公認会計士が経理へ転職するメリットとは?転職する際の注意点や成功させるポイントまで解説

公認会計士の転職

更新日:2024/09/26

公開日:

公認会計士は監査法人以外にも多様なキャリアがありますが、企業の経理部門も選択肢のひとつです。公認会計士が企業の経理へ転職することで、どのようなメリットを得られるのでしょうか?また、経理へ転職する際の注意点や企業が会計士に期待するポイントを知っておくことも大切です。

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目次

公認会計士と経理の業務の違い

公認会計士と経理は、どちらも企業の財務に関わる重要な職種ですが、その業務内容や目的、アプローチには違いがあります。

公認会計士は外部から企業の財務状況を評価・監査し、信頼性の高い財務報告を提供する役割を担います。公認会計士の業務の主な目的は、財務報告の信頼性を確保し、投資家などのステークホルダーに対して企業の財務状況を透明かつ正確に報告することです。これにより、ステークホルダーが適切な意思決定をおこなうための信頼できる情報を提供します。

一方、経理は企業内部において日常の取引記録から資金管理まで、企業運営に不可欠な財務データを正確に管理する役割を担います。経理の主な目的は、企業の財務活動を円滑に運営し、内部の管理と意思決定を支えることです。正確な財務データの提供により、経営陣が効果的な経営戦略を立てるための基盤を作ります。予算管理や資金繰りの調整を通じて、企業の財政状態を健全に保つことが求められます。

それぞれの専門性を理解し、適切なキャリア選択をすることが重要です。

公認会計士が企業の経理に転職する5つのメリット

公認会計士が企業の経理部門に転職することは、以下のように多くのメリットがあります。

監査以外のスキルを習得できる

公認会計士は主に監査法人において監査業務を経験することで、企業の財務状況や内部統制に関する深い知識を身につけています。しかし、企業の経理部門に転職することで、予算編成や管理会計、資金繰りなどの実務的なスキルを習得する機会が増えます。また、経理部門のマネジメントポジションとして採用された場合は、非定型業務やスタッフのマネジメントなどにあたることもあります。

このように経理への転職によって、より包括的なビジネススキルを身につけることができます。特に監査以外のスキルを習得し、キャリアの幅を広げたいと考えている公認会計士にとってはメリットが大きいでしょう。

企業の内部から自社の成長に貢献できる

公認会計士としての監査業務は外部から企業の財務状況を評価する立場にありますが、企業の経理部門では内部から企業の成長に直接貢献することができます。たとえばコスト削減の提案や、効果的な資金運用の計画を立てることで、企業の収益性を向上させる役割を果たせます。

企業の内部で働くことで、より戦略的な視点から企業の成功に寄与することができます。

ワークライフバランスを改善しやすい

監査業務は繁忙期に長時間労働が求められることが多く、ワークライフバランスが取りづらい場合があります。

企業の経理部門では業務のピークが決算期や年度末に集中することはあるものの、一般的には比較的安定した勤務時間を確保しやすい環境です。これにより、プライベートの時間を増やし、趣味や家族との時間を大切にすることが可能です。

福利厚生や昇給など条件面がよい

企業の経理部門では、企業ごとに異なるものの、福利厚生が充実している場合が多いです。法定福利厚生はもちろん、各種手当や独自の休暇制度、退職金制度や企業年金などが整備されている企業が多くあります。こうした福利厚生が充実していることで長期的なキャリアプランを描きやすくなるでしょう。

また昇給やボーナス制度も整っていることが多く、働きがいを感じながらキャリアを積むことができます。

前職と同程度のポジションに就きやすい

公認会計士としての経験や資格は、企業の経理部門で非常に高く評価されます。そのため、転職する際に前職と同程度のポジションに就くことが比較的容易です。

特にインチャージやマネジメント経験がある場合は管理職として迎えられることも少なくありません。

公認会計士が企業の経理に転職するデメリット

経理への転職は多くのメリットがありますが、一方で注意したい点もあります。ミスマッチを防ぐためにも事前に把握しておきましょう。

定型業務が多い

企業の経理部門では、日常的に繰り返しおこなわれる定型業務が多くあります。たとえば日々の取引に関する伝票の入力や整理、請求書の処理や支払い手続きなどが典型です。決算についても月次・四半期・年次決算とあるため毎回同じような作業を繰り返すことになります。

これらの業務は、監査法人での多様なプロジェクトやクライアントワークとは異なり、単調に感じることがあります。その場合はモチベーションの維持が課題となることがあるため、定型業務に対する自身の適性を見極め、適応するための工夫が求められます。

会計士としてのスキルや知識が鈍化しやすい

企業の経理部門に転職すると、公認会計士としての専門的なスキルや知識が鈍化しやすいというリスクがあります。

監査法人では周囲に公認会計士が多くいるため、成長意欲を高く保ち、切磋琢磨しながらスキルや知識の維持・向上に努めやすい環境です。しかし、経理部門では周囲に誰も公認会計士がいないことも多く、モチベーションを保てない場合があります。

また、監査法人では新しい会計基準や規制に対する情報などはすぐに入ってきますが、経理の場合は自ら積極的に収集しないと手にできないケースも多いです。

過度な期待や重いタスクが集まりがち

公認会計士は高度な専門知識を身に付けているため、企業の経理部門では大きな期待が寄せられ、重いタスクが集中しがちです。特に会計士が1人、もしくは初めて採用するようなケースだと、一般の経理スタッフや上司からの期待感が過度に高まることがあります。

結果として、プレッシャーを感じてしまう、業務負担が大きくワークライフバランスが崩れるといったことが起こり得ます。

転職直後の年収は下がることも多い

監査法人で働く公認会計士は年収水準が高いため、企業に転職直後の年収は下がることが多い点には注意が必要です。企業の経理部門では、公認会計士資格があるからといってほかの経理部員と比べて特別優遇されることはありません。

役職つきで転職できればそのポジションに見合った給与を受け取れますが、そうでなければ資格手当がつくだけというケースもあります。

部署異動や転勤の可能性がある

企業が公認会計士を採用した場合、基本的には経理や財務など専門性を活かしやすい部署での活躍を期待します。ただ、企業では経営企画や内部監査などほかにも公認会計士の知識を活かせる部署が存在しており、そうした部署への打診も考えられます。

また、経理や財務などで成果をあげられなかった場合や、上司と折り合いが悪かった場合など、何らかの理由でまったく畑違いの部署へ異動ということもあり得ます。

転勤については企業の規模や展開するビジネスによっても異なりますが、支社や子会社、海外の発展途上国への出向といったケースもあります。

公認会計士が企業で評価される4つのポイント

企業の経理へ転職する場合、企業が会計士に対してどのような期待を寄せているのか理解することが大切です。

高度で広範な会計知識やスキル

企業は公認会計士に対して、高度で広範な会計知識やスキルを期待しています。これにより、財務報告の正確性を確保するとともに複雑な財務問題を解決し、経営判断の基盤を支えることを求めています。

また、最新の会計基準や税法の改正にも素早く対応し、常に知識をアップデートし続けることが期待されるでしょう。

会計領域での即戦力

高度で広範な知識・スキルをもとに、即戦力としての活躍が期待されます。たとえば決算業務や予算管理など、企業の経理部門で必要とされる多くの業務を迅速かつ正確に遂行することが求められます。

監査対応

監査対応も企業が期待する業務のひとつです。外部監査に対応する際、監査法人出身の公認会計士は、その経験と知識を活かして効果的に対応できます。

監査のプロセスや要求事項を理解しているため、スムーズなコミュニケーションを図り、監査手続きを効率的に進めることが可能です。

マネジメントスキル

公認会計士には、マネジメントポジションとしての役割も期待されています。高い専門知識と経験をもつ公認会計士は、経理部門のリーダーとしてチームの育成や業務の効率化を推進できます。

また、経営陣の一員として、財務戦略の立案や経営判断のサポートをおこなうことも求められます。グローバル企業においては、海外子会社の責任者候補としての期待を受けることもあります。

公認会計士が経理への転職で押さえておくべき注意点

経理への転職では、以下の点を押さえて転職活動を進めることが大切です。

残業の多い・少ないは企業によって異なる

経理業務の残業時間は、企業によって大きく異なります。監査法人と比較すると少ないことが多いですが、実際には企業の忙しい時期や決算期には長時間の残業が発生することもあります。企業の規模や業種、財務部門の体制などによっても異なるでしょう。

転職先を選ぶ際には、事前に労働時間や残業の実態についてしっかりと確認することが重要です。

企業の規模やフェーズによっては経理以外の業務もある

企業では必ずしも経理業務に専念できるわけではありません。特に中小企業やベンチャー企業では、経理業務だけでなくほかの業務も兼任することが求められる場合があります。

たとえば総務や人事、さらには営業やマーケティングのサポート業務など、幅広い業務に対応することがあります。

大企業は一部の業務しかできないことがある

大企業の場合は経理業務に集中できることが多いですが、大企業は分業化が進んでおり特定の業務だけを担当することが一般的です。そのため、スキルや経験の幅が広がらないという面で不満を感じることがあります。

このあたりは自身が転職で何を求めるのか、どんな経験を積みたいのかによって最適解が異なります。監査に飽きていろいろやりたいという希望がある方はマッチしない可能性があるので注意が必要です。

監査法人とは違う文化に慣れる必要がある

監査法人と一般企業の文化や働き方は大きく異なります。

監査法人ではチームでプロジェクトを進めることが多く、クライアントとのコミュニケーションも頻繁におこなわれます。一方、企業の経理部門では社内のコミュニケーションが主であり、業務の進め方や報告の仕方にも独自のルールがあります。

こうした文化の違いに慣れる必要があることは、理解しておくべきです。

英語力が求められる場合がある

グローバルに展開している企業や外資系企業では、英語力が求められる場合があります。近年は財務報告書の作成や海外子会社との連携、国際会計基準(IFRS)への対応など、英語での業務が必要となる場面が増えています。

したがって、英語のスキルが不足している場合は、転職前に英語力を向上させる努力をすることが必要です。

公認会計士が経理への転職を成功させるためのポイント

経理への転職を実現するためには、以下のポイントを意識して転職活動を進めましょう。

企業の経理へ転職する目的・理由を明らかにする

まずは企業の経理へ転職したい目的や理由を明確にすることが重要です。具体的な動機をはっきりさせることで、転職活動に軸ができ、応募先の選定で迷うことが減るでしょう。

応募の際にも、転職理由を明確にすることで面接時の説得力が増し、企業側にもその熱意が伝わりやすくなります。

経理で活かせる経験や知識を整理する

公認会計士としてのどんな経験や知識が企業の経理部門で役立つのか、整理しておきましょう。たとえば会計士として培った財務報告や監査の知識は、正確な財務諸表の作成や内部統制の強化に役立ちます。M&Aや事業再編に関するアドバイザリー経験は、企業の経営戦略や財務戦略において役立てられるでしょう。

応募の際にはこれらを具体的に説明し、どのように経理業務に活用できるかをアピールすることが重要です。そうすることで、企業側は応募者が活躍する姿をイメージできます。

企業が公認会計士に期待する点や募集背景を確認する

企業が公認会計士を求める背景や期待する点を理解することも重要です。これにより、自分のスキルセットと企業のニーズをマッチさせることができます。採用の確率が高まるだけでなく、転職後のミスマッチも回避できるでしょう。

公認会計士の採用実績を確認する

応募先の企業で、これまでにどれだけの公認会計士を採用しているかを確認することも有効です。採用実績がある企業は、公認会計士のスキルや経験を適切に評価し、活用する環境が整っている可能性が高いでしょう。

また、自分と同様のバックグラウンドをもつ仲間がいることも多いため、転職後の環境に適応しやすくなります。

会計士のキャリアや企業の経理に詳しいエージェントに相談する

転職活動を円滑に進めるためには、公認会計士のキャリアや企業の経理に詳しいエージェントに相談することをおすすめします。エージェントを活用することで、最新の転職市場動向や企業の採用ニーズについての情報提供を受けられます。

自分では気づきにくい強みや弱みを客観的に把握し、転職活動を効果的に進めることも可能です。

経理に転職する公認会計士におすすめの転職エージェント6選

最後に、おすすめの転職エージェントを紹介します。

ハイスタ会計士

ハイスタ会計士

ハイスタ会計士は、公認会計士・USCPA・試験合格者を専門に支援する転職エージェントです。

会計士のキャリアに詳しいアドバイザーが求人企業と求職者の両方を担当する両手型のエージェントなので、ミスマッチのない転職を実現できるのが大きな強みです。

上場企業やIPO準備中企業など、魅力的な経理求人があります。

公式サイト:https://hi-standard.pro/cpa/

BEET-AGENT

BEET-AGENT

BEET-AGENTは、公認会計士の事業会社への転職に強い転職エージェントです。

経理や財務、CFOなど管理部門系人材の働き方に詳しいため、会計士が経理へ転職する際には相談してみましょう。特にミドルクラスの転職支援で高い実績があるエージェントなので30代・40代の会計士におすすめです。

公式サイト:https://beet-agent.com/

マイナビ会計士

マイナビ会計士

マイナビ会計士は、公認会計士・試験合格者・USCPAの転職に強みをもつエージェントです。会計士業界に精通したキャリアアドバイザーが面接の日程調整から選考対策まで幅広くサポートします。

特に若手人材の支援が得意なので、20代・30代の会計士にマッチします。

MS Agent

ms_会計士

MS Agentは管理部門と士業の転職に特化した転職エージェントです。会計士のキャリアとして経理部門への転職も多くサポートしているため、経理を希望する会計士に最適です。

上場企業の7割以上にあたる企業との取引実績があるので、上場企業の経理を探している会計士にもおすすめします。

ジャスネットキャリア

ジャスネットキャリア

ジャスネットキャリアでは会計士・税理士・経理の転職に特化してサポートしています。

公認会計士が創業したサービスなので会計士の働き方に詳しく、経理部門へのサポート実績も高いのが特徴です。高い専門性を活かした的確なアドバイスを受けられるでしょう。

レックスアドバイザーズ

レックスアドバイザーズ

レックスアドバイザーズは、公認会計士・税理士・経理・財務領域を強みとする転職エージェントです。

特にシニア・マネージャー層の転職支援で実績があるエージェントなので、30代以上の経験豊富な会計士におすすめします。経験を活かせる最適な求人を紹介してもらえるでしょう。

まとめ

公認会計士は企業の経理で高い評価を受けられる職種であり、転職することで多様な業務経験や労働環境の改善などのメリットを享受できます。

ただし専門性やモチベーションの維持が難しいこともあるので、自身の適性判断や対応策の準備が必要です。

edit_note この記事を書いた人

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ハイスタ編集部

一般事業会社の経理・財務・CFO候補に加え、監査法人・会計事務所への転職支援サービスも充実。転職成功事例や充実したサポート体制をお約束します。

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