企業内税理士の年収は658万円?平均年収に加え年収アップの方法・転職成功のコツまで

税理士の転職

更新日:2023.06.20

公開日:

企業内税理士とは、一般企業に所属し、会社員として働く税理士のことです。

税理士というと税理士事務所や税理士法人で働くのが王道のキャリアですが、近年は企業内税理士というキャリアを選択する税理士も増えています

とはいえ、税理士事務所などで働く税理士とは業務内容が異なるため、年収はどれくらいなのかイメージがわかないという方も多いかもしれません。

この記事では企業内税理士に着目し、年収の目安や年収アップの方法、転職時の注意点などを解説します。

 

目次

企業内税理士の年収はいくら?税理士全体の平均年収は658万円

まずは企業内税理士の年収相場を紹介したうえで、ほかの働き方をする税理士や税理士以外の給与所得者との年収比較を行います。

企業内税理士の年収は勤務先の給与体系や役職の有無によって異なる

企業内税理士の年収は、どの企業で働くのか、また役職があるのかどうかで異なります。

企業内税理士は専門職である税理士とはいえ会社員なので、同じ企業で働くほかの社員と別の給与体系が適用されるわけではありません。あくまでも勤務先の給与水準がどのくらいなのかによって決まります。

一般的な傾向を見ると、大手企業なら500万円程からスタートするケースが多く、経理の管理職候補でも500万円からが相場です。

賞与も社内規定にしたがって支払われるのにすぎず、基本的に経理職として働くためインセンティブなどはありません。ただし管理職や高度業務の経験がある場合には600万円以上からのスタートになるケースも多くあります。

税理士全体の年収

賃金構造基本統計調査によると、税理士の年収は「658万5,800円」です。

区 分 企業規模計(10人以上)
年齢 勤続年数 所定内実労働時間数 超過実労働時間数 きまって支給する現金給与額 年間賞与その他特別給与額
  時間 時間 千円 千円
公認会計士,税理士 44.9 7.6  163  11 448.6 1202.6

※企業規模計(10人以上)、きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額で算出。

※参考:令和3年賃金構造基本統計調査|表番号1

企業内税理士の年収は500万円~が目安だったため、税理士全体の年収よりは低いと見ることもできます。

ただし、上記データには公認会計士の年収も含まれているため税理士単体の年収ではありません。また企業規模によっても違いがあるため、あくまでも目安としてお考えください。

税理士事務所で働く税理士との年収比較

税理士事務所で働く税理士の年収は500万~600万が目安とされています。したがって、企業内税理士の年収は税理士事務所で働く税理士と大きくは変わりません。

ただし税理士事務所で働く税理士の年収にはAI・RPAの導入による顧問料の低下や中小企業の倒産など不安要素がいくつかあるため、企業よりも年収が下がる場合があります。

もちろん企業内税理士も勤務先の経営状況が悪化すれば同じように年収は下がる可能性があります。

大手税理士法人で働く税理士との年収比較

大手税理士法人の年収は税理士業界の中でもトップクラスに高く、スタッフレベルでも500万~700万円が水準です。

マネージャー以上になると1,000万円超も珍しくありません。企業内税理士も経理部長クラスになれば1,000万円近くになるケースもありますが、大手企業などに限定されます。

トータルで見れば税理士法人で働く税理士のほうが年収は高いといえるでしょう。

開業税理士との年収比較

開業税理士の年収は営業力や人脈などによって左右されるため、非常に幅広いのが特徴です。

開業が成功しているといえるレベルの税理士でいえば、1,000万~3,000万が相場とされます。開業税理士は自分の努力次第で年収を上げられるため、雇用されている企業内税理士よりも高年収を稼ぎやすいでしょう。

一般的な会社員との年収比較

民間給与実態統計調査によると、給与所得者の平均給与は「433万円」でした。

※参考:国税庁|令和2年分民間給与実態統計調査

算出方法等が異なるため単純な比較はできないものの、ここまで紹介した税理士の年収と比べると低いことが分かります。企業内税理士も会社員ですが、基本的に大手企業へ所属しているケースが多いため、平均よりも高くなっていると考えられます。

税理士が一般企業で年収を上げるには?

企業内税理士の年収は一般的な会社員よりは高いものの、税理士との比較においてはやや低い傾向があります。

せっかく難関の税理士資格を取得したのだから、もっと年収を上げたいと考える税理士も多いことでしょう。企業内税理士として年収を上げるにはどうすればよいのでしょうか。

資格手当が付くなら多少の年収アップは可能

無資格の人が税理士資格を取得して企業内税理士になった場合、勤務先の規定で資格手当があれば年収は上がります。資格手当のない企業で働く税理士が資格手当のある企業へ転職した場合も同様です。

ただし、企業では税理士資格を取得しても資格手当が付くケースは多くありません。税務代理は税理士の独占業務ですが、自社の税務を行う場合は代理ではないため税理士資格がなくても問題ないからです。

経理や財務といった税理士に関わりの深い部署であっても税理士資格に対する資格手当が付くケースは多くないでしょう

また、資格手当が付いたとしても月数千円~1万円のアップが目安となり、大幅な年収アップには至らないと予想されます。

管理職になれば年収は大きく上がる可能性がある

企業内で管理職に昇進すれば年収は大きく上がる可能性があります。

したがって、今の会社にいながら年収を上げるには管理職になるのがもっとも王道の方法です。税理士はほかのスタッフよりも専門的知識が豊富で企業へ貢献できる度合いが高いため、無資格の場合よりも管理職になれる可能性は高いでしょう。

ただし、管理職への登用は実務能力のほかにリーダーシップの有無や社内業務の熟知、勤続年数等さまざまな要素が関係してきます。管理職を目指すほかの優秀なスタッフとの出世争いにも勝たなければなりません。

税理士だからといって必ず管理職になれる保証はありません。

年収水準の高い企業へ転職するのがもっとも近道

企業内税理士が年収を上げるには、年収水準の高い企業へ転職するのがもっとも近道です。

企業内税理士を求めるのは大手・上場企業が多く、年収水準は高めだからです。企業内で管理職の登用を目指すよりもはやく、確実な方法だといえるでしょう。

今より高いポジションで転職する場合も年収が上がる

一般社員の年収水準は同じでも、今より高いポジションで転職すれば年収は上がる可能性が高いです。今の会社で昇進するより、転職を機にポジションを上げるほうが難易度は低いでしょう。

企業内税理士の需要は上がってきている

ここで、企業内税理士の需要について解説します。企業内税理士は税理士のキャリアとして認知されているだけでなく、実際に需要は上がってきています。その理由を確認しましょう。

高度な税務業務が発生する大手を中心に需要がある

企業内税理士を求めているのは大手企業や上場企業が中心です。

これらの企業は国際税務などの高度な税務業務や監査対応、J-SOX(内部統制報告制度)対応といった特殊業務が発生するため、専門的知識を備えた税理士が求められています。

またM&Aや新規事業の立ち上げなどの際に税務会計のアドバイスを必要とされる場合もあり、税理士の需要は高いです。

ベンチャーやIPO準備会社でも税理士を求めている

ベンチャーやIPO準備会社でも税理士のニーズが高い傾向があります。これらの企業は税務の専門的知識をもつ人材が少なく、かつ経営に関してお金の面からアドバイスができる経営コンサルタント的な立場の人材も必要とされているからです。

自社で完結させてコストを抑えるため

企業には顧問税理士がいるケースがほとんどですが、企業内の税理士に一部業務を任せれば外部の税理士事務所に依頼するよりもコストを抑えられます。

そのためコスト削減の観点から税務業務を自社で完結できる税理士を雇うケースも増えています。

外部の税理士よりも社内事情に精通しているため

企業内税理士は自社の社員なので、外部の税理士よりも自社の状況や経営方針、経営者の考え等を理解しています

そのためスピード感のある対応や決定ができます。機密保持やノウハウの蓄積といった観点からも企業内税理士を雇うメリットは大きいでしょう。

高年収を提示されやすい企業内税理士の特徴

高年収を稼ぎやすい企業内税理士には以下のような特徴があります。年収アップに向けてスキルを磨く場合の参考にしてください。

国際税務やM&Aなど高度な税務経験がある

企業内税理士は経理伝票のチェックや決算処理、申告書作成などの一般的な業務のほかに、税理士事務所などではあまり関わらない業務に従事する場合があります。

たとえば国際税務やM&A、連結納税、IFRSの導入やIPOの準備といった業務です。これらの経験がある税理士は希少価値が高いため、高年収を提示される可能性があります。

ITに強い(もしくは知識がある)

IT化・AI化の波はどの業界・業種であっても避けられません。企業内税理士が所属する企業や経理部門でもクラウド対応ソフトの活用に始まり、データや請求書などのペーパーレス化・電子化が進められているはずです。

チャットツールやWebミーティングツールなどITツールの活用も進んでいるでしょう。一般に税理士はITを苦手とする人が多い傾向があるため、ITを使いこなせる税理士はほかの税理士よりも高年収を得られる可能性があります。

説明力・コミュニケーション能力が高い

税理士は税務調査への対応などの対外的な対応にとどまらず、経理部門のスタッフへの指導や他部署への説明などが必要とされる場面が多くあります。ときには経営層に対して高度な助言を期待される場合もあるでしょう。

税理士ではない相手に対しても分かりやすく説明する力が必要なので、コミュニケーション能力が高い税理士は歓迎されます。企業にとって価値が高いため年収が高くなる可能性があります。

企業内税理士へ転職するメリット

企業内税理士はほかの働き方と異なる点も多く、人によってはデメリットだと感じる部分も少なくありません。しかし、企業内税理士という働き方はメリットも大きいため、ひとつの選択肢として考えることをおすすめします。

福利厚生が充実しており有休も取得しやすい

年収は税理士法人のほうが高い傾向がありますが、福利厚生に関しては企業に軍配が上がります。

企業内税理士がいる企業は大手・上場企業が中心なので福利厚生が充実しているケースが多く、住宅手当や扶養手当など収入に直接関わる福利厚生もあります。

労務管理の観点から有休の積極的な取得を促す企業も多いため、有休が取得しやすいのも魅力です。

ほかの働き方に比べるとワークライフバランスを取りやすい

税理士のワークライフバランスは勤務先によって異なりますが、企業内税理士は税理士事務所や税理士法人で働く税理士と比べてワークライフバランスを取りやすい傾向があります。

特に税理士法人で働く税理士は激務なので、税理士法人からの転職ではワークライフバランスを改善できるケースが多いでしょう。

もっとも、企業だからといって必ずしもワークライフバランスが取りやすいとは限りません。転職する際には繁忙期や平時の残業時間、柔軟な働き方の仕組みがあるのかなど実際の状況をよく確認しておきましょう。

グローバルな業務に関われる機会がある

企業内税理士を求める企業は海外展開している企業が多いため、国際税務などのグローバルな業務に関わる機会があります。IFRSを導入する企業も増えているため、英語力を活かすことも可能です。

管理職やCFOなどへのキャリアアップも可能

企業内税理士として働く中で経営戦略立案に関わるなどして、企業経営の知識やスキルを得ることができます。

また税理士は経理部門の職員の指導・管理などマネジメント業務を行う機会も多いです。こうした知識や経験を活かし、税理士の枠にとどまらず管理職やCFOなどへのキャリアアップも可能です。

ああああ

一般企業へ転職する際に税理士が覚えておきたいこと

これから企業内税理士への転職を目指す人は、転職に際して注意するべき点があります。

税理士法人からの転職だと年収は下がるケースが多い

企業内税理士の年収は最低500万円が目安と、その他の職種に比べれば高めです。

ただし税理士の中で比べた場合は、大手税理士法人で働く税理士や開業税理士よりも見劣りしてしまいます。とくに税理士法人から転職する場合は年収が下がるケースが多いので、年収についてはある程度の妥協も必要かもしれません。

企業経験がない税理士は年齢が若いほど有利

税理士のような専門職を採用する場合、企業は「企業での勤務経験」の有無をひとつの判断材料とします。税理士事務所や税理士法人とは組織風土が異なるため、企業独自の風土にマッチするかどうかを気にするのです。

企業経験がない税理士は「組織になじめないのではないか」等の懸念により不採用になるケースも珍しくありません。一般に年齢が若いほど柔軟性があり組織になじみやすいと考えられているため、企業経験がないのなら年齢が若いほど有利になります。

登録しないなら税理士を名乗れない

税理士登録するには開業税理士・所属税理士・社員税理士のいずれかの登録方法を選択する必要があります。

企業内税理士という登録方法はないため企業内税理士が登録する場合は自宅などを事務所として開業税理士として登録します。

なお、「所属税理士」とは開業税理士もしくは税理士法人に雇われて税理士業務を行う税理士のこと、「社員税理士」とは税理士法人で役員として働く税理士のことなので一般企業で働く税理士はこれに含まれません。

開業税理士として登録しない場合は、対外的に「税理士」を名乗ることはできません。名刺に「税理士」と記載したり、税務申告書に税理士として署名したりはできないわけです。

企業内税理士が登録しなければならないケースは限られますが、税理士という職種にこだわりがある方は少し注意が必要です。

登録料や税理士会費の負担有無は要確認

税理士登録するには登録手数料や登録免許税、入会金など諸々の費用がかかります。税理士会に入会する場合は入会金や年会費なども必要です。これらの費用は地域によって差がありますが、登録関係は30万円前後、税理士会費は10万~15万円が目安となり、トータルでかなりの金額になります。

企業によっては税理士の登録料や税理士会費を負担してくれるケースもありますが、企業では税理士資格を必須としないため、企業側のメリットがそれほど大きくありません。

そのため登録料や会費の負担がまったくない企業も少なくありません。税理士登録する予定であれば費用負担についても確認しておきましょう。

業務範囲が限定されるので税理士としてのスキルアップは難しい

企業内税理士は原則として自分が所属する企業・部署に関係する業務のみを担当します。

それでも多岐にわたる業務がありますが、多種多様な業界・業種のクライアントに対応する税理士事務所や税理士法人の税理士と比較すると、業務範囲は限定的です。

そのため税理士としてのスキルアップは難しく、新たなキャリアを展開する場合も企業間で渡り歩くことになるでしょう。将来的に税理士としての独立開業などを目指している場合は税理士事務所・法人で経験を積むほうが有益です。

転勤や異動の可能性はゼロではない

税理士資格が評価されて転職した場合、異動になる可能性はそれほど大きくはないでしょう。

しかし一般企業で働く以上、その可能性はゼロではありません。また転勤ありのポジションで入社した場合は当然ながら転勤の可能性もあります

一方、税理士事務所や税理士法人では転勤・異動の可能性はほとんどありません。この点は企業で働くことにデメリットに感じる人もいるかもしれません。

企業内税理士の転職は転職エージェントに相談するべき理由

企業内税理士の転職は転職エージェントのサポートを受けて活動するのがおすすめです。その理由を解説します。

年収水準の高い企業の求人を紹介してくれる

転職エージェントは求職者の希望に合った求人を紹介してくれます。税理士の場合は企業から評価を得られる可能性が高いため、年収アップの求人も紹介してくれるでしょう。

また大手・上場企業をはじめとする人気が高い企業は応募者が殺到するため、非公開求人になっているケースが多いです。非公開求人は転職エージェント経由でしか応募できないため、その意味でも利用価値があります。

年収交渉をしてくれる

今よりも年収を上げるには内定後の年収交渉も有効でしょう。ただし企業に対して自分の価値を伝え、年収アップに合意してもらうには交渉力が必要です。個人で年収交渉するのは簡単ではありません。

転職エージェントを利用すれば年収交渉を代理してくれます。客観的な視点から求職者の価値を正しく伝えるノウハウがあるため、年収アップにつながる可能性があります

年収以外の気になる情報も提供してくれる

転職エージェントを利用すれば、年収以外にも応募先の詳細情報を提供してくれます。

たとえば職場の雰囲気や実際の残業時間、企業内税理士に求める要素など求人票だけでは分からない情報も入手できます。詳細情報を知ったうえで転職することで転職後のミスマッチを回避できます。

まとめ

企業内税理士の年収は500万円程度がスタートとなるケースが多いですが、どの業界・企業に所属するのか、役職はあるのかによっても異なります。

企業内税理士として年収を上げるには年収水準が高い業界・企業へ転職するのが即効性の高い方法です。

転職の際には転職エージェントを利用することで年収の高い企業の紹介や年収交渉などを受けられる可能性が高いため、年収が気になる方はまずは相談してみましょう。

edit_note この記事を書いた人

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ハイスタ税理士

一般事業会社の経理・財務・CFO候補に加え、監査法人・会計事務所への転職支援サービスも充実。転職成功事例や充実したサポート体制をお約束します。

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