公認会計士の主な3つの仕事内容|会計士として働く魅力や辛い部分・適した人の特徴とは

公認会計士の就職

更新日:2022/10/27

公開日:

これから公認会計士を目指そうと考えている方は、実際にどのような働き方をするのか仕事内容が気になるところですね。

まず、公認会計士になるためには試験に合格して国家資格を取得する必要があり、しかもかなりの難関資格となるため、相当な量の勉強をする必要があります。とは言え、将来的にどのような仕事をするのかイメージできていないと勉強を続ける原動力にもなりません。

こちらの記事では、公認会計士の仕事内容を中心に、働き方や魅力、求められる資質などについてご説明していきます

これから公認会計士を目指そうかとも考えている方は、ぜひ参考にしていただき、実際に仕事内容をイメージしながら、自分の性質に合っているようであれば、挑戦を検討しても良いでしょう。ただし、試験はかなり難しいので覚悟しておきましょう。

合わないようであれば他にも様々な職業や資格がありますので、どんどん研究して色々な働き方を見つけていってください。

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公認会計士の主な仕事内容3つ

公認会計士の仕事内容には主に以下の3つがあります。

  1. 監査業務
  2. 税務
  3. コンサルティング

特に一番上の監査業務は、公認会計士にしかできない独占業務でもあるため、公認会計士の仕事=監査と覚えておいても間違いではありません。具体的にどのような仕事内容なのかをご説明します。
参考:公認会計士の仕事内容|日本公認会計士協会

監査業務

監査とは、簡単に言うと決済書通りの正しい取引や運用が行われているかを確認する仕事です。

公認会計士が監査を行うことにより、財務情報の信用性が担保されることとなりますので、株主や債権者、投資家などに対する信頼を維持することができます。

上場企業や一定要件に当てはまる大規模な会社では、必ず監査を受ける必要があります。ちなみに、監査は公認会計士の独占業務となっておいるので、健全な経済活動をし続けるためには公認会計士の存在は必須なのです。

監査の対象は、一般企業だけにとどまらず、学校法人や公益法人など幅広く、監査法人に入社したり、自身で独立したりと、働き方も多様です。

監査法人から転職するならどんな転職先の選択肢があるか|公認会計士の経験・スキルを活かすベストな転職先とは

税務

公認会計士試験に合格すれば、税理士登録をして税務に携わることもできます。税理士資格よりも難易度が高い公認会計士を受けたのですから、税務をメインとして行う公認会計士も少ないでしょうが、働き方の選択肢の幅は広がります。

  • 税務代理(申告、不服申立て、税務官庁との交渉など)
  • 各種税務書類の作成
  • 企業再編に伴う税務処理及び財務調査
  • グループ法人税制、連結納税制度などの相談・助言
  • 移転価格税制、タックスヘイブン税制についての相談・助言
  • 海外現地法人、合弁会社設立を含む国際税務支援
  • その他税務相談・助言

コンサルティング

公認会計士試験のために、幅広い範囲の科目を勉強します。会計に関する知識だけではなく、経営学や会社経営に関わる法律に対する知識も相当なレベルに達していますので、それを武器にしてコンサルティングを行う公認会計士もいます。

また、監査の仕事でも取引先や勤め先企業の相談役になったり、業務効率化の提案をすることもあります。公認会計士の高い知識が求められるシーンは多くあります。

  • 相談業務(会社の経営戦略、長期経営計画を通じたトップ・マネジメント・コンサルティング)
  • 実行支援業務(情報システム・生産管理システム等の開発と導入)
  • 組織再編などに関する相談・助言・財務デューデリジェンス
  • IFRSに関するコンサルティングや業務支援
  • 企業再生計画の策定・検証
  • 統合報告の実施支援
  • 環境・CSR情報の相談・助言
  • 株価、知的財産等の評価
  • Trustサービス(WebTrust、SysTrustの原則及び基準に基づく検証・助言)
  • システム監査、システムリスク監査(システム及び内部統制の信頼性・安全性・効率性等の評価・検証)
  • システムコンサルティング(情報システムの開発・保守・導入・運用・リスク管理等に関するコンサルティング)
  • 不正や誤謬を防止するための管理システム(内部統制組織)の立案・相談・助言
  • 資金管理、在庫管理、固定資産管理などの管理会計の立案・相談・助言
  • コンプライアンス成熟度評価
  • コーポレート・ガバナンスの支援

公認会計士としての働き方

では、実際に公認会計士としてどのような働き方ができるのでしょうか?こちらでは、公認会計士の働き方の種類についてご説明します。

監査法人で働く

監査法人とは、複数の公認会計士が集まった1つの法人です。数十~数百の企業の監査を行い、各公認会計士は取引先の企業などの監査を行います。

監査業務が主になりますし、周りには公認会計士の上司・先輩も多いので、実務経験を積むのにも最適でしょう。BIG4監査法人というものがあり、世界4大会計事務所であるPwC、EY、KPMG、DTTの会計事務所と提携している以下4つの国内監査法人を目指す人も多いです。

会計事務所で働く

主に個人や中小企業を顧客に持つ会計事務所では、監査メインではなく、会計業務や税務、コンサルティングなど幅広い仕事を行うこととなります。将来的に個人や中小企業を対象として活躍したい方は、まずは会計事務所で経験を積むことを検討されると良いでしょう。幅広い業務への対応力と人脈を構築することが期待できます。

会社の財務・経理部で働く

公認会計士の資格を持って、一企業の財務・経理部の中で働く方法もあります。将来的には役員に近い形に招き入れられ、自らが会社を引っ張って行く体制を作ることもできるでしょう。事業に共感できる会社があれば、経理や財務などで裏方から協力し、会社の成長発展に貢献することもできます。

コンサルティング会社で働く

公認会計士資格はコンサルティング会社からも非常に重宝される存在です。将来的に上場を考えている会社に対して適切なアドバイスができますし、会社法や経営学なども高いレベルで持ち合わせていますので、普段の経営やコンプライアンスのアドバイスもできます。

数字と向き合う仕事よりも、人と接したり成果を求める働き方を望んでいる場合には、このような働き方もできるでしょう。

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公認会計士として独立する

公認会計士になりたてでいきなり独立する方も稀ですが、最終的には会計事務所やコンサルティング会社を立ち上げて独立する方もいます。独立すれば収入も不安定にはなりますが、反面、青天井にもなり普通の公認会計士よりも稼げる可能性も秘めています。働き方もある程度自分でコントロールでき、家庭などとのバランスも調整しやすくなります。

公認会計士として働く魅力

公認会計士の仕事内容は主に以上の通りとなりますが、こちらでは実際に公認会計士で働く魅力についてご紹介していきます。

企業の成長発展に携われる

一定規模以上の企業になれば、監査を入れる必要が出てきます。公認会計士は経営陣とも近い距離で仕事を行いますので、企業の成長発展に携わることができる仕事とも言えるでしょう。

また、コンサルティングによってアドバイスする立場になることもできますので、経営や経済に興味がある方には、自分が発展の一部を担っていると魅力を感じられるかもしれません。

多様な働き方ができる

公認会計士の仕事は基本的には監査業務ですが、働き方の選択肢は広がります。企業に入社して会計業務に携わることもできれば、コンサルティングを主に活躍することもできます。税務に取り組んでも良いでしょう。

収入が良い

ご存知の方も多いでしょうが、難関資格でもある公認会計士は、他の職業の中でも上位に位置する収入の良さです。

順位 職業 平均年収
1位 航空機操縦士 2,048万円
2位 医師 1,161万円
3位 大学教授 1,081万円
4位 公認会計士/税理士 892万円
5位 大学准教授 867万円

参考:政府統計の総合窓口|賃金構造基本統計調査 一般労働者

初任給でも年収500万円を超えることは多いですし、普通に働いていれば年収1,000万円を超えてもおかしくはありません。

【関連記事】公認会計士の平均年収

公認会計士の仕事で大変な部分

どんな仕事にも言えますが、公認会計士の仕事にも大変な部分はあります。こちらでは公認会計士の仕事の大変な部分についてまとめてみました。莫大な量の勉強をした上でなれる職業ですから、目指す前に自分には適性があるのかどうかは判断しておきましょう。

細かい数字のチェックの繰り返しになる

特に監査業務に言えることですが、基本的には細かい数字のチェックの繰り返しになり、単調に感じてしまう人もいるようです。

多様な働き方はできるとは言え、一度監査法人などに入社すれば、転職することもリスクになるため、公認会計士を目指す前に自分が数字の確認や管理に向いている人なのかをしっかり見つめ直した方が良いでしょう。

繁忙期は激務

特に監査業務に言えることですが、監査の繁忙期でもある4~5月の2ヶ月間は、激務と言えます。残業は当たり前になり、月100時間残業があることも想定されます。収入は良いとは言え、仕事詰めになることに抵抗がある方は、慎重に検討していきましょう。

勉強し続ける必要がある

会計基準や税制は毎年何かしらの改正があります。その度に自身もアップデートして知識を身に付け続ける必要があります。

試験合格のためだけにもあれだけ勉強したのに、公認会計士になった後も勉強し続けるなんて…と思うような、勉強が苦手・嫌いな方は、あまり公認会計士には向いていないと言えるでしょう…。

そもそもの試験の難易度が高い

公認会計士のなり方については後述しますが、そもそも公認会計士になるための試験のハードルが非常に高いです。受験資格こそはないものの、必要勉強時間は3,000時間以上で、弁護士や不動産鑑定士(もしくは医師)と並んで三大資格とも言われています。

公認会計士に求められる資質や特徴

何度かお伝えしていますが、公認会計士は非常に難易度が高い資格・職業です。資格を取るためには相当な勉強が必要で、試験に合格できなければ公認会計士になることができません。

せっかく必死に勉強して合格したのに、いざ働いてみて「何だか違うな~」という結果になってしまったら非常にもったいないです。こちらでは、公認会計士に求める資質や特徴についてご紹介します。

数字に強い人

公認会計士の仕事は、基本的に数字が関わる仕事ばかりですから、ちょっとした数字のズレでも見逃さず、どの数字が何を意味しているのかを瞬時に判断できるような数字に強い人である必要があります。

1日中細かい数字や文章を見ていても苦痛にならない人でないと、いざ働いてみて苦痛に思ったり、単調に思ったりする可能性があります。

自己管理能力の高い人

監査業務では、期限が決められています。莫大な量を効率的にどうこなしていくかを自分で管理できないと、なかなか業務に付いていくことができないでしょう。これは、公認会計士試験に挑む勉強の段階から必要とされます。

きちんと計画を立ててスケジュールを組んでいき、1つずつクリアしていかないと、気付いた頃には到底終わらない量の仕事が残っていることになります。

公正な姿勢で業務と向き合える人

会計士はあくまでも独立した第三者の立場として企業の監査をおこないます。そうでなければ企業の利害関係者に対して決算情報等の正当性を示すことができないからです。

不正があればしっかり指摘しなければなりませんので、公正な姿勢で業務と向き合う必要があります。正義感が強い人に適性があると言い換えることもできるでしょう。

経営や取引先への興味・関心をもてる人

会計士は監査をするだけで終わりではなく、調査や分析の結果から経営のアドバイス等もおこないます。そのため経営やクライアントへの興味・関心をもてるかどうかも重要です。興味・関心があると自然とクライアントが属する業界や業務への理解が進み、顧客とのコミュニケーションも円滑になります。

コミュニケーション能力が高い人

他の職業でも必要性が高いコミュニケーション能力は、公認会計士の仕事でも求められます。常に数字だけと向き合うのではなく、経営陣や取引先とのコミュニケーションの場も多くありますので、伝えたい内容は的確に伝え、相手が伝えたい内容を的確にくみ取れる能力もあると円滑に仕事が進みます。

公認会計士になるにはのなり方

ここまで公認会計士の仕事内容についてご説明してきました。実際に公認会計士へ挑戦する気持ちが高まったのであれば、今後具体的にどのようにしていくのかを明確にしておきましょう

公認会計士になるためには、試験に合格する必要があるため、まずは勉強から始めていく必要があります。度々お伝えしていますが、難関資格となるため、相当な勉強量が必要です。

【関連コラム】公認会計士試験に合格するまでに必要な勉強時間の目安は?

公認会計士試験に合格する

公認会計士になるためには公認会計士試験に合格する必要があります。簡単に書いていますが、かなりの難関で合格のためには3,000~5,000時間程度の勉強が必要だと言われています。

これは、1日6時間勉強を毎日して、それを休まず2年程度続けることに相当する勉強時間です。もし、働きながら公認会計士試験を目指すのであれば、仕事と睡眠以外の時間は勉強に費やすくらいの覚悟が必要です。

公認会計士試験の受験資格はない

このように、非常に難易度が高い公認会計士試験ですが、受験資格はありません。学歴や実務経験などは問われませんので、誰でも挑戦できる状況にはあります。

2年以上の実務経験を積む

試験合格後にいきなり公認会計士を名乗れるのではなく、最終的に公認会計士としての登録を済ませる必要があります。そのための条件の1つが『実務又は業務補助の経験を2年以上積む』ことです。

多くの場合、監査法人や会計事務所にいったん就職し、実務経験を積んでいく形になります。

実務補習を受けて修了考査に合格する

2つ目の条件が、『実務講習を受けて修了考査に合格すること』です。実務補習の期間は3年ですが、入所時に実務経験が2年以上ある人は1年に短縮可能です。通所中に通算2年以上の実務経験を満たした人は補習期間が2年に短縮できます。

この修了考査に合格することで、公認会計士として登録を受けることができます。

公認会計士として登録する

公認会計士として業務を行うためには、日本公認会計士協会が備える公認会計士名簿に登録を受けなければなりません。公認会計士開業登録申請書類および添付書類を提出し、審査を経て登録を受けます。

登録に必要な費用は準会員とそれ以外で若干異なりますが登録免許税が6万、入会金が3万~4万、施設負担金が5万円です。

登録後の会費は普通会費が年間7万2,000円、地域会費が4万2,000円~5万4,000円かかります。会費は監査法人などの就職先が負担してくれる場合もあります。
参考:日本公認会計士協会|公認会計士開業登録の手引

まとめ

公認会計士の主な仕事は

  • 監査
  • 税務
  • コンサルティング

の3つです。特に、監査は公認会計士の独占業務で、公認会計士になればほとんどの方が監査を行うことになるでしょう。

非常に収入も良く、選ばれた人のみできる仕事ではありますが、常に数字と向き合う仕事となるため、向き不向きはあるでしょう。ご自身の適性と合っているかどうかをしっかり考えた上で挑戦するかどうかを決めてください。

なお、公認会計士になるためには難関試験を合格する必要があります。試験勉強から公認会計士の登録まで数年はかかることになりますので、長期的な視点で計画を立てていきましょう。

edit_note この記事を書いた人

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ハイスタ編集部

一般事業会社の経理・財務・CFO候補に加え、監査法人・会計事務所への転職支援サービスも充実。転職成功事例や充実したサポート体制をお約束します。

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