公認会計士になるのはやめとけと言われる3つの理由|公認会計士を目指すべき人の特徴は?

公認会計士の就職

更新日:2023/08/10

公開日:

公認会計士を目指そうを周りの人に伝えた時、『やめとけ』

そう厳しい言葉を言われた人はいませんか?

せっかくやる気を持ち始めて、資格取得に挑もうとした矢先、やめとけと一蹴されても腑に落ちませんよね。本記事では、公認会計士がなぜやめとけと言われるのか?その理由と、やめとけと言われても十分に公認会計士を目指せる余地がある人の特徴についてご説明していきます。

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公認会計士になるのはやめとけと言われる主な理由3つ

それでは早速、公認会計士がやめとけと言われる理由について、3つの観点からご説明していきます。

非常に難易度が高い国家資格|受かるわけがない

まず、公認会計士は非常に難易度が高い国家資格で、相当な勉強時間を確保して合格できるかどうかのラインに立てます。決して「あれば転職に有利になる資格」などと軽く考えないようにしましょう。

医師・弁護士に並ぶ難関資格

公認会計士試験がどれほど難しいかと言うと、医師や弁護士の資格を取得することと同等の難しさを持つと言われています。医師や弁護士であれば難関資格だと認識を持っていても、公認会計士がここまで難しいと思っていなかった方も多いのではないでしょうか?

そもそも医師や弁護士の試験を受けるためには受験資格を満たしておく必要があります。医大や法学部を卒業するなどした、限られた人のみが受けられる資格です。一方で、公認会計士には受験資格がありません。これは誰でも試験を受けることができるということになります。

公認会計士に受験資格がないことを知って、「収入が良い仕事だし挑戦してみよう!」そう思った方がいるかもしれませんが、受験資格がないからと言って試験が簡単というわけではないのです。

試験勉強には東大合格レベルの時間が必要

試験合格のためには、どの資格でも勉強が必要ですね。公認会計士の場合、3,000~5,000時間程度の勉強時間が必要だと言われています。数字だけだとピンと来ないでしょうから、例を挙げます。
まず、3,000時間以上の勉強時間は、東大合格を目指す人の勉強時間と同等と言えます。
また、3,000時間以上の勉強をしようとすれば、1日6時間学習を毎日2年間休まず行う必要があります。現在働いていなくて、資格取得に専念できる立場の方であれば、十分確保できる時間ですが、働きながらとなると、仕事と睡眠以外はすべて勉強に費やすくらいの覚悟が必要です…(しかも2年間)。

【関連記事】公認会計士試験に合格するまでに必要な勉強時間の目安は?

仕事内容が単調|つまらない仕事

公認会計士の主な仕事は『監査』ですが、簡単に言うと会社の決算書のチェックや業務効率化の提案などを行う仕事です。ひたすら数字と向き合う仕事でもありますので、この監査の仕事を単調でつまらないと思っている方も少なくないようです。

せっかく必死で勉強して難関資格に合格したとしても、毎日の仕事がつまらないと感じてしまえば、やめとけと助言したくなるかもしれませんね。特にすでに公認会計士として働いている人からやめとけと言われるようであれば、この理由もあると考えられます。

ただ、その仕事をつまらないと感じるかやりがいがあると感じるかは、その人の特性やものの捉え方もあるでしょう。後述にて公認会計士に向いている人の特徴もお伝えしますので、参考にしてください。

激務になることが多い

仕事がつまらないだけなら、収入の良さだけで乗り切れるかもしれませんが、公認会計士の仕事では激務になることも多いです。

特に監査法人で働いた場合、繁忙期である決算後の時期には残業は当たり前となり、月100時間残業を超えることも珍しくありません。これが約2ヶ月間続きます。

監査法人から転職するならどんな転職先の選択肢があるか|公認会計士の経験・スキルを活かすベストな転職先とは

公認会計士の魅力ややりがいとは

ここまで、主に公認会計士をやめとけと言われるマイナス面の理由ばかり述べてきました。しかし、公認会計士にはもちろん良い面もあります。こちらでは、公認会計士の魅力についてご紹介していきます。

高い収入

公認会計士を目指すきっかけにした人も多いのではないでしょうか?ご存知の方も多いように、公認会計士は収入も非常に良く、平均年収でも892万円と非常に高い水準となっています。

順位 職業 平均年収
1位 航空機操縦士 2,048万円
2位 医師 1,161万円
3位 大学教授 1,081万円
4位 公認会計士/税理士 892万円
5位 大学准教授 867万円
6位 歯科医師 849万円
7位 記者 788万円
8位 弁護士 766万円
9位 一級建築士 722万円
10位 大学講師 719万円

参照:政府統計の総合窓口|賃金構造基本統計調査 一般労働者

これは、他の職業と比較しても高い年収となっており、TOP5位内に入る年収の高さです。初任給であっても、500万円以上を狙うことは可能ですし、将来的に1,000万円以上の年収を確保することも十分可能な職業でしょう。

【2023年】公認会計士の平均年収は683万円が現実|年代や業種別で比較・年収を上げるコツまで

多様な働き方

公認会計士の主な仕事は監査で、激務・単調ともお伝えしましたが、資格を持っていることで働き方を選ぶこともできます。

公認会計士試験の勉強では、財務会計・経営・税務なども同時に学んでいくこととなります。幅広い知識が身につき、資格が証明してくれますので、働き方の幅が広がります。

例えば、公認会計士資格があれば税理士登録も可能になるため、税理士として活躍される方もいます。財務会計や経営の高い知識からコンサルティングの仕事を主に行うこともできます。

監査の仕事が自分に合わなくても、様々な働き方にシフトすることができる選択肢が増えることは魅力的ですね。

独占業務もあり求められている

監査についてはあまり良い風には書いていませんが、その監査の仕事自体は、公認会計士の独占業務となっています。上場企業や一定要件に当てはまる大規模な会社では、監査を受ける義務がありますので、公認会計士の存在が必要不可欠となります。

会社経営に大きくかかわれる

公認会計士にとってのスタンダードな活躍の場は経理財務・決算・株主会対応が必須な上場企業です。上場企業では一般事業会社での勤務経験を持つ方が優遇されます。また、海外進出を図っていたり外国籍の社員を多く抱えていたりする企業なら、英語力が求められるでしょう。

会計知識はもちろんのこと、社風に合うか、他のメンバーと馴染めるか、といった点も総合的に判断されて採用する流れとなります。

公認会計士に向いている人の特徴

公認会計士をやめとけと言われても、諦めるかどうかはその人次第です。人には仕事に対する適正ややりがいを感じる部分の違い、仕事に求める内容などが違います。

もし、それらが公認会計士の仕事と一致しているようであれば、たとえ周りからやめとけと言われても挑戦する価値はあります。こちらでは、公認会計士に向いている人の特徴について挙げていきます。

数字に強い

公認会計士の仕事は多様にあるとはお伝えしましたが、やはりどの仕事も基本的に数字と向き合う仕事です。細かい数字のズレを見逃さない正確さとマメさが求められます。

四六時中数字と向き合っていて、イライラを覚えたり、集中力を欠いたりしてしまう人は、公認会計士の仕事そのものに向いていない可能性が高いと考えられます。

公正な姿勢で業務と向き合える人

会計士はあくまでも独立した第三者の立場として企業の監査をおこないます。そうでなければ企業の利害関係者に対して決算情報等の正当性を示すことができないからです。

不正があればしっかり指摘しなければなりませんので、公正な姿勢で業務と向き合う必要があります。正義感が強い人に適性があると言い換えることもできるでしょう。

コミュニケーション能力が高い人

会計士は四六時中、財務諸表とにらめっこしているわけではありません。実際に現場を訪問して資料を調査し、クライアントへの質問や説明も頻繁におこないます。

監査はチームで取り組むためチーム内での討議や先輩・後輩とのやり取りもあります。クライアントやチームの人員と信頼関係を築くことが重要な業務なのでコミュニケーション能力が高い人でなければ難しいでしょう。

経営やクライアントへの興味・関心をもてる人

会計士は監査をするだけで終わりではなく、調査や分析の結果から経営のアドバイス等もおこないます。そのため経営やクライアントへの興味・関心をもてるかどうかも重要です。

興味・関心があると自然とクライアントが属する業界や業務への理解が進み、顧客とのコミュニケーションも円滑になります。

自己管理能力の高い人

監査業務には高い集中力が必要ですし、期限内におこなわなければなりません。長時間、集中して業務に取り組むには精神的・肉体的にタフである必要があります。

それには自己管理態にしておかなければ会計士としての活躍は難しいでしょう。また自身のキャリアを主体的に形成できるという意味での自己管理能力も求められます。

公認会計士を目指すことをやめといた方がいい人の特徴

公認会計士に向いている人についてご説明しましたが、それでも以下の2点に該当する方は、公認会計士以外の選択肢も探してみることをおすすめします。

収入面にばかり魅力を感じている

公認会計士の収入が良いことはすでにお伝えしましたし、すでにご存知の方も多いでしょう。しかし、収入面だけで公認会計士への道を選んでしまうと、公認会計士をやめとけと言われる理由でもあった以下の部分で挫折する可能性が高いと考えられます。

  1. 勉強時間の長さ
  2. 勉強量の多さ
  3. 試験範囲の広さ
  4. 試験の難しさ
  5. 仕事内容
  6. 仕事の量

確かに公認会計士の収入は良いですが、年収1,000万円以上を目指すのであれば、他の職業だって十分に可能です。ご自身が得意とする分野の職業や今働いている仕事の延長線上に高収入の働き方がないかどうかを探した方が現実的で簡単だと言えるでしょう。

高収入の公認会計士という考えだけにとらわれず、ぜひ色々な職業研究をされて下さい。

勉強する時間が取れない、会計士と関係ない仕事をしている

やはり公認会計士の最大のハードルは公認会計士試験です。上でもお伝えしたように、3,000時間以上の勉強時間が確保できない状況にある方は、なかなか挑戦が難しい状況にあると言えます…。

合格者の80%以上が学生や無職などの勉強しやすい人

参考:令和2年公認会計士試験合格者調|公認会計士・監査審査会

まず、公認会計士試験の合格者のうち、80%以上が学生や無職などの公認会計士試験のみに絞って生活を送ってきた人になっている事実があります。会社員や公務員などの普段普通に働いている方の合格者の比率は10%にも至りません。

働きながら3,000時間以上の勉強をしようとすると、2年間毎日6時間程度の勉強をしなくてはなりませんので、相当強い意思を持っていないと途中で挫折してしまいそうですね…。

また、時間の都合上、予備校に通うことも難しいので、学習効率の低下やモチベーション維持も難しくなってきます。

合格者の80%以上が20代

参考:令和2年公認会計士試験合格者調|公認会計士・監査審査会

また、公認会計士試験の合格者の82.2%が20代となっており、合格者の平均年齢は25.5歳となりました。これは、上記の職業とも関連する内容でしょうが、やはりすでに働いている方がこれから公認会計士試験に挑戦することは難易度が高いということを意味していると考えられます。

年齢が上がるにつれ、会社での立場も上がり家族に使う時間も増えてくるため、資格取得の勉強のためだけに時間を使うことが難しくもなってしまうのです。

65歳の方でも公認会計士試験に合格された方がいましたので、決して不可能ということではありませんが、状況的にも難しくなることは理解しておきましょう。

公認会計士にはならなくても実務に役立つおすすめ資格

公認会計士試験はやめとけと言われて、実際にここまでの内容でやめとこうと思った方でも、新たな資格取得に挑戦する気持ちまで無くしてしまうのはもったいないです。

こちらでは、公認会計士の資格に比較的に近くてかつ難易度を下げた資格についてご紹介します。

簿記検定|2級以上

ご存知、簿記検定では財務会計についての知識を得られて証明することができる資格です。3級だと個人・商店規模の会計になるため、あまり企業からは求められない資格ですが、2級以上の資格を持っていれば、転職などでも有効に働きます。

特に1級まで取得できれば、経営分析やコンサルティングにも活かせる資格となるため、それらの仕事にも就きやすくなります。

税理士

税理士試験では、『科目合格制』を採用しており、科目単位での合格が認定され、5つの科目を数年かけて合格することで税理士資格が取得できる仕組みとなっています。

この科目合格制により、働きながらの資格取得もしやすくなっており、結果、税理士試験では40代の合格者が一番多い割合となっています。
税理士資格を取得した後に公認会計士試験に挑戦される方もいます。

まとめ

公認会計士をやめとけと言われる理由には色々ありました。まずは、試験の難しさです。公認会計士試験に合格するためには3,000~5,000時間程度の勉強時間が必要で、特に働いている方であれば、勉強時間の確保そのものがかなり難しいものとなります。

合格後も公認会計士の仕事そのものについて良い印象を持っていない人もいます。特に監査の仕事ですが、細かい数字と向き合う仕事ですので、つまらないと感じてしまう人も多いようです…。会社の決済後は監査の繁忙期となり、約2ヶ月間残業が続くこととなります。

確かにそれらに見合った高い収入は得られますが、そこまでして公認会計士を目指すべきかどうかを慎重に判断してみてください。

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ハイスタ編集部

一般事業会社の経理・財務・CFO候補に加え、監査法人・会計事務所への転職支援サービスも充実。転職成功事例や充実したサポート体制をお約束します。

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