公認会計士におすすめの転職先6種と業界別の求人動向・転職メリットも徹底解説

公認会計士の転職

更新日:2023/07/11

公開日:

2020年からの新型コロナウイルスによって公認会計士の求人も落ち込みがみられるかと予測されました。しかし、もともと公認会計士のニーズが高まっていたことも影響し、それほど悪い結果とはなっていません。

監査法人や会計事務所、会計系コンサルティングファームの求人が変わらず多く、その他にも一般事業会社における経理や新規上場(IPO)を目指しているCFOなどのポジションもあります。

また、専門的な会計知識を活かせる金融機関や投資会社などのM&A関連の求人もあり、公認会計士の転職先は多いといえます。なかでも会計業務の延長線上にある財務デューデリジェンス業務やファイナンシャル・アドバイザリー業務などは監査業務と親和性が高く、とっつきやすい領域です。

ただし、一般事業会社では年齢による給与レンジがあり、のちのち管理職になれる人間を育てたいという意向があるため、若手のほうが採用されやすい傾向があります。

また、監査法人での管理職と一般事業会社での管理職では経験やスキルが多少異なっているところも、年齢が上がると転職しにくくなる要因のひとつです。

一方、会計に関する高い専門性がより重要視される会計事務所やコンサルティングファーム、M&A関連は30~50代であっても積極採用されることが少なくありません。

コロナ禍であっても公認会計士業界の転職動向は暗くないため、ポジティブな気持ちで転職に向き合うとよいでしょう。

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公認会計士が必要とされる転職先|業界・企業ステージとメリットデメリット

それでは、さっそく公認会計士の転職先について解説していきます。上場企業やベンチャー・スタートアップ、PEファンド・ベンチャーキャピタルなど、いろいろ考えられるため、幅広い視野でキャリアプランの再考をしてみてください。

経理財務・決算・株主会対応が必須な上場企業

公認会計士にとって最もスタンダードな転職先のひとつが、経理財務・決算・株主会対応が必須な上場企業です。公認会計士が持っている高度な会計知識を必要としている企業は少なくありません。

上場企業では一般事業会社での勤務経験を持つ方が優遇されます。また、海外進出を図っていたり外国籍の社員を多く抱えていたりする企業なら、英語力が求められるでしょう。

ただし上場企業への求人は、30代前半までをメインとしていることが多くあります。40代になると、一気に選考通過率が下がり、厳しい転職活動となりかねません。

また、上場企業の給与水準は周りの年代と同等程度にそろえられることがほとんどですので、年齢が上がれば上がるほど、転職による給与ダウンの可能性も考えられます。

上場企業では、会計知識はもちろんのこと、社風に合うか、他のメンバーと馴染めるか、といった点も総合的に判断されて採用する流れとなります。

M&A・アドバイザリー業務が主軸の企業

M&Aやアドバイザリー業務が主軸の企業も転職先として考えられます。これらでは、監査法人にて3年以上の経験があると即戦力として期待されることが多いでしょう。少し特殊ですが、ベンチャー・スタートアップ企業に対するIPO(新規上場)支援や上場企業に対するIFRS(国際会計基準)導入などの経験があると、優遇されます。

M&A・アドバイザリー業務が主軸の企業の業績は景気に左右されるところが大きいですが、必ず一定数の案件があるため、通年採用しているところも少なくありません。給与は比較的高い水準にあるため、業務内容が合うなら検討してみてもよいでしょう。

会計監査・上場審査を受けるベンチャー・スタートアップ企業

会計監査・上場審査を受けるベンチャー・スタートアップ企業への転職もあります。ときには、CFO(Chief Financial Officer:最高財務責任者)として迎え入れられることもあるでしょう。

かつては財務におけるコストの管理が主軸でしたが、現在では企業成長のための経営戦略や財務戦略の立案・執行など、さまざまな役割を担わなくてはいけなくなりました。

公認会計士だからといって単純に税務会計をして利益の計算や法人税の計算を行えばよいというわけにはいきません。経理や事業戦略、広報部門といった他部署とも一体化して、企業の成長に向けた提言や発案などを行っていく必要があります。

なお、CFOに関しては、「CFO資格認定」というものがあります。4つのグレードに分けられ、各種の知識を持っていることを客観的に証明可能です。CFO資格認定を持っているから必ずCFOになれるというものではありませんが、転職を検討するときに余裕があるなら取っておいて損はないでしょう。

PEファンド・ベンチャーキャピタル

PE(プライベート・エクイティ)ファンドやベンチャーキャピタルも公認会計士の転職先のひとつです。PEファンドとは、ベンチャーキャピタルやバイアウトファンドをはじめとする未上場株へ投資を行うファンドのことです。

これからという企業の価値を向上させて成長を促すのでやりがいを感じる方も少なくありません。

コンサルティングファーム

他には、コンサルティングファームに転職を考える方もいるでしょう。公認会計士の場合は、「財務・会計系」「税理士法人系」「金融系」へ転職するケースが多くあります。

財務・会計系

財務・会計系コンサルティングファームは、IFRS導入やデューデリジェンス業務、IPO支援などを行います。監査法人で3年以上のキャリアがあると転職しやすい傾向があるので、そのタイミングを見計らうとよいでしょう。

税理士法人系

税理士法人系コンサルティングファームに転職すると、まずは監査業務に近いところであるM&Aに伴うデューデリジェンスに携わることが多くあります。また、税理士法人系コンサルティングファームにてスキルや経験を培った後、独立開業する選択肢もあります。

公認会計士は会計の専門家であって税務の知識は足りないところもあるので、いったん税理士法人系コンサルティングファームに勤めるという着実な道を歩むのが堅実でしょう。

金融系

金融系コンサルティングファームは、他の業種の中でも高い給与水準が魅力です。ただし、業務は激務になりがちですので、ワークライフバランスを重要視する方にはおすすめできません。若手でもチャレンジしやすい環境ですが、金融系コンサルティングファームで定年まで勤め続けるという考えを持つ方は少ないようです。

会計事務所

会計事務所も公認会計士の転職先のひとつです。大手から中小まで幅広い会計事務所があり、選択肢は豊富でしょう。大手・中堅の会計事務所の場合、多くのクライアントを担当でき、業務の幅が広がるというメリットがあります。将来的に独立開業を目指している方におすすめです。

中小の会計事務所の場合、クライアントは中小企業になることがほとんどで、業務内容は税務顧問業務が中心となるでしょう。日本にある企業の95%以上が中小零細企業のため、日本経済を支えるやりがいは感じられるはずです。

公認会計士の主な転職理由とは

続いて、公認会計士の主な転職理由を解説します。あなたもいずれかに当てはまっているかもしれませんね。

スキルや年収をアップさせたい

公認会計士の試験合格者が公認会計士として登録するためには、2年間の業務補助等と3年の実務補習が義務付けられています。そのため、数年間は監査法人で在籍する方が多いでしょう。

しかし、その期間が終わると自分が目指すキャリアを歩んでいきたいと思うのではないでしょうか。また、スキルや年収のアップという欲望が出てきても不思議ではありません。今よりも待遇がよく自分に合った転職先はないか探し始めます。

将来的に独立開業を視野に入れている

公認会計士のキャリアパスのひとつとして独立開業があります。年収2,000万円超えプレーヤーもいて夢があるでしょう。しかし、独立開業はすべてが自己責任です。たしかな会計知識や営業力がないと、経営していけません。

とりわけ、独立開業後は監査法人ではあまり触れなかった税務業務をこなす機会が増えます。そのため、独立開業する前にいったん税理士法人に転職する方も少なくありません

なかでも、小規模の税理士法人なら自分が経営するイメージも抱きやすいでしょう。そういった理由で公認会計士は転職を意識し始めます。

ワークライフバランスを充実させたい

結婚や育児、介護などのタイミングでワークライフバランスを充実させたくなることもあります。公認会計士の業務には繁忙期があるため、自分の都合に合わせて調整するのが難しいことも多いでしょう。

そのため、比較的安定した一般事業会社の経理になる方がいます。今までのスキルや経験に合致するところであれば好待遇で迎え入れてくれるでしょう。なお、入社してすぐに育児休暇を取るのに抵抗がある方は、逆算して転職タイミングを見定めています。

自分の能力を活かせない

ネガティブな転職理由としては、自分の能力を活かせないというものがあります。組織から求められる期待に応えられなくて周囲から仕事ができない人間だと判断され、冷たくあしらわれるのはきついものがあり、継続するのは難しいでしょう。

自分の特性と合った転職先を求めて、求人を探し始めます。やりがいのある仕事や自分の長所・短所に合った仕事はあるはずですので、根気強く向き合いましょう。

激務で疲れた

とにかく多忙で疲れてしまったから転職する方も大勢います。大手の監査法人やコンサルティングファームは求められる基準が高く、作業効率を上げて対応しなければいけないことがほとんどです。

なかなか周囲についていけず、残業を繰り返していると、「もう続けるのは無理だ」と思ってしまうでしょう。

公認会計士が転職を成功させるためにすべき7つの準備

続いて、公認会計士が転職を成功させるためにすべき準備について解説します。転職は何よりも準備が大切です。成り行きで転職してしまうと「思ったのと違った」「これなら前職のほうがましだった」ということにもなりかねません。きちんと順を追って対応していきましょう。

転職すべき理由を明確にする

まず、転職する理由を明確にしましょう。転職を考えたからには何かしらの不満や希望があるはずです。その不満や希望を満たさないと転職は意味を成しません。「なんとなく仕事に飽きた」「とにかくつらい」といった漠然としたものではなく、具体的に深堀りしてください。

私の元々のキャリアの始まりは事業会社であり、事業がダイナミックに動いていく流れの中心に常にいたいという情熱は変わっていなかったのですが、死に物狂いで掴んだ会計士試験合格というチャンスを生かして、会計士たる貴重な経験を得ないと絶対勿体ないなと思い、どの会社でも良いので上場企業の一連の財務・監査を理解することと、監査人としてインチャージ経験を積みたいと考えていました。

引用元:https://kaikeishinorirekisho.com/career/1744/

転職の成功をどこに置くか

次に、転職の成功をどこに置くか設定します。例えば、年収アップを目的とするか、ワークライフバランスの充実を目的とするかによっても、判断が大きく変わってきます。

前者の場合は多少労働時間が増えても年収が上がるなら成功だと捉えられますし、後者の場合は年収が下がっても土日祝日が休めるなら成功だといえるかもしれません。

転職においては「これが正解」というものはなく、自分にとっての正解を模索する必要があります。

キャリア・スキルの棚卸し

転職する際には履歴書と職務経歴書を書くことになります。そこで必要となるのが、キャリア・スキルの棚卸しです。当たり前のように毎日行っている業務にも大きな市場価値があるかもしれません。また、ひとつのキャリアだけではそれほどの値打ちがなくともその他のキャリアと複合して考えると新たな価値を創造できることもあります。

今までどのような案件に携わってどのようなスキルや経験を身に付けてきたのか、書き出して明確にしましょう。

履歴書・職務経歴書はしっかり書く

キャリア・スキルの棚卸しを行ってから、やっと履歴書や職務経歴書の作成にうつれます。履歴書や職務経歴書を書く際に基本的マナーを守るのは当然ですが、とりわけ職務経歴書は企業に貢献できる人間であることをアピールしなければいけません。単純に、経歴を列挙するだけでなく、得たスキルや今後にどう活かすか、といった点も膨らませていきましょう。

転職先の研究は必ず行う

求人に応募する前には、転職先の研究はきちんと行ってください。しっかり把握しておかないと、入社後のミスマッチが大きくなります。

入社早々に仕事へのモチベーションを失ってしまったら働き続けられません。スキルアップのために前向きな転職を何度かする方法もありますが、ネガティブな理由で転職を繰り返していると、状況は悪化します。

たとえ公認会計士の資格を持っているとはいえ、転職先がなかなか見つからないことにもなりかねません。入社後のミスマッチを防ぐために転職先の評判もチェックしてください。

求人情報集めは公認会計士特化の転職エージェントを利用する

転職先の情報収集集めに役立つのが、公認会計士に特化した転職エージェントです。ハイスタ会計士は会計士専門の転職エージェントですが、あえて競合を載せるとしたら「MS Agent」「ジャスネットキャリア」「マイナビ会計士」などもおすすめです。

公認会計士業界の転職市場に精通したキャリアアドバイザーが相談にのってくれて、よい気付きを得られるでしょう。さらに、各転職エージェントに登録しないと知れない非公開求人というものもあります。転職エージェントによっては約8割が非公開求人だそうです。

その他、転職エージェントには以下のようなメリットがあります。

  • 幅広い視野で転職を考えられる
  • 履歴書や職務経歴書の添削を行ってくれる
  • 待遇面の交渉を代行してくれる

これらのサービスを求職者は無料で利用可能です。転職エージェントは、求人掲載費や入社者の成功報酬などを転職先から受け取っているためです。

転職エージェントというと、「リクルートエージェント」や「マイナビエージェント」が有名かもしれませんが、それらは多種多様な業界・業種を扱っており、公認会計士の転職に強みを持つというわけではありません。

圧倒的に「MS Agent」「ジャスネットキャリア」「マイナビ会計士」のほうが有益です。

転職で譲れるものと譲れないものははっきりさせておく

内定をもらった後に入社するかしないかの最終判断に関しては、譲れるものと譲れないもの識別が重要です。転職活動があまりうまくいかないと、内定をもらうことが目的となってしまいがちです。しかし、真の目的は理想とする生活を送れる職場探しです。

すべてが理想通りとはいかないかもしれませんが、妥協できるところとそのレベルを明確に把握しておきましょう。

公認会計士が一般事業会社に転職する際の知っておくべきこと

最後に、公認会計士が一般事業会社に転職する際に知っておくべき注意点を解説します。一般事業会社は人気の転職先ですが、気を付けなければいけないこともあるのです。

年収は数百万単位で下がることは覚悟する

まず、年収がダウンすることも考慮してください。特に年収が高額になりがちな監査法人から一般事業会社に転職すると年収が下がるケースが多くあります。しかし、ワークライフバランスが整ったり福利厚生が充実したりするケースがほとんどですので、メリットとデメリットを見比べたいですね。

攻めの経理ができるとは限らない

一般事業会社の経理は、財務諸表の作成にとどまらず、財務データの分析を通じて経営判断に必要な材料を提供し、経営に貢献するという役割もあります。クラウド会計やRPA(Robotic Process Automation)、経費精算システムなどを駆使する企業も少なくありません。

しかし、「攻めの経理」を目的として入社するとミスマッチが生じる可能性もあります。一般事業会社での経理は単純作業も多いためです。「攻めの経理」だけでなく「守りの経理」も重要ですので、そのバランスは入社前に確認しておきたいですね。

【公認会計士特化の転職エージェント】ハイスタ会計士とは

 目標を明確にしたうえで、自分の強みを知ったり企業とのマッチングを上手く行ったりするために欠かせないのが転職サイト・エージェントの利用です。

ハイスタ会計士

ハイスタ会計士は、公認会計士・経理・財務人材の転職に特化した専門エージェントです。

  1. 公認会計士・経理・財務人材の転職支援に特化したキャリアアドバイザーが在籍
  2. 職務経歴書の作成、添削、面接対策など丁寧に対応
  3. 監査法人・税理士/会計事務所・上場準備中の事業会社求人多数
  4. ひとりひとりのスキルと経験を活かしたキャリア形成に強み

もともとは弁護士業界に特化したネットワークに強みを持っているため、士業関係者の転職ノウハウや業界ならではの勘所を抑えた提案が可能です。

また、大量の求人を送ってくるだけのエージェントとは違い、ひとりひとりに合った、『活躍できる環境』の提供に重きを置いているため、ミスマッチのない転職をすることができます。

転職が初めての人のためのサポートにも優れているので、初めての転職活動で不安のある方でも効率よく転職活動を進めることができます

公式サイト:https://no-limit.careers/kaikeishi/

まとめ

今回は、公認会計士の転職先について解説しました。一般事業会社やコンサルティングファーム、ベンチャー・スタートアップ企業、PEファンド・ベンチャーキャピタルなど、転職先は豊富にあるため、自分の意向と合ったところを選んでください。

コロナ禍においてもそれほど深刻な事態にはなっていない公認会計士の転職市場です。焦る必要はまったくないので、ゆっくり落ち着いて冷静に判断してください。

edit_note この記事を書いた人

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ハイスタ編集部

一般事業会社の経理・財務・CFO候補に加え、監査法人・会計事務所への転職支援サービスも充実。転職成功事例や充実したサポート体制をお約束します。

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