公認会計士の転職
更新日:2024/09/26
公開日:2022/10/07
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目次
転職を考えるうえで見極めたいのは転職市場の動向です。それにより今から転職活動を始めるべきか、少し待ってから転職活動を始めるべきかが変わってくるからです。以下で転職市場の全体像と、会計業界の採用動向を見ていきましょう。
まず転職市場全体の動向を見ると、新型コロナウイルス感染拡大の影響で有効求人倍率が下がり、転職市場は悪化傾向にあります。
有効求人倍率とは、仕事を求めている1人に対して企業から何人の求人があるのかを示す数値のことです。有効求人倍率が1.0を超えると求職者よりも求人数が多く(求職者有利)、1.0を下回ると求人よりも求職者のほうが多く(求職者不利)なります。
2020年の有効求人倍率(季節調整値)の推移は以下のとおりです(新卒学卒者を除き、パートタイムを含む)。
新型コロナウイルスの感染拡大が本格的に広まったのは2020年の2月頃なので、その影響がダイレクトに有効求人倍率に影響を与えていると見てとれます。また前年および前々年と比較すると、2018年の1年間の平均が1.61倍、2019年は1.60倍であるのに対し、2020年の平均は1.19倍と大幅に低下しています。
公認会計士の転職市場については公式な統計はありませんが、転職エージェントの調査・見解や求人の現状から転職市場を分析します。
会計業界に特化した転職エージェント「REXアドバイザーズ」の調査によれば、コロナ禍における中途採用について「チャンスと捉えている」「どちらかというとチャンスと捉えている」との回答が全体の約6割にのぼりました。回答企業には監査法人以外も含まれますが、全体的にはコロナ禍で中途採用をすることに関して意欲的であることが見てとれます。
参考:KaikeiZine|「新型コロナウイルス感染拡大に伴う中途採用への影響」についてのアンケート結果
理由のひとつには、監査を独占業務とする監査法人の強みが挙げられるでしょう。景気の良し悪しとは関係なく監査は行う必要があり、一般企業と比べると直接的な受注減は起こりにくいため、コロナの影響は限定的といえます。またコロナ禍では事業譲渡や経営統合といった不景気ならではの業務が増えるため、これらの業務に対応できる人材を求める傾向も見られます。
ただし、コロナ禍の前と比べて厳選採用の傾向が強まったことから、採用のハードルは上がっています。リモートワークが普及してこれまで通りのマンツーマンの指導機会を与えられないこともあり、即戦力となる優秀な人材を求める傾向が見られます。
税理士法人・事務所についても、大手や中堅に関してはコロナ禍でも中途採用に積極的な姿勢を見せています。理由としては、景気の動向にかかわらず税務業務は発生することが挙げられます。
またコロナ禍においては企業・事業再生業務、持続化給付金などの助成金や無利子の公的融資制度などの提案をする業務もあります。
個人税理士事務所に関しては代表の意向に左右されることもあり、採用動向は二極化しています。この機会にこそ優秀な人材を確保したいと考える事務所、現状は様子見で感染拡大が落ち着いてから採用活動をスタートさせたいと考える事務所があります。
ここまでを総合すると公認会計士の転職市場におけるコロナの影響は限定的だといえますが、楽観視はできません。クライアントの経営が厳しければ報酬の引き上げが難しく、収益の向上が見込めないでしょう。結果として新規の人員獲得に消極的になる可能性があります。
また国際領域に強みをもつ法人・事務所ではコロナを理由に採用を制限するケースがあるため、この領域での転職を希望する公認会計士にとっては厳しい状況となっています。
令和元年賃金構造基本統計調査をもとに計算した公認会計士および税理士の年収は683万5,500円でした。
※算出方法:きまって支給する現金給与(残業等含む)47万2,000円×12ヶ月分と年間賞与その他特別給与117万1,500円(企業規模計10人以上の場合)
産業全体の平均年収は500万6,900円なので、公認会計士の年収はこれを大きく上回っていることが分かります。
区 分 | 企業規模計(10人以上) | ||||||||
年齢 | 勤続 年数 |
所定内 実労働 時間数 |
超過 実労働 時間数 |
きまって支給す る現金 給与額 |
所定内給与額 | 年間賞与 | 労働者数 | ||
歳 | 年 | 時間 | 時間 | 千円 | 千円 | 千円 | 十人 | ||
弁護士 | 40.1 | 5.5 | 160 | 1 | 502.5 | 501.2 | 1255.6 | 264 | |
公認会計士、税理士 | 42.7 | 11.0 | 154 | 16 | 472.0 | 420.2 | 1171.5 | 518 | |
社会保険労務士 | 44.7 | 13.4 | 170 | 11 | 334.9 | 313.5 | 841.4 | 60 | |
不動産鑑定士 | 46.6 | 7.5 | 146 | 0 | 490.3 | 490.3 | 1662.3 | 6 |
ただしこの統計は税理士も含んでおり、純粋に公認会計士だけに限ったわけではありません。「MS-Japan」の調査を参考にすると、MS-Japanに登録している公認会計士の平均年収は874万円でした(2019年度)。
もちろん調査方法や調査対象者に違いがあるので一概にいえませんが、公認会計士の平均的な年収は700万~900万円がひとつの目安となりそうです。
参考:【2021年】公認会計士の平均年収は683万円が現実|年代や業種別で比較・年収を上げるコツまで
公認会計士の転職先は、上場企業やベンチャー・スタートアップ、PEファンド・ベンチャーキャピタルなど、いろいろ考えられるため、幅広い視野でキャリアプランの再考をしてみてください。
公認会計士にとって最もスタンダードな転職先のひとつが、経理財務・決算・株主会対応が必須な上場企業です。公認会計士が持っている高度な会計知識を必要としている企業は少なくありません。
M&Aやアドバイザリー業務が主軸の企業も転職先として考えられます。これらでは、監査法人にて3年以上の経験があると即戦力として期待されることが多いでしょう。少し特殊ですが、ベンチャー・スタートアップ企業に対するIPO(新規上場)支援や上場企業に対するIFRS(国際会計基準)導入などの経験があると、優遇されます。
会計監査・上場審査を受けるベンチャー・スタートアップ企業への転職もあります。ときには、CFO(Chief Financial Officer:最高財務責任者)として迎え入れられることもあるでしょう。
かつては財務におけるコストの管理が主軸でしたが、現在では企業成長のための経営戦略や財務戦略の立案・執行など、さまざまな役割を担わなくてはいけなくなりました。
PE(プライベート・エクイティ)ファンドやベンチャーキャピタルも公認会計士の転職先のひとつです。PEファンドとは、ベンチャーキャピタルやバイアウトファンドをはじめとする未上場株へ投資を行うファンドのことです。
これからという企業の価値を向上させて成長を促すのでやりがいを感じる方も少なくありません。
他には、コンサルティングファームに転職を考える方もいるでしょう。公認会計士の場合は、「財務・会計系」「税理士法人系」「金融系」へ転職するケースが多くあります。
税理士法人系コンサルティングファームに転職すると、まずは監査業務に近いところであるM&Aに伴うデューデリジェンスに携わることが多くあります。また、税理士法人系コンサルティングファームにてスキルや経験を培った後、独立開業する選択肢もあります。
公認会計士は会計の専門家であって税務の知識は足りないところもあるので、いったん税理士法人系コンサルティングファームに勤めるという着実な道を歩むのが堅実でしょう。
金融系コンサルティングファームは、他の業種の中でも高い給与水準が魅力です。ただし、業務は激務になりがちですので、ワークライフバランスを重要視する方にはおすすめできません。若手でもチャレンジしやすい環境ですが、金融系コンサルティングファームで定年まで勤め続けるという考えを持つ方は少ないようです。
公認会計士としての知識を活かして、企業のコンサルティングを行う企業(FAS:ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)に勤める人もいます。監査法人は、企業の会計が正しくできているかをチェックする役割ですが、FASの場合はいかに戦略的に事業拡大ができるかなどを財務面からアドバイスします。
具体的にはM&A・企業再生・不正調査などのアドバイザリー業務が主な仕事内容となります。例えば、事業拡大を効率的に行うためM&Aを行うと想定しましょう。このような場合、デューデリジェンス・企業価値算定・交渉支援、ディール全体のマネジメントなどをFASが担います。
FASの中で存在感があるのは世界的会計事務所の
です。
中堅FASとしてはM&Aセンター・GCA FAS・山田&パートナーズがあります。
会計事務所も公認会計士の転職先のひとつです。大手から中小まで幅広い会計事務所があり、選択肢は豊富でしょう。大手・中堅の会計事務所の場合、多くのクライアントを担当でき、業務の幅が広がるというメリットがあります。将来的に独立開業を目指している方におすすめです。
税理士法人で公認会計士兼税理士として活躍するケースもあります。公認会計士は無試験で税理士登録をすることができます。そのため、個人の確定申告・法人の財務資料の作成などをサポートしたい場合には税理士として活躍することもできるのです。
大手企業のほとんどは大手監査法人と契約を結んでいるので、独立して大手企業と契約を結ぶのは難しいです。公認会計士として独立する場合はIPO準備やコンサルティングなど回公認会計士から派生した仕事になることがほとんどのようです。
一方、税理士法人の方が個人~大企業までニーズも多いので、将来独立することを見越して税理士法人で経験を積む人もいらっしゃいます。
監査法人の中でも従業員数・実績が突出しているのが下記のBIG4と呼ばれる監査法人ですね。
公認会計士資格を取得したらいずれかで経験を積むのが一般的ですが、3年から5年で事業会社への転職をされるケースが多いです。もちろんBIG4から中小の監査法人への転職も珍しいことではありませんが、それまでやってきた業務をそのまま活かせる上に、役職に付ける可能性もありますから、ワークライフバランスと年収の天秤が合えばおすすめといえます。
公認会計士としての知識を活かして、一般事業会社の組織内会計士として活躍する公認会計士もいます。日本公認会計士協会によると、2020年12月末時点の組織内会計士の正会員数は2139名でした。2014年12月末時点では985名だったので2倍以上に増えていることがわかります。
組織内会計士の仕事は以下の内容が主です。
- 経理業務(財務諸表の作成、M&A、国際税務、連結納税など)
- 財務業務(財務方針・財務戦略の策定、経営分析結果の経営計画への反映など)
- IR業務(経営情報の管理・分析・発信など)
- プロジェクト業務(内部統制の構築、IFRSの導入など)
一般事業会社は働き方改革が積極的に行われているので、残業が少なく有給がとりやすいなど働きやすい環境になっていることが多いです。また、育休・産休・時短制度が整っていることも多く、女性にとっても働きやすい環境でもあります。そのため、特に女性の会計士にとって働きやすい環境といえるでしょう。
一般事業会社のCFO(最高財務責任者)として活躍する公認会計士もいます。CFOは企業の経営陣として財務を戦略的に考える役割です。例えば、事業を拡大するためにどの企業を買収するか、逆にリストラクチュアリングするためにどの部門を切り捨てるかを決めていきます。
経営を仕切るCEO(最高経営責任者)と並び重要なポストであり、監査法人での実績がある公認会計士をCFOとして迎えるケースが多く見られます。
上場企業では、2021年3月より社外取締役の設置が義務化されました。そのため、社内に会計に強い人材が少ない場合には、社外取締役として公認会計士を迎える企業もあります。また、上場をしていなくても、IPOを目指す企業が社内の会計体制を整えるために社外取締役として公認会計士を迎えるケースもあります。
参考:公認会計士におすすめの転職先6種と業界別の求人動向・転職メリットを解説
公認会計士の転職市場は、超売り手市場だった数年前と比べるとやや鈍化していますが、幅広い求人が定期的に出されている状況です。では、公認会計士が転職するとしてどのような転職先が候補となるのでしょうか。またどんな経験やスキルを求められるのでしょうか。
公認会計士の醍醐味ともいえる監査業務に従事できるのが監査法人です。監査業務の複雑化や昨今の大企業の不正発覚もあって定期的に人員を募集しているため、求人自体は比較的豊富にあります。監査法人以外から監査法人へ転職する場合は、年収アップがもっとも叶いやすい転職のパターンです。
Big4と呼ばれる大手では取引先の規模が大きくグローバル企業も多いため、ダイナミックな案件を担当できる魅力があります。給与・待遇がよいため離職率が低いこと、大手を希望する人が多いことから採用のハードルは高めですが、優秀な公認会計士には門戸を開いています。
準大手や中小規模の監査法人では積極的な採用傾向が見られます。大手と比べると給与や待遇は見劣りしますが、幅広い業務を担当できてやりがいを感じやすい点、ハードワークの改善が進んでいる点などが魅力です。コンサルなど非監査業務の経験もできるので、将来を見据えて転職するケースも多く見られます。
監査業務で求められるのは高度な会計知識と正確性です。膨大な資料を期限内に確認するため効率よく業務を進めるための処理能力も求められます。監査はチームで取り組むため、協調性の高さやコミュニケーション能力なども必要です。
コンサルなどの非監査業務に就く場合には業務改善や問題解決のための提案力が必要です。また企業のグローバル化にともない英語力を重視する法人が増えています。
近年のコンサルティングファームは人材確保の観点からコンサル未経験者にも門戸を開いているため、公認会計士も転職しやすくなっています。公認会計士の知見を活かせるのは基本的にはFAS(財務・会計)系のコンサルティングファームですが、全く別の畑となる戦略系のコンサルティングファームに転職する人も少なからず存在します。
監査法人からほかの業態に転職する場合、年収がダウンするケースが多いですが、コンサルティングファームへの転職では年収を維持できるケースが多くなっています。また将来的にIPOを目指すベンチャー企業への転職を考える人が、IPO支援や財務アドバイザリー業務の経験を積むためのステップとしてコンサルティングファームを選ぶケースもあります。
顧客からのニーズに素早く対応し、戦略的なプランを提案することができる人材が求められています。そのためには高度な問題解決能力やコミュニケーション能力が必要です。評価の対象となりやすい経験としては、M&A・事業再生・事業譲渡・財務デューデリジェンス・マーケティングの知識などコンサル系の業務経験が挙げられます。
またBig4系のコンサルティングファームではフォレンジック業務(不正調査)の分野も注目を集めているため、会計監査や内部統制に関する専門的な知識があると有利です。
税理士法人・会計事務所も公認会計士の転職先としては人気が高いです。大手の場合はM&Aや事業計画の提案、中小の場合は企業会計や税務業務を中心に行います。
監査法人と比べて顧客との距離が近い点や横断的に業務を経験できてやりがいが大きい点などが決め手となり、税理士法人や会計事務所へ転職する人は珍しくありません。将来的に会計事務所で独立を目指す人場合には実務と経営手法の両方を学べる魅力もあります。
税務関連の業務が多いことから税務の専門的知識をもつ税理士のニーズが高いため、公認会計士だからといって簡単に転職できるわけではありません。しかし組織再編やM&Aに関する業務を扱う場合は公認会計士のニーズが高いのでチャンスがあります。
また中堅会計事務所の場合はコンサルティング業務ができること、専門特化型の会計事務所ではITや福祉の知識がある公認会計士を求めるケースが多く見られます。
会計基準の高度化や事業の複雑化にともない、一般事業会社にも公認会計士の需要があります。経理や財務部門での監査対応、または経営企画室で経営環境の分析と経営計画の策定・実行のサポートにあたるのが一般的なケースです。
公認会計士を求める事業会社は上場企業や大手企業が多く、労務管理体制が整っているため、監査法人やコンサルティングファームと比べてワークライフバランスをとりやすいのが魅力です。内側から企業の発展に寄与できる点も転職理由としてよく聞かれます。
一方で、年収が下がるケースが多い点に注意が必要です。特に監査法人からの転職だと年収が下がる可能性が高いため、長期的に見た働きやすさなども踏まえて検討するのがよいでしょう。
会計業務以外に内部統制報告制度の構築、監査法人への対応など幅広い業務ができる人材を求めています。公認会計士を役職者として転職するケースも多いので、チームを指揮・教育するマネジメント能力も求められます。その業界の監査を担当した経験や、事業会社の経理部への出向経験があると評価の対象となりやすいでしょう。
企業の一員としてIPOに携われる、当事者の立場で経営に関われるなどの理由からベンチャーやスタートアップ企業への転職を考える公認会計士もいます。採用ポジションとしては経理責任者やコンサルタントなどがあります。
40代・50代の経験豊富なミドル層の会計士を採用したいと考えるベンチャー・スタートアップ企業も多いので会計士のニーズはそれなりにある状況です。短期間で濃密な経験を積めてスキルアップできることから、将来的な起業を見据えて経験を積みたいと考える会計士にとっても選択肢のひとつに挙げられるでしょう。
初年度の年収は下がるケースが多いので、転職の軸となるのは年収以外の点です。事業内容の将来性や経営者の熱意、代表との相性など多角的な視点で転職を検討する必要があります。
ベンチャー・スタートアップ企業で求められるスキルは多岐にわたりますが、経理・財務体制の整備や監査法人の対応などがあるため、監査法人での経験は活かせます。とりわけIPOに関する業務ができる人材は重宝されるでしょう。
ケースとしては稀ですが、金融機関・投資会社へ転職する公認会計士もいます。企業の買収や資金調達など財務関係の業務を多く取り扱うことになるため会計士のニーズがあります。
監査法人よりハードワークになる可能性が高い点には注意が必要ですが、年収アップが見込める期待があります。ただし採用ハードルは極めて高く、学歴や年齢、語学力など変えられない要因で不採用となるケースも少なくありません。
監査の延長線上にある財務デューデリジェンス業務の経験を活かせますが、経営管理やマーケティングなど経営全般に精通していることが求められます。したがって監査業務の経験だけでは不足しており、FASやそのほかの特筆すべき実績などが必要です。対顧業務となるためコミュニケーション能力も必須です。
ここからは公認会計士が転職を成功させるために何が必要なのかについて解説します。
転職の目的が明確になっていなければ、応募先を適切に選ぶことも、応募書類や面接で印象に残る志望動機を伝えることもできません。そのため、まずは転職の目的を明確にすることが大切です。今回の転職で実現させたいことを2~3つ答えられるようにしておきましょう。
ブレのない転職理由があり、業務へ取り組んできた姿勢とのつながりもあれば強い志望動機を作成でき、採用の可能性を高められます。
転職後にどのようなキャリアを築けるのかも大切です。中長期的なキャリアを明確にしてから転職先を決めることで、必要な経験は何か、どこで働けばその経験を得られるのかがおのずと見えてくるでしょう。
給与や待遇など表面的な面だけで応募先を選ぶことがなく、失敗も回避しやすくなります。万が一失敗した場合のリカバリーが可能かどうかという意味でも中長期的な視点が必要です。
公認会計士はもともとの年収が高いこともあり、年収アップはおろか、年収維持も容易ではありません。年収にこだわりすぎると選択肢が狭まるため、希望年収には幅を持たせておき、どこまで許容できるのかを決めておくのがよいでしょう。特に監査法人から転職する人は年収ダウンも想定しておくべきです。
もっとも、初年度は高い年収を設定せず、経験に応じて年収を上げていくケースもよくあります。どのように昇給するのかを確認しておけば一時的な年収ダウンに一喜一憂せず、モチベーションも保ちやすいでしょう。
どんなに優秀であっても、魅力的な履歴書・職歴書を作成できなければ書類選考を突破できません。とくに職歴書は公認会計士としてどんな経験を積んできたのか、どんなスキルがあるのかを具体的にアピールするための重要な書類です。
ポイントは、単に経験・スキルを列挙するのではなく、採用担当者にとってあなたを採用するメリットが分かるように書くことです。そのためには自身の経験・スキルを丁寧に棚卸しすること、応募先の募集ポジションやサービス内容を研究する必要があります。
経験・スキルと応募先が求める人材像にマッチした内容に仕上げることを意識しましょう。
公認会計士は業務の専門性が高く業界の特性も大きいため、会計士専門の転職エージェントを利用して転職活動を進めるのがよいでしょう。業界・職種事情に精通しており、より具体的なアドバイスが受けられます。
参考:公認会計士の転職でよくある失敗4パターンと失敗を回避のための5つの対策
転職を成功させるためには転職エージェントの利用が必須です。自分の市場価値を客観的に判断してくれる、転職市場の現状を把握しているため転職のタイミングを見極めやすいといった利点があります。
非公開求人とは、何らかの理由に人材募集していることを知られたくない求人のこと。また公認会計士は高度な専門性を有する人材であることから求人の秘匿性が高いため、非公開求人を保有する転職エージェントで求人を出すケースが多くあります。非公開求人に応募できるのも転職エージェントの大きな利点です。
特に今回ご紹介したようなCFO候補、IPO準備室などはエージェントの非公開求人に集中しているため、転職エージェントを活用した情報収集は必須と言えます。ほかにも職歴書や面接のアドバイスを受けられる、応募先の内情を知れるなど利用価値が高いため利用を検討しましょう。
表:公認会計士の転職に強い転職エージェント
msAgent | 士業管理部門特化の大手転職エージェント |
マイナビ会計士 | マイナビグループの公認会計士・科目合格者を専門にした転職支援サービス |
ジャスネットキャリア | 会計、税務、経理・財務分野に特化した転職エージェント |
REXアドバイザー | 会計士・税理士の転職に専門特化した転職エージェント |
ビズリーチ | CFO候補、社外取締役の求人が多いハイクラス向け |
企業や業界の詳しい情報が知れるのも、転職エージェントを利用するメリットの一つ。転職エージェントが紹介する企業について、直接訪問・人事担当にヒアリングするなどして、内情をきちんと把握しています。そうした情報を事前に確認できるため、転職後のミスマッチを避けられるのです。
転職エージェントを利用すれば、さまざまなサポートが受けられるため、効率的に転職活動が行えます。特に働きながらの転職活動だと、準備をする時間が取れないという場合も少ないでしょう。
転職活動の準備が不十分だと、ミスマッチにつながる可能性は高くなり、貴重な時間を無駄にしています。前述したように、企業・業界の詳しい情報や面接日程の調整、履歴書の添削など、転職活動に役立つサポートが受けられます。
edit_note この記事を書いた人
一般事業会社の経理・財務・CFO候補に加え、監査法人・会計事務所への転職支援サービスも充実。転職成功事例や充実したサポート体制をお約束します。
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