公認会計士がIFRS経験を活用できる転職先は?市場のニーズと転職メリットも

公認会計士の転職

更新日:2022/07/15

公開日:

「IFRS」の経験・知識を活用した転職を考えている公認会計士は少なくないでしょう。

IFRSはご存じのとおり会計のグローバル基準であり、日本でも海外へのビジネスチャンスが広がることから年々その存在感が高まってきています。公認会計士がIFRS経験・知識を活用したい場合、転職の可能性はどの程度あり、どんな転職先が候補に挙がるのでしょうか。

本記事では、IFRSの概要を説明したうえで、転職市場の状況や転職メリット、求人の探し方などを解説します。

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IFRSとは

IFRS(International Financial Reporting Standards)とは、『国際会計基準審議会(IASB)』が策定する会計基準のことです。

日本語では「国際財務報告基準」や「国際会計基準」と訳され、「アイエフアールエス」や「イファース」と読みます。2005年にEUが域内のすべての上場企業に適用を開始したのをきっかけに世界中で適用の動きが広がり、現在では事実上の世界基準となっています。

IFRS は、詳細な規定や数値基準をあまり示さず具体的な解釈や運用は企業に委ねるという原則主義の考え方です。また資産と負債の差額から純利益を計算し、将来の事象を評価する資産負債アプローチを採用しています。

一方、日本基準は詳細で具体的な規定や数値基準を示す細則主義で策定されています。費用と収益の差額から純利益を計算し、過去の事実・数字を積み重ねる収益費用アプローチを採用しています。

IFRSが広がった背景

経済のグローバル化が進んだことで海外の投資家が増え、証券市場は海外投資家抜きでは語れなくなりました。

そのため投資家が企業価値を評価する際に用いる財務報告を世界と同一の基準で作成する必要性が高まり、IFRSを採用する国が増えました。EUの強制適用を大きな契機とし、これに他国が追随するかたちでIFRSが世界中に広がりました。

IFRSが広がった理由はIFRSの導入により、グローバルビジネスにおいて大きなメリットを享受できるからです。

企業がIFRSを導入すると海外の子会社なども含めてグループ全体の財務状況を把握しやすくなり、スピード感のある経営判断や適切な経営管理ができます。自社の経営方針を市場に積極的にアピールできるようになり、海外での事業展開も円滑になるでしょう。

また世界基準と自国の会計基準の2つがあると海外の親会社へ報告するときなどに世界基準への書き換えが生じ、担当者の負担が生じます。IFRSで統一すれば書き換えの手間がなくなり経営管理がスムーズです。

IFRSに関する日本の対応

日本では2007年に「東京合意」(会計基準のコンバージェンスの加速化に向けた取組みへの合意)に至り、日本の会計基準をIFRSにコンバージェンスさせる方針を固めました。コンバージェンスとはすなわち、日本の会計基準をIFRSに近づけることです。

その後、IFRSの任意適用が開始され、2015年頃を目処にIFRSを強制適用するという動きが一時期活発化しました。しかし結局は強制適用に至らず、2014年以降は、任意適用企業の積み上げによるIFRSの拡大促進が行われているのにとどまっています。

事業会社でIFRSに対応できる人材の確保は急務

日本はIFRS強制適用という判断をしなかったものの、日本の会計基準をIFRSに歩み寄らせる方針であることに変わりはありません。企業にとってもIFRSを導入することで海外でのビジネスチャンスが広がり、利便性も増えるなどメリットが大きいため、IFRS導入に取り組むケースが増えています。

しかしIFRSは日本の会計基準に比べて資産・負債の解釈が広いため経理処理の負担が大きく、ノウハウも蓄積されていません。そこでIFRSを導入する企業ではIFRSの知識をもつ人材の確保が急務となっています。

IFRS経験・知識がある公認会計士のニーズ

IFRSの経験や知識がある公認会計士は転職市場でどのように扱われるのでしょうか。転職の可能性や年収・待遇面について解説します。

「収益認識に関する会計基準」によりIFRS人材のニーズがさらに高まった

2021年度以降に開始する事業年度から、大会社や上場会社は「収益認識に関する会計基準」が強制適用になりました。

IFRS15号と呼ばれる改定で、「顧客との契約から生じる収益」を示したIFRS15号の基準にあわせた新しい基準です。これによりIFRS導入に向けた動きが活発化し、転職市場ではIFRSの知識をもつ人材のニーズがさらに高まっています。

IFRS適用企業は今後も増加の見込み

金融庁によれば、日本におけるIFRS任意適用企業は2010年にはわずか3社でした。しかしその後は右肩上がりで増え続け、2020年10月末時点で計242社にのぼりました。

導入によるメリットが大きいことから、今後も適用企業が増加すると見込まれています。大手上場企業に限らず中小企業でも導入する動きがあります。

引用元:金融庁|会計基準を巡る変遷と最近の状況

IFRS経験のある公認会計士は希少価値が高い

IFRS導入の動きを受けてIFRSの知識がある人材を多くの企業が求めていますが、そのような人材はまだまだ少ないのが現状です。

税理士法人や会計事務所など外部に委託するケースもありますが、IFRSのノウハウをもつ法人・事務所も少ないのが現状で各企業は人材の確保に苦戦しています。

そのため導入の現場ではIFRSの知識がまったくない経理担当者がゼロから取り組むケースも多く、喉から手がでるほどIFRS人材を求めている企業も少なくありません。IFRSの知識があるうえに公認会計士でもあれば、希少価値が高く、転職のチャンスは広がるでしょう。

経験者だと年収や待遇面でも有利

IFRS経験のある公認会計士はまだまだ少ないため、年収や待遇面で有利にはたらく可能性が高いです。

一般に公認会計士が監査法人から転職する場合、年収や待遇が下がるケースが多いですが、IFRS経験があれば年収キープまたはアップの可能性も出てきます。転職の際に年収交渉もしやすいため、転職エージェントを利用して交渉するとよいでしょう。

公認会計士はIFRSの経験年数が短くても採用される可能性が大きい

IFRSの経験年数については、短くても採用のチャンスが十分にあります。そもそもIFRS経験のある会計士が少ないためです。

経験がなくても一定の知識があれば、公認会計士としての知識・経験も加味されて採用される可能性が高いでしょう。IFRSの知識はIFRS検定試験の勉強や独学で身につけることが可能です。

公認会計士がIFRS経験・知識を活用できる転職先の候補

公認会計士がIFRS経験・知識を活用できる転職先は大きく分けると2パターンあります。転職先で導入する際または導入した後に関与していくか、外部からコンサルとして関与していくかの2つです。

上場企業

IFRS適用に踏み切る企業のほとんどが上場企業なので、もっとも一般的なのは上場企業への転職です。導入フェーズや導入後の企業では経理ですが、導入を検討している企業では経営企画での採用も考えられます。

一般に公認会計士が事業会社の経理へ転職する場合、ルーティンワークが多くやりがいを感じにくい、会計士のスキルを活かしきれないといった懸念があります。

しかしIFRS経験・知識がある人材として転職する場合、仕組みづくりから行うためクリエイティブな面があり、面白みを感じやすいかもしれません。

もっとも、IFRS人材として採用された場合でも伝票処理や決算処理など通常業務にも携わるケースが大半なので、経理業務をやりたくない人には不向きです。また導入済みの上場企業へ転職する場合はルーティンワークが多くなります。

経営企画への転職の場合はもともとルーティンワークが少ないので、適性があればやりがいを感じやすいでしょう。ただし会計スキル以外にも求められる要素が多いので経理職に比べて転職難易度はぐっと上がります。

外資系企業

外資系企業の経理でもIFRSを活用できます。外資系企業の経理では親会社への報告をIFRSベース、または親会社が米国企業の場合は米国基準で行います。

一方、日本の税務申告では日本基準で決算書を作成するため、2つの基準や基準間の違いを理解する必要があります。

外資系企業では日本基準で作成した決算書をIFRSへ作り替える作業が発生するため、英語力が不可欠です。もちろん、その他の業務でも高いレベルでの英語力が必要です。

監査法人

日本には外資法人の連結子会社が多く、親会社が連結子会社の財務諸表や連結パッケージについて監査を求めるケースがあります。そのため監査というかたちでIFRSに関与するのもひとつの方法です。

IFRS関連の監査ができる人材は大手監査法人に集中する(=企業も大手に依頼する)ため、まずは大手監査法人への転職が考えられます。しかしIFRSに精通した会計士が所属して監査を行う中小監査法人もあるため、必ずしも大手に固執する必要はありません。

また、大手監査法人のアドバイザリー部門でも企業のIFRS導入やIFRS決算業務支援などを行う場合があり、ここでもIFRS経験・知識を活用できます。監査からは離れたいけれどIFRS知識を活用したいと考える場合は選択肢のひとつになるでしょう。

財務・会計系コンサルティング会社

財務・会計系のコンサルティング会社では大手企業のIFRS導入支援やコンサルを行うケースがあります。

応募条件として公認会計士資格やIFRS経験を挙げている求人も多いため、外部からコンサルとしてIFRSに関わりたい人には向いています。財務・会計系コンサルでは公認会計士の経験を活かしやすいため、IFRS以外の業務でも即戦力として活躍できます。

公認会計士がIFRSを活用できる転職先を選ぶメリット

公認会計士がIFRSの経験・知識を活かして転職する場合、どんなメリットがあるのでしょうか。

一定の知識があれば転職しやすい

現在のところIFRS人材は不足しているため転職しやすい状況です。経験年数が少なくても一定の知識があれば、公認会計士であるという点も加味されて転職活動はかなり有利に進められるでしょう。

通常であれば応募条件が厳しすぎて転職が難しい企業でも、IFRSの経験・知識をアピールすれば採用される可能性があります。

公認会計士としての市場価値が高まる

IFRSは汎用性の高いスキルです。典型的な論点はどこに行っても通用するので理解しておくとキャリアの幅が広がります。IFRS適用企業の増加が見込まれる中、経験・知識を活かしたさらなるキャリアアップも可能です。

またIFRSを導入する際には単に制度を取り入れるという面だけではなく、業務プロセスの見直しやグループ経営管理の仕組みの構築などに携わる場合もあります。プロジェクトを成功するためには多くの困難を乗り越える必要があり、そうした経験は今後のキャリアで大いに活かせるでしょう。

IFRSの経験を積むことで公認会計士としての市場価値が高まり、希望のキャリア形成に近づきます。

年収水準が高い

一般に公認会計士が監査法人から転職する場合、年収は下がるケースが多いです。監査法人の年収水準が高いためで、特に事業会社への転職では年収維持も難しいケースが多くなっています。

しかし同じ事業会社への転職でもIFRS人材として転職する場合は年収や待遇が優遇されるため、年収水準は一般的な経理より高くなる傾向が見られます。監査法人でどの職位だったのかにもよりますが、年収を維持できるケースもあります。

外資系企業やコンサルティング会社はもともと年収水準が高いため、年収を維持できるケースが多いでしょう。

英語力を活かせる

IFRS業務そのもので高度な英語力が問われる場面は多くありません。

しかし、IFRSを導入する企業は海外に子会社があるなどグローバル展開している企業が多数なので、結果的には英語力が必要となるケースが多いでしょう。

大手上場企業では社内公用語が英語の場合もあります。そのため公認会計士が英語力を活かしたいと考えている場合にはメリットです。

IFRS領域での転職に必要な英語力の目安ですが、TOEICであれば最低でも700点以上が必要です。

最低ラインの場合は転職してから英語力を磨くことも必要でしょう。外資系企業への転職では900点以上もしくは流暢に英語を話せることが応募条件になっているケースが多いので、英語力に自信がある人に向いています。

公認会計士がIFRSを活用できる転職先を選ぶデメリット

公認会計士がIFRS領域で転職する場合は以下のデメリットも理解しておく必要があります。

長時間労働になりやすい

転職でIFRS経験を活用する場合、残業が多く長時間労働になりやすいのがデメリットです。

どのフェーズにある企業に転職するのかによって残業の多さは変わりますが、特に導入フェーズにある企業の経理などへ転職する場合は導入が完了するまでかなり忙しくなるでしょう。

導入済みの経理へ転職する場合は作業がすでにルーティン化されているので、残業の多さは一般的な経理への転職とそれほど変わりません。

また監査法人やFASコンサルなど外部からIFRSに関わる場合も残業時間は多くなりがちです。外部から関与する場合は基本的に導入フェーズで支援にあたるため必然的に忙しくなります。

長期的には高いニーズが続くとは限らない

現在のところIFRS知識や経験を備えた人材が少ないため転職のチャンスが大きいですが、今後そのような人材が増えればライバルも増えることになります。

また、日本はコンバージェンスのスタンスをとっているため、日本基準とIFRSの差がなくなれば今のようなニーズが続くとは限りません。転職してIFRSを活用したいと考えるなら今がチャンスかもしれません。

公認会計士がIFRSを活用できる転職先の探し方

IFRSを活用したい公認会計士が転職先を探すには主に2つの方法があります。

IFRS適用企業の一覧から探す

JPXのHPで適用企業や適用を決定した企業の一覧を公開しています。一覧をもとに企業の採用情報を探し、応募するのもひとつの方法です。

※参考:JPX(日本取引所グループ)| IFRS適用済・適用決定会社数

自力で求人探しから応募まで行うため手間と時間がかかりますが、自分が本当に行きたい企業へ直接アプローチできる点はメリットです。ただ、IFRS人材のニーズが高いこの時期を逃さないように、転職活動にはある程度のスピード感も必要です。

あまりのんびり探していられない可能性があります。

転職エージェントを利用して探す

IFRS関連の職種は求人を非公開にするケースも多いです。その場合はいくら自分で求人情報を探してもヒットしないので転職エージェントを利用するのがよいでしょう。

マッチする求人があれば紹介してくれるので自分で探す手間も省け、スピーディーな転職活動が叶います。

また転職エージェントの場合は求人探しに限らず、IFRSを活用したキャリアプランの相談に乗ってもらえる、応募の際や年収交渉のサポートが受けられるといった点もメリットです。

IFRS経験を活用したい公認会計士が利用するべきおすすめの転職エージェント

最後に、IFRS経験・知識を活かした転職でおすすめできる転職エージェントを5社紹介します。

ハイスタ会計士

ハイスタ会計士

公認会計士・経理・財務に特化した転職エージェントです。

比較的最近始まったサービスですが、監査法人・事業会社の経理/財務・コンサルティング会社の求人もカバーしている特化型転職支援サービスです。

公認会計士ひとりひとりにマッチした求人紹介、キャリアアドバイスを行うことで、丁寧な対応だと定評です。

公認会計士として、キャリア選択肢を広げたい方におすすめです。

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マイナビ会計士

マイナビ会計士

公認会計士・試験合格者・USCPAに特化した転職エージェントです。

事業会社や監査法人、コンサルティング会社の求人をバランスよく保有しているため、どのタイプの転職先を選ぶか決めかねている方はまずは登録することをおすすめします。

会計士業界の転職に精通したキャリアアドバイザーから丁寧なアドバイスを受けられ、転職サポートも手厚いと評判です。転職が初めてで不安が大きい公認会計士にも向いています。

REXアドバイザーズ

REX

公認会計士・税理士・経理の転職に強い転職エージェントです。

REXアドバイザーズを利用するメリットのひとつは、会計系職種の転職に特化しているためコンサルタントの質が高く、的確なアドバイスや求人紹介を受けられる点でしょう。利用者の中でも、キャリアカウンセリングの濃さやコンサルタントがもつ情報量の多さがよかったと感じた方が多いようです。

また会計領域に特化したエージェントの中でもっとも求人数が多いので、自分に合った求人に出会える可能性が高いです。特に経験が豊富なシニア、マネージャー、幹部候補の求人に強いため公認会計士としてキャリアアップを目指している方に向いています。

MS Agent

MS Agent

管理部門・士業特化型の転職エージェントです。

創業30年以上の老舗エージェントでMS Agentしか扱っていない独自求人が多くあります。

大手監査法人や大手上場企業から中小企業、優良ベンチャー企業まで幅広いフィールドの求人がありますが、公認会計士向けではとくに事業会社の求人を多く扱っています。

事業会社の一員としてIFRSを活用したい公認会計士は一度相談してみるとよいでしょう。

ジャスネットキャリア

公認会計士・税理士・経理の転職に強い転職エージェントです。

創業者が公認会計士なので会計業界に精通しており、専門性の高いアドバイスをしてくれます。ジャスネットキャリアは掲載法人・企業ごとに丁寧に取材しており現場の考えや雰囲気を実際に感じ取ったうえで求人を紹介しています。

ネットワークを活かした質の高い求人紹介が受けられるのも魅力です。

まとめ

IFRSは100カ国以上の国で採用されているグローバルな会計基準です。

日本ではIFRSの強制適用こそありませんが、任意適用を選択する企業は増え続けており、それにともなってIFRS人材のニーズも高まっています。

IFRSの経験・知識を活用した転職をするにはよい時期なので、まずは転職エージェントのキャリア相談を利用してみてはいかがでしょうか。

edit_note この記事を書いた人

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ハイスタ編集部

一般事業会社の経理・財務・CFO候補に加え、監査法人・会計事務所への転職支援サービスも充実。転職成功事例や充実したサポート体制をお約束します。

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