公認会計士のキャリアプランはこう考える!キャリアの選択と実現のコツ

公認会計士の転職

更新日:2023/05/26

公開日:

公認会計士のキャリアはほとんどの方が監査法人からスタートしますが、その後のキャリアは実に多様です。

ただし、公認会計士といえども希望するキャリアを実現するためには高いハードルがある場合もあるため、長期的な視点でキャリアプランを設定し、逆算して現在の行動に移すことが必要となります。

この記事では、働く場所や職種などさまざまな視点から公認会計士のキャリアを紹介したうえで、キャリアプランの実現に必要なスキルやキャリアプランの構築方法について解説します。

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働く場所別|公認会計士のキャリア

まずは「働く場所」に着目し、公認会計士のキャリアを紹介します。多様な選択肢がありますが、主には以下の7つに分類できます。

監査法人

もっとも王道のキャリアは監査法人です。公認会計士としての最初のキャリアであることが大半ですが、その後の選択肢としても監査法人を選ぶことはよくあります。

大手から中小まで規模はいろいろあり、勤務先によって業務内容も変わってきます。

幅広い業務を経験したいなら中小監査法人で希望が叶いやすいですが、最初は大手で規模の大きなクライアントを経験しつつ、転職して中小監査法人へ移るというケースが多いです。

一般事業会社

一般事業会社は就業環境がよく、ワークライフバランスも維持しやすいとあって人気のキャリアです。

もっともニーズが高いのは経理ですが、財務や経営企画、M&A推進部などでのキャリアもあります。

将来的なキャリアは限定されますが、内部監査室は監査スキルをそのまま活かせるため転職はスムーズにいくことが多いでしょう。

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ベンチャー企業

ビジネスのスピードが速く、濃密な経験ができるベンチャー企業も、公認会計士から人気のあるキャリアです。とくにIPO準備を経験したい、将来的にCFOを目指したいと考える方が選ぶケースが多くあります。

ベンチャー企業の場合、大きく成長する可能性を秘めている一方、事業撤退や売却等のリスクはつきものです。

また公認会計士といっても財務会計領域だけやるということは、まずありません。管理部門の業務全般を一手に任されるケースが多いため、未経験の分野でも臆せずやっていくマインドの方に向いています。

コンサルティングファーム

コンサルティングファームも公認会計士のキャリアとして定着しています。一番イメージしやすいのはFAS系コンサルティングファームでしょう。公認会計士の知見を活かしやすいため転職もスムーズで、実際に多くの公認会計士が活躍しています。

業務内容はM&Aや企業再生、IPO支援、IFRS導入支援や内部統制構築アドバイザリーなどがあります。将来的にどのキャリアを選択する場合にも役立つスキルが身につくのが魅力です。

一方、戦略コンサルや経営コンサルなどは公認会計士であることが必ずしもアドバンテージとなりません。ビジネスセンスや圧倒的な地頭のよさなど要求水準が極めて高いため、採用されるのはごく一握りの方です。

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会計事務所・税理士事務所

会計事務所や税理士事務所で働く方も一定数います。税務申告やクライアントの会計・税務アドバイスなどを行います。

将来的に独立を考えている場合、会計事務所を開くケースが多いので、会計事務所や税理士事務所で税務を学ぶというのが王道のキャリアプランです。

事務所規模や所長の考え方、経験できる業務などは非常に幅広いため、どの事務所を選ぶのかが極めて重要なポイントとなります。

証券会社

証券会社でも公認会計士の採用を行っています。証券会社では事業会社と同様に、経理・財務や内部監査など管理部門系で活躍の場があります。

またM&Aアドバイザリーや投資銀行部門、IPO審査や財務審査などを行う引受審査部門、プライベートバンキング部門(富裕層向けサービス)などでもニーズがあります。

証券会社の場合は総合職採用となり将来的に異動の可能性があるので、その点も含めて長期的なキャリア形成が可能かどうかを検討したほうがよいでしょう。

ベンチャーキャピタル、ファンド

数は多くありませんが、ベンチャーキャピタルやファンドでキャリアを展開する公認会計士もいます。ベンチャーキャピタルでは企業価値を測り投資判断を行うために財務諸表を読み解く力が不可欠なので、公認会計士の強みを活かすことができます。

ファンドは特にPEファンドの人気が高いですが、選考のハードルが非常に高く採用されるのはごくわずかの方です。監査法人での経験だけでは転職が困難なので、コンサルティングファームや証券会社の投資銀行部門などでの経験を経てなるケースが一般的です。

職種別|公認会計士のキャリア

続いて「職種」に注目して公認会計士のキャリアを見ていきます。

公認会計士は難関国家資格なので公認会計士として働かなければ勿体ないと思われがちですが、公認会計士の知見を活かしてさまざまな職種として働くことができます。

公認会計士

公認会計士資格をそのまま活かす形でのキャリアです。独占業務の監査をやれる監査法人に勤務する形が主流ですが、証券会社や投資銀行などで働く際にも公認会計士の肩書きがあるとクライアントからの信頼度が高まるというメリットがあります。

また監査法人でも監査部門だけでなく非監査部門での経験があると、その後のキャリアは選択肢が広がります。

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経理・財務など管理部門系職種

事業会社や証券会社などの管理部門系職種として働くキャリアです。具体的には経理・財務、経営企画などの職種があります。

事業会社の管理部門へ転職すると、将来的なキャリアはやや限定されます。社内で昇進して管理職になるというキャリアプランを描くケースが多いですが、管理部門で横断的に経験を積んだうえでベンチャー企業へ転職、CFOへというパターンもあります。また経営企画を経験しておくとその後の選択肢は広がります。

なお、大手企業の場合は、ジョブローテーションで会計士の知見を活かしづらい部署に異動になる可能性も否定できません。転職する際には、異動の可能性も含めて入社後に可能なキャリアを確認しておきましょう。

税理士

公認会計士は税理士登録できるため、税理士として働くキャリアもあります。税理士は中小企業や個人事業主の税務申告や申告書類作成、税務全般のアドバイスなどを行います。

監査法人で働く公認会計士の場合、クライアント規模にもよりますが経営者と近い距離で監査やアドバイザリーを提供することは多くありません。

税理士のクライアントは基本的に中小企業なので、経営者と二人三脚で企業・事業の成長に貢献している感覚を得られます。

コンサルタント・アドバイザー

コンサルタント・アドバイザーはクライアントの経営課題を明らかにし、課題改善のための提案やアドバイス、支援をする職種です。

組織再編やシステム導入の是非、事業再生計画の策定などさまざまな視点から支援・助言することで公認会計士としての知見を活かせます。

CFO

CFO(最高財務責任者)になるキャリアもあります。CFOは財務会計分野の知見が不可欠なので公認会計士との親和性が高く、実際に公認会計士を歓迎するCFO求人もあります。

ただし監査法人や事業会社の経験だけでは対応できる業務範囲が限定されるので、CFOを目指すのは困難です。

ベンチャー企業やIPO準備企業などで多様な経験を積み、荒波に揉まれてなるという人が少なくありません。

資格予備校講師

珍しいキャリアではありますが、資格予備校講師になる公認会計士もいます。公認会計士の受験生時代に利用していた予備校で採用されるパターンや、実務家講師として招かれるパターンなどがあります。

後身を育てたい、人に何かを教えるのが好きといった方に適性があるでしょう。講師として生計を立てるだけでなく、非常勤講師として副業的な働き方をしている方もいます。

働き方別|公認会計士のキャリア

常勤や非常勤といった「働き方」に着目したキャリアを紹介します。

常勤

組織に雇用され、フルタイムで働く方法です。公認会計士以外の士業を見ると、その専門性を活かすには士業事務所で働くか、独立・開業するかのどちらかに限定されがちです。そのため常勤で働くには士業事務所が中心となります。

一方、公認会計士の場合は士業事務所だけでなく、監査法人や企業、コンサルティングファームなど活躍の場が広いです。常勤という一般的な働き方でも多様な選択が可能なのは公認会計士の魅力のひとつでしょう。

非常勤

働き方の多様化が進む中、非常勤という働き方も注目されています。公認会計士が非常勤で働く場合、主には監査法人での非常勤会計士を指します。

監査法人との契約によって年や週の勤務日数を決めることができ、残業や出張もほとんどありません。時給の相場が5,000円~1万円と非常に高いため、非常勤会計士だけで生計を立てることも可能です。

非常勤という働き方は、子育てや介護など家庭の事情で常勤が難しい方が、キャリアを途絶えさせることなく家庭との両立を実現できます。また独立・開業直後でまだクライアントが少ない方や、プライベートの時間を充実させたい方などにも選択されています。

独立・開業

自身が経営者となるキャリアです。メインとなるのは会計事務所の開業ですが、法人税の申告業務の報酬が下がっているため、税務だけで経営を成り立たせるのは難しくなっています。

コンサルや事業継承、組織再編などの業務を経験しておくと安定経営につながるでしょう。知識や実務スキルだけでなく営業力も必須なので、小さな規模感の会計事務所などで磨いておくことも必要です。

会計事務所のほかには、士業ではなくビジネスの経営者として起業する方もいます。公認会計士資格を直接活かさずとも財務会計の知識や経験はどんなビジネスをするうえでも必ず活きるので、公認会計士資格をもつ経営者は増えつつあります。

志向別|公認会計士のキャリア

安定性ややりがいなど、自身の志向を軸にキャリアを選択する方法もあります。

安定性

長期的なキャリアプランを設定するにあたり、安定性は重要な要素です。安定志向が高いというのは悪いことではありません。

公認会計士の主なキャリアのうち、安定性が高いと考えられるのは事業会社と監査法人です。

事業会社では大手や上場企業の経理で働き、昇進を目指すというのが安定志向の方に向いているキャリアプランです。ワークライフバランスを維持しやすいため、事業会社は長期勤務に向いています。

監査法人ではパートナーを目指すのが王道のキャリアプランですが、大手監査法人ではポジションの空きがない場合が多々あります。そのため大手監査法人から中小監査法人へ移り、パートナーを目指すというパターンが考えられます。

やりがい

「やりがい」は仕事をするうえで大切な要素なので、やりがいを軸にキャリアを選択肢するのもひとつの考え方です。

やりがいを感じるかどうかは主観でしかないので、どんなキャリアであってもやりがいを持つことは可能です。ただし一般的な意見でいうと、コンサルティングファームや証券会社、ベンチャー企業のCFOなどはやりがいが大きいと言う方が多くいます。

特に監査法人での監査に飽きて監査以外の業務に就きたいという希望があった方は、このような傾向が見られます。その意味でいうと大手監査法人の国際部や非監査部門などでもやりがいを感じられるかもしれません。

独立・開業も経営のすべてが自分にかかっているという意味で大きなやりがいを感じられるでしょう。

グローバル志向

グローバル志向の方は、グローバルな環境で働ける職場を選択する必要があります。具体的には、大手監査法人や大手上場企業、外資系企業などがこれにあたります。

大手監査法人は海外のグローバルファームと提携しているため、海外派遣や海外出向の機会に恵まれる可能性があります。大手上場企業ではビジネスをグローバル展開しているケースが多いため、そうした部署に関与できれば目的を達成できます。

また英語力を活かせるという点ではベンチャー企業のCFOや起業家なども向いているキャリアです。

年収

公認会計士であればどのキャリアを選択しても一般的に見て低賃金ということはほとんどありません。しかし職場や職種によって年収に違いがあるのは事実です。

一般に、監査法人から事業会社や会計事務所へ転職する場合、年収は下がるケースが多いです。これは、監査法人はもともと年収水準が高いためです。

働き方によっても年収は変わります。コンサルティングファームやベンチャーキャピタル、ファンドなどはハードワークと引き換えに年収は高い傾向があります。

そこそこの年収でよいからワークライフバランスを維持したいのか、バリバリ働いてとにかく高年収を稼ぎたいのかといった自身の希望は確認しておいたほうがよいでしょう。

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希望のキャリアプランを実現するために備えておきたいスキル・経験

キャリアプランの実現可能性を高めるために、どんなスキルや経験があるとよいのでしょうか。

英語力

公認会計士の仕事に必ず英語力が求められるわけではありません。しかしビジネスのグローバル化が加速していることを考えると、キャリアの選択肢を広げるという意味で英語力は備えておきたいスキルのひとつです。

特にグローバル展開している大手上場企業や外資系企業、監査法人の国際部などで働く場合には英語力が求められます。また将来的にCFOを目指す場合やビジネスを起業する場合は海外投資家へのアピールが必要となるため、英語力が不可欠です。

インチャージの経験

監査法人におけるインチャージの経験は、一定以上の監査スキルがあることに加え、チームのマネジメント経験があることを証明できます。そのため、公認会計士としての専門性を求められる職場だけでなく、事業会社やファーム等の組織からも評価の対象となります。

インチャージの経験があるかないかで転職する際の市場価値が大きく変わるため、ぜひ経験しておきましょう。

IT関連のスキルや知識

公認会計士のクライアントとなる企業側でIT化が進んでいるため、公認会計士にもIT関連のスキルや知識が不可欠です。IT監査やERP導入支援、ITを活用した経営分析の高度化や業務効率化などさまざまな場面でITスキルが求められます。

ビジネスを起業する場合も、会計×ITを切り口にビジネスを展開している方が主流です。

IPOやM&Aなど特殊業務の経験

公認会計士が希望のキャリアを実現するためには、ほかの公認会計士との差別化を図るといった視点も重要になります。

単に監査の経験があるというのではなく、IPOやM&A、IFRS導入アドバイザリーなど特殊業務の経験があると差別化につながります。コンサルティングファームや証券会社で経験できるほか、監査法人でもクライアントのIPOやM&A支援を担当できれば市場価値が上がります。

公認会計士のキャリアプランの構築方法

最後に、公認会計士のキャリアプランをどのように構築するのかを解説します。

10年後・20年後に達成したいキャリアから逆算する

キャリアプランを構築する際には、つい現在と数年後の未来のみに着目しがちです。しかし公認会計士のキャリアは、必ずしも一度の転職で直接達成できるわけではありません。

たとえば監査法人からの転職だと、経験業務は基本的に監査のみなので、転職先は別の監査法人や事業会社の管理部門など限定されます。ファンドへ行きたい、CFOになりたいといったプランがあっても現時点では実現できないため、自分には達成不可能なキャリアだと考えてしまうことになります。

そこで、10年後・20年後に達成したいキャリアを設定し、そこから逆算して現在の職場や働き方を選ぶのが有効です。最終的なキャリアを実現するためにはどんな経験やスキルが必要なのか、その経験やスキルはどこで何年くらい働けば得られるのかといった流れで考えてみましょう。

そうすると、現時点でどのキャリアを選択するべきかが見えてきます。

私生活のプランも組み込んで考える

キャリアプランの設定にあたり、無視できないのは私生活のプランです。せっかくキャリアプランを設定しても、私生活に変化が起きて働き方や働く時間、勤務地などの変更を余儀なくされればプランを設定し直さなければなりません。

私生活のプランを確実に立てるのは困難ですが、ある程度の予測は可能です。たとえば「出産したら非常勤会計士としてキャリアを継続させる」「配偶者の転勤がこのくらいの時期にあるのが通例だからそれまでに監査経験を積み、その後は転勤先の会計事務所で働く」などざっくりでよいので考えておくとよいでしょう。

現在の希望や条件も踏まえて転職先を決める

長期的なキャリアプランを設定できても、現在の状況が自分にとってあまりにも不本意であれば、必要な経験を積む前に嫌になってしまいます。そのため現在の希望や条件も踏まえたうえで転職先を検討しましょう。

ただし、勤務地や給与、ワークライフバランスなどすべての希望や条件にこだわっていると転職先は見つかりません。また現在の不満にばかり目を向けると結局は再転職することになり、将来達成したいキャリア実現まで遠回りになってしまいます。

長期的なキャリアを軸とすることは忘れないようにしましょう。

キャリアプランで迷ったら転職エージェントに相談する

公認会計士のキャリアは多様であるがゆえに、どんなキャリアが自分にマッチするのか、キャリアを実現するために何が必要なのかなど迷いや疑問が生じるものです。キャリアプランの構築で迷ったら、転職支援のプロである転職エージェントに相談しましょう。

特に公認会計士のキャリアに詳しいエージェントであれば、キャリアの選択肢や必要な経験などを含めて的確なアドバイスをしてくれるはずです。今すぐに転職を考えていない場合でも相談に乗ってくれるエージェントが多いので、まずは相談してみることをおすすめします。

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まとめ

公認会計士は多様なキャリアを描けるのが魅力の職業です。

さまざまなキャリアプランが考えられますが、一度の転職で実現できないことも多いため、最終キャリアから逆算して検討することをおすすめします。

キャリアプランについて迷ったら転職エージェントも活用しましょう。

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ハイスタ編集部

一般事業会社の経理・財務・CFO候補に加え、監査法人・会計事務所への転職支援サービスも充実。転職成功事例や充実したサポート体制をお約束します。

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