理士補助には他にもさまざまな仕事があるため、臨機応変に対応していかなければなりません。

具体的な仕事内容として、次のようなものが挙げられます。

  • 税務調査の立ち会い
  • 資料の整理
  • ブログ・SNSの作成・運用
  • 来客の対応
  • 電話応対
  • 税理士のスケジュール管理

税務調査の立ち合いは税理士の独占業務であるため、必ず税理士も立ち会います。

そのため、単独で税務調査に立ち会うというよりは、税理士のサポーターとして調査に同席するという意味合いが強いです。

税理士補助の年収

税理士補助の年収は300万~400万円程度と、一般企業の事務職と同等か少し上回る程度だといわれています。ただし、あくまでも実務未経験者の場合です。

税理士補助経験者が転職した場合は年収400万~500万円程度、税理士試験の科目合格があれば、600万円近くまでアップする可能性もあります。

そのため、スキルアップを目指して他事務所へ転職する場合、税理士事務所での実務経験がある点や、科目合格を果たしている点を強くアピールするとよいです。

参考:税理士補助とは?仕事内容や給料、メリットや転職事例など|仕事・キャリア|税理士・科目合格者の転職・求人なら【マイナビ税理士】

税理士補助に向いている人の特徴

税理士補助に向いている人の特徴は、次の5つです。

  • 税理士を目指している
  • 人とやりとりするのが好き
  • 学習意欲が高い
  • 細かい作業や定型業務の繰り返しが得意
  • リスク低減や効率化が得意

それぞれ詳しく解説します。

税理士を目指している

税理士を目指している人は、最も税理士補助に向いている人です。税理士になるためには、税理士試験合格の他、2年以上の実務経験を積まなければなりません。

そのため、税理士となるべく実務経験を積めるために、税理士補助として働く人は多いです。

人と連携して仕事をするのが好き

税理士補助は多忙な税理士に対して、簡潔に報告・連絡・相談しなければなりません。

また、事務所の顔として、接客対応やクライアントへの電話対応もしなければならないため、人とやりとりするのが好きな人は税理士補助に向いています。

学習意欲が高い

税理士補助として仕事する場合、高い専門性が求められます。

また、2023年10月にスタートしたインボイス制度のように、税務関連の法律は年々改正され、その度に税制や申告内容は変化するため、常に知識をアップデートしなければなりません。

以上の点から、学習意欲が高い人は税理士補助に向いているといえます。

細かい作業や定型業務の繰り返しが得意

税理士補助は個人・企業のお金を扱う仕事であり、細かい数字を負っていかなければなりません。そのため、細かい作業が得意という人は、税理士補助に向いています。

また、税理士補助の仕事は、毎月・毎年定型業務の繰り返しです。

なぜ定型業務の繰り返しになるかというと、税務顧問というサービスは毎年同じ企業の取引を閲覧する性質上、ルーティンワークの比率が高まるからです。そのため、定型業務を淡々と繰り返しできる人も、税理士補助に向いているといえます。

リスク低減や業務効率化が得意

税理事務所は仕訳入力や試算作成、クライアントへの提案・対応など、作業内容は多岐にわたります。

質の高いサービスを提供するためには、事務作業はなるべく効率化し、付加価値の高い業務にリソースを割けなければなりません。

高品質なサービスを提供していくにあたり、業務効率化やリスク対策の仕組みづくりの案出しが得意な方も税理士補助に向いているといえます。

税理士補助として働く3つのメリット

税理士補助として働くメリットは次の3つです。

  • 資格勉強をしながら実務経験を積める
  • キャリアの選択肢が広がる
  • 非正規雇用で働きやすい

それぞれ詳しく解説します。

税理士資格の勉強をしながら実務経験を積める

税理士資格を取得するためには、2年間の実務経験を積まなければなりません。そのため、税理士を目指している方は、税理士補助として働くことで資格の勉強をしながら実務経験を積めます。

そのため、税理士補助として2年間働いていれば税理士試験合格後、すぐに税理士として活躍可能です。

キャリアの選択肢が広がる

キャリアの選択肢が広がるのも、税理士補助として働くメリットの1つです。

科目合格数を増やしたり、試験に合格したりすれば、年収アップはだけでなく、転職しやすくなったり、税理士として評価されやすくなったりします。

また、資格取得の段階から実務経験を積み早い段階で人脈を増やしたり、評価されたりしていれば、早い段階で独立を目指すことも可能です。

非正規雇用で働きやすい

非正規雇用で働きやすいのも、税理士補助のメリットといえます。派遣・パートといった非正規雇用の税理士補助として勤務すれば、繁忙期でも残業免除・早出の理解を得やすいため、ワークライフバランスを両立させやすいです。

そのため、正規雇用と比べると、比較的働きやすいといえます。

税理士補助として働くデメリット

税理士補助として働くデメリットは、次の3つです。

  • 社会保険に加入できない可能性がある
  • 繁忙期は非常に忙しい
  • 業務の幅を広げないとキャリアの幅が狭まる

それぞれ詳しく解説します。

社会保険に加入できない可能性がある

税理士補助として働くデメリットとして、社会保険に加入できない可能性があることが挙げられます。これは個人経営の会計事務所が多い都合上、社会保険に未加入していない会計事務所が少なくないからです。

社会保険に加入できない場合、健康保険は税理士国保、年金は国民年金に加入しなければなりません。そのため、社会保険への加入にこだわるのであれば、転職活動時に労働条件をしっかりと確認しておく必要があります。

繁忙期は非常に忙しい

繁忙期は非常に忙しい

会計事務所の規模にかかわらず、繁忙期(11月~5月)は非常に忙しく、税理士補助であっても、この期間は仕事に専念しなければなりません。

実務経験は積めますが、体力的にも精神的にもハードなため、税理士を目指している方は勉強時間を十分に確保できない可能性があります。

そのため、資格の勉強をしながら税理士補助として働く場合は、繁忙期も踏まえた勉強計画を立てることが大切です。

業務の幅を広げないとキャリアの幅が狭まる

税理士になる前に実務経験を積むという点では、税理士補助はキャリアを積める絶好の機会といえます。

しかし、税理士補助として長年働いても、同じ枠にはまったままだったり、同じ業務をただこなしたりしているだけではキャリアの幅が狭まってしまいます。

キャリアの幅を広げるためには、税理士補助として別会社に転職したり、事業会社で経理を担当したりするなど、業務の幅を広げることが大切です。

税理士補助から目指せるキャリアパス3選

税理士補助から目指せるキャリアパスとして代表的なものは、次の3つです。

  • 税理士になる
  • 経理として企業に転職
  • キャリアアップ・年収アップのための他事務所への転職

それぞれ詳しく解説します。

税理士になる

税理士補助の最適なキャリアパスが、税理士になることです。

税理士補助として働けば、資格勉強で学んだ知識をすぐに実践できる他、すでに一線で活躍している現役の税理士からアドバイスがもらえます。事務所によっては、試験を考慮して有給休暇を取得させてくれたり、資格支援制度や費用補助を設けたりしているなど、税理士になるための支援をしてくれる場合もあります。

経理として企業に転職

経理として企業に転職するのも、税理士補助から目指せるキャリアパスの1つです。

中途採用で経理を募集している場合、前職での実務経験が求められることがほとんです。実務経験の多くは経理の実務経験を指しますが、中には会計事務所の経験も経理の実務経験とみなす企業もあります。

そのため、税理士補助として経験を積んでおけば、経理への転職確率を高められます。

ただし、上場企業・大手企業の経理は、税法よりも企業会計基準の知識が必要なため、経理としていきなり上場企業・大手企業へ転職するのは困難です。

上場企業・大手企業への転職を目指すのであれば、まずは中小企業の経理で経験を積むことをおすすめします。

キャリアアップ・年収アップのための他事務所への転職

税理士補助からのキャリアパスでおすすめなのが、キャリアアップ・年収アップのための他事務所への転職です。ただし、一般的な税務申告のみを提供する事務所へ転職しても、キャリアアップ・年収アップは期待できません。

一般的な税務申告スキルは汎用性が高いものの、希少価値が高くないため、キャリアの幅を広げにくく、年収アップも期待できないからです。

キャリアの幅を広げ、年収もアップさせるためには、国際税務や相続税、ITを駆使したサービス、組織再編税制など、希少価値や専門性の高いサービスを提供している事務所へ転職して、スキルアップを図る必要があります。

まとめ

税理士補助とは、税務代理や税務書類作成等、税理士業務を補助する仕事です。

税理士補助は税理士資格の勉強をしながら、実務経験を積める観点から、税理士を目指す人が働くことが多いです。

しかし、税務・会計スキルを活かせる他、さまざまな会社の会計業務に携われることから税務・会計のスペシャリストや、それを目指している人が税理士補助として働いていることも少なくありません。

ただ、税理士補助は「経理業務代行」「総務業務支援」といった定型業務だけでなく、「クライアント訪問」や「来客・電話対応」など、人と接する業務を担当しなければならないため、コミュニケーション能力も磨いていく必要があります。

また、税理士補助は繁忙期に忙しかったり、業務の幅が広げないとキャリアの幅が狭まったりするため、計画的にキャリアを積んでいないと、キャリアアップしにくくなります。

自分には合わなかった、税理士補助として長く働いたのにキャリアアップしにくくなったという事態を避けるためには、税理士補助で何を目指すのか明確にしたうえで就職・転職することが大切です。

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ハイスタ税理士

一般事業会社の経理・財務・CFO候補に加え、監査法人・会計事務所への転職支援サービスも充実。転職成功事例や充実したサポート体制をお約束します。

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