公認会計士に学歴は関係ない!会計士になるメリットや資格のとり方を解説

公認会計士の就職

更新日:2024/07/26

公開日:

公認会計士とは、監査や会計のスペシャリストです。

公認会計士だけに認められる独占業務の監査だけでなく、会計や税務、コンサルティングも可能です。専門性の高い資格であるため、「高学歴でなければ公認会計士になれないのでは?」と考える人もいるのではないでしょうか。

結論からいうと受験資格に学歴は関係なく、要件を満たせば試験を受けられます。

本記事では、公認会計士になるための要件やメリットをまとめて紹介します。

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公認会計士になるために学歴は影響しない

公認会計士になるには、国家試験である公認会計士試験に合格しなければなりません。受験資格の取得に学歴は関係なく、誰でも受験できます。

ここからは、具体的な受験要件や、公認会計士試験の合格率を説明します。

公認会計士試験の受験資格

公認会計士試験は、中卒・高卒の方はもちろん、会計に関係のない学部卒の方でも受験資格があります。2005年以前の旧試験制度では、大学卒業や旧1次試験合格などの受験資格が必要でしたが、現在は制限が撤廃されています。

公認会計士試験の合格率に学歴は関係するか

金融庁が公表している令和5年公認会計士試験の合格者調べによると、学歴別で大学(短大含む)の卒業者が43.4%と最多です。2番目に多いのは大学(短大含む)在学中の学生で、42.2%となっています。大学卒業者・大学在学中の学生は、その分受験者数も多いため、学歴の高さが合格率に直接影響するとはいえません。

なお、令和5年公認会計士試験の合格者数と大学名の内訳は、以下のとおりです。

  • 慶応義塾大学(165名)
  • 早稲田大学(128名)
  • 明治大学(101名)
  • 東京大学(56名)
  • 同志社大学(56名)
  • 中央大学(55名)
  • 京都大学(50名)
  • 神戸大学(44名)
  • 一橋大学(38名)
  • 法政大学(38名)
  • 立命館大学(38名)

参考:http://cpa-mitakai.net/keio_trans.html

受験要件に学歴は影響しないものの、公認会計士は試験内容が難しいこともあり、難関私立大学や国立大学出身者が多くなっています。

公認会計士の合格率

公認会計士試験は難易度が高く、司法試験や医師国家試験と並んで三大国家試験に位置づけられています。実際、平成18年から令和5年までの平均合格率は10.7%、令和5年だけでみると7.6%になっています。

公認会計士試験は、年2回実施されるマークシート方式の短答式試験と、年1回実施される論述式の論文式試験の2種類があります。短答式試験の合格率は以下のとおりです。

実施年 第Ⅰ回の合格率 第Ⅱ回の合格率
令和元年 16.6% 12.7%
令和2年 15.7% 12.9%
令和3年 21.6%
令和4年 12.1% 7.9%
令和5年 10.4% 8.8%
令和6年 10.8% 9.5%

参考サイト:公認会計士試験|公認会計士・監査審査会

また、論文式試験の合格率は以下のとおりです。

実施年 最終合格率
令和元年 35.3%
令和2年 35.9%
令和3年 34.1%
令和4年 35.8%
令和5年 36.8%
令和6年 8月16日~8月18日実施予定

参考:令和5年公認会計士試験|金融庁

公認会計士になる4つのメリット

公認会計士になると、以下4つのメリットがあります。

  • キャリアの選択肢が広がる
  • OB・OGの公認会計士のネットワークが強い
  • 平均年収が高い
  • 独占業務があり安定している

キャリアの選択肢が広がる

公認会計士は高い専門性をいかし、経済社会のあらゆるシーンで活躍できます。

独占業務である監査業務の専門家だけでなく、株式を公開したい企業へのサポート業務や、クライアントの課題解決に向けて運用整備を担うビジネスアドバイザリーとしての道もあります。独立開業して個人事務所を立ち上げたり、特定の企業等で働く組織内会計士として活躍したりもできるでしょう。

OB・OGの公認会計士のネットワークが強い

公認会計士を多く輩出している学校や資格スクールでは、OB・OGと交流する機会が設けられています。資格スクールのなかには、合格したOB・OGにいつでも質問や相談ができる制度を設けています。

公認会計士試験に合格した際は、日本公認会計士協会への登録が必要です。登録後は、組織内会計士向けの研修会や交流会に参加でき、知識やスキルをアップデートしたり、同業者とのネットワーキングを構築したりできます。

平均年収が高い

公認会計士は高度な専門知識を必要とするため試験合格率が低く、三大国家試験とも言われています。その分、公認会計士に対する需要も高くなり高収入が期待できるでしょう。

公認会計士の平均年収は746.6万円で、独立開業している場合は年収が数千万円になるケースもあります。

参考:公認会計士 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))

独占業務があり安定している

公認会計士の独占業務である監査は、医師の医療行為や弁護士の裁判行為と同等の価値を持つ業務です。業界を問わず需要が高く、景気にも左右されにくいといえます。

公認会計士になるためには?

公認会計士試験に合格すれば、公認会計士として働く資格が得られます。ここからは受験科目や免除制度など、試験内容の詳細を説明します。

必要な勉強時間

公認会計士試験の受験科目は、以下のとおりです。

短答式試験 必須科目 財務会計論
管理会計論
監査論
企業法
論文式試験 必須科目 会計学
監査論
企業法
租税法
選択科目(いずれか1つ選択) 経営学
経済学
民法
統計学

短文式試験4科目、論文式科目5科目の計9科目で、合格のためには最低でも2,500時間以上勉強する必要があると言われています。

学習期間の目安は1年半〜2年で、2年間で合格を目指すなら1日5時間以上は勉強時間を確保しなければなりません。

資格保有者は一部科目の免除がある

資格保有者や試験合格者など一定の要件を満たしていれば、公認会計士試験の一部または全科目が免除されます。

該当する場合は、公認会計士試験免除申請書に必要事項を記入し、添付書類とともに公認会計士・監査審査会事務局へ郵送しましょう。その後、届いた通知書をコピーして受験願書とともに提出すれば完了です。

短答式試験の全科目免除

短答式試験における全科目免除の対象者は、以下のとおりです。

  • 大学等において3年以上商学または法律学に属する科目の教授もしくは准教授の職にあった方
  • 商学または法律学に属する科目に関する研究により、博士の学位を取得された方
  • 高等試験本試験の合格者(司法科、行政科)
  • 司法修習生となる資格を得た方(高等試験司法科試験の合格者を除く)
  • 旧司法試験第2次試験の合格者

添付書類は細かく指定されているため、詳しくは公認会計士・監査審査会のホームページを確認しましょう。

短答式試験の一部科目免除

短答式試験における一部科目免除の対象者は、以下のとおりです。

  • 税理士となる資格を有する方
  • 税理士試験における試験科目のうち簿記論及び財務諸表論の2科目について、基準(満点のうち60%)以上の成績を得た方
  • 会計専門職大学院において、特定の科目を履修した上で修士(専門職)の学位を取得された方
  • 金融商品取引法や会社法に規定する会社、国、地方公共団体その他の内閣府令で定める法人において、会計や監査に関する事務または業務に従事した期間が通算7年以上ある方

それぞれ免除となる科目や添付書類が異なるため、公認会計士・監査審査会のホームページで詳細を確認してください。

論文式試験の一部科目免除

論文式試験における一部科目免除の対象者は以下のとおりです。免除科目や添付書類が細かく分かれているため、ホームページでの確認が必要です。

  • 大学等において3年以上商学または法律学、あるいは経済学に属する科目の教授もしくは准教授の職にあった方
  • 商学または法律学、あるいは経済学に属する科目に関する研究により博士の学位を取得された方
  • 高等試験本試験の合格者(司法科、行政科)
  • 司法修習生となる資格を得た方(高等試験司法科試験の合格者を除く)
  • 旧司法試験第2次試験の合格者
  • 不動産鑑定士試験合格者、および旧鑑定評価法の規定による不動産鑑定士試験第2次試験の合格者
  • 税理士となる資格を有する方(弁護士を除く)
  • 企業会計の基準設定や原価計算の統一、その他企業会計制度の整備改善に関する事務または業務に従事した方(公認会計士・監査審査会の認定が必要)
  • 監査基準の設定、その他監査制度の整備改善に関する事務または業務に従事した方(公認会計士・監査審査会の認定が必要)

その他

旧公認会計士試験第2次試験の合格者であれば、短答式試験はみなし合格となり、論文式試験での受験科目も免除されます。

短答式試験合格の場合は、2年間の免除期間がある

公認会計士試験では、短答式試験と論文式試験のどちらも合格しなければなりません。短文式試験で合格すると2年間の免除が受けられるので、来年以降は論文式試験の勉強に専念できます。論文式試験で相当の成績を修めた科目についても2年間免除されます。

公認会計士として働くための3つの条件

公認会計士試験に合格しても、すぐに公認会計士として働けるわけではありません。監査法人や事業会社での3年以上の実務経験に加え、実務補習も受ける必要があります。順を追って説明します。

公認会計士試験の合格

まずは公認会計士試験での合格を目指しましょう。試験内容や受験科目数に関わらず、願書を提出するたびに一律19,500円かかる点に注意しましょう。合格後は、3年以上の実務経験と実務補習を行います。修了考査で合格できれば、内閣総理大臣の確認を受けた後、公認会計士としての資格が付与されます。

公認会計士業務をするためには、日本公認会計士協会への入会と名簿登録が義務付けられているため、忘れずに手続きしましょう。

3年以上の実務研修

公認会計士になるには、試験の合格前後を問わず3年以上の実務経験が必要です。実務経験は大きく分けて、公認会計士や監査法人の補助をする「業務補助」と、事業会社で財務関係の監査や分析を行う「実務従事」の2つがあります。両方を経験している場合は、通算した期間が3年以上あれば問題ありません。

合格後は約3年間にわたって実務補習を受けなければなりません。内容は以下の5項目で、10回の考査と6回の課題・研究提出をクリアすれば単位取得が可能です。

  • 監査
  • 会計
  • 税務
  • 経営・IT
  • 法規・職業倫理

単位取得後は2日間にわたり、5項目に関する修了考査を受験します。合格すれば日本公認会計士協会への登録が可能となり、公認会計士として働けるようになります。

転職時は学歴よりもスキルや実績が重要

公認会計士として働くうえで重視されるのは実績やスキルです。就職時や転職時も、学歴が不利に働くケースは少ないといえます。

公認会計士に求められる、主な能力やスキルは以下のとおりです。

  • 分析力(ビジネスの動きや経営状況を多角的に分析できる)
  • 自己成長力(スキルアップのため積極的に取り組める)
  • コミュニケーション力(国や立場の異なる相手とも柔軟なコミュニケーションが取れる)
  • 語学力(グローバルに活躍できる)

公認会計士におすすめの転職エージェント3選

公認会計士として働けるようになったら、さらなるスキルアップに向けて転職し活躍の幅を広げていきたい方もいるでしょう。ここからは、公認会計士におすすめの転職エージェントを3つ紹介します。

ハイスタ会計士

ハイスタ会計士は、監査法人や会計事務所、企業の経理財務部への転職に特化した会計士専門の転職エージェントです。士業専門の集客支援や人材採用に携わってきた経歴をもつアドバイザーが、公認会計士に特化した情報提供・アドバイスを行います。

ハイスタ会計士の魅力はアドバイザーの高い専門性です。転職先を紹介するだけでなく、仕事に対する希望や価値観のヒアリング、今後のキャリアプラン設計も行うトータルプランニングを実現。面接対策にも力を入れており、一人ひとりの強みを引き出す転職支援サービスです。

公式サイト:https://hi-standard.pro/cpa/

ジャスネットキャリア

ジャスネットキャリア

ジャスネットキャリアは、1996年に公認会計士が創業した「ジャスネットコミュニケーションズ」が提供するサービスの一つです。業界最大級の求人掲載数を誇り、会計や税務、経理や財務分野における数々の選択肢から、自分の希望やキャリアプラン設計に合ったものを選べます。

また、公認会計士の課題でもある事業承継の支援サービスを行っている点も魅力です。後継者問題を抱える会計事務所に丁寧なヒアリングを実施し、事務所と後継者候補の相性を見極めながらプロモーション活動を進めています。

公式サイト:https://career.jusnet.co.jp/

レックスアドバイザーズ

レックスアドバイザーズは、経理・財務専門の転職エージェントです。経験豊富なコンサルタントが仕事の価値観やキャリアに沿った求人先を紹介します。

レックスアドバイザーズでは、特にシニア・マネージャー・将来の幹部候補といったポジションの転職サポートが強みです。転職を通して資格を最大限活かし、キャリアアップできるよう、一人ひとりに合わせた独自のコンサルティングを行います。

公式サイト:https://www.career-adv.jp/

まとめ

公認会計士になるとき学歴が影響しない理由をはじめ、公認会計士になるメリットや働くまでの流れを一挙解説しました。

公認会計士試験は学歴を問わず誰でも受験可能です。ただし高い専門性を要するため合格が難しく、勉強時間の確保や資格スクールの活用が求められます。また公認会計士試験に受かった後も、実務経験や実務補習への参加や、修了考査の合格が必要です。

公認会計士の資格を取得できたら、経験を通してキャリアアップを目指し、転職するのも一つの手です。今回紹介した転職エージェントを参考にしつつ、自分の希望やキャリアプランに合った働き方を探してみてください。

edit_note この記事を書いた人

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ハイスタ編集部

一般事業会社の経理・財務・CFO候補に加え、監査法人・会計事務所への転職支援サービスも充実。転職成功事例や充実したサポート体制をお約束します。

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