公認会計士の転職
更新日:2022.05.30
公開日:2022.05.29
公認会計士とは企業会計の監査を行う専門家です。国家資格であり、医師・弁護士に並んで3大難関資格ともいわれています。
難関資格ということもあり、
公認会計士の転職市場は、コロナ禍でも売り手市場な傾向にあり、比較的、転職は簡単にできるといって差付けないかと思います。というのも、上場審査に携わる監査法人では、監査業務の複雑化を理由に人手を必要としており、事業会社でも会計基準の高度化・複雑化に対応するため、IPOを目指す企業では常に優秀な会計士を求めているのが現状です。
上記の調査を見ると、毎年90社前後の企業が上場承認を受けていますが、上場審査待ちの企業は裏に300社以上控えています。また、M&Aの事例も増加傾向にあります。そのため、事業会社内部で専門部隊として、あるいはコンサルティング会社のコンサルタントとして公認会計士が活躍する場面も増えてきました。
公認会計士の転職では非公開求人が珍しくありません。その理由として、専門人材を募集していることを他のライバル会社に知られたくないといった事情が考えられます。非公開求人の情報は、転職エージェントやコンサルティングサービスを利用しない限り入手することはできません。これらのサービスを上手に活用することが、公認会計士の転職を成功させる大きなポイントといえそうです。
ここでは、公認会計士の転職事情について紹介します。
目次
転職を考えるうえで見極めたいのは転職市場の動向です。それにより今から転職活動を始めるべきか、少し待ってから転職活動を始めるべきかが変わってくるからです。以下で転職市場の全体像と、会計業界の採用動向を見ていきましょう。
まず転職市場全体の動向を見ると、新型コロナウイルス感染拡大の影響で有効求人倍率が下がり、転職市場は悪化傾向にあります。
有効求人倍率とは、仕事を求めている1人に対して企業から何人の求人があるのかを示す数値のことです。有効求人倍率が1.0を超えると求職者よりも求人数が多く(求職者有利)、1.0を下回ると求人よりも求職者のほうが多く(求職者不利)なります。
2020年の有効求人倍率(季節調整値)の推移は以下のとおりです(新卒学卒者を除き、パートタイムを含む)。
新型コロナウイルスの感染拡大が本格的に広まったのは2020年の2月頃なので、その影響がダイレクトに有効求人倍率に影響を与えていると見てとれます。また前年および前々年と比較すると、2018年の1年間の平均が1.61倍、2019年は1.60倍であるのに対し、2020年の平均は1.19倍と大幅に低下しています。
公認会計士の転職市場については公式な統計はありませんが、転職エージェントの調査・見解や求人の現状から転職市場を分析します。
会計業界に特化した転職エージェント「REXアドバイザーズ」の調査によれば、コロナ禍における中途採用について「チャンスと捉えている」「どちらかというとチャンスと捉えている」との回答が全体の約6割にのぼりました。回答企業には監査法人以外も含まれますが、全体的にはコロナ禍で中途採用をすることに関して意欲的であることが見てとれます。
参考:KaikeiZine|「新型コロナウイルス感染拡大に伴う中途採用への影響」についてのアンケート結果
理由のひとつには、監査を独占業務とする監査法人の強みが挙げられるでしょう。景気の良し悪しとは関係なく監査は行う必要があり、一般企業と比べると直接的な受注減は起こりにくいため、コロナの影響は限定的といえます。またコロナ禍では事業譲渡や経営統合といった不景気ならではの業務が増えるため、これらの業務に対応できる人材を求める傾向も見られます。
ただし、コロナ禍の前と比べて厳選採用の傾向が強まったことから、採用のハードルは上がっています。リモートワークが普及してこれまで通りのマンツーマンの指導機会を与えられないこともあり、即戦力となる優秀な人材を求める傾向が見られます。
税理士法人・事務所についても、大手や中堅に関してはコロナ禍でも中途採用に積極的な姿勢を見せています。理由としては、景気の動向にかかわらず税務業務は発生することが挙げられます。
またコロナ禍においては企業・事業再生業務、持続化給付金などの助成金や無利子の公的融資制度などの提案をする業務もあります。
個人税理士事務所に関しては代表の意向に左右されることもあり、採用動向は二極化しています。この機会にこそ優秀な人材を確保したいと考える事務所、現状は様子見で感染拡大が落ち着いてから採用活動をスタートさせたいと考える事務所があります。
ここまでを総合すると公認会計士の転職市場におけるコロナの影響は限定的だといえますが、楽観視はできません。クライアントの経営が厳しければ報酬の引き上げが難しく、収益の向上が見込めないでしょう。結果として新規の人員獲得に消極的になる可能性があります。
また国際領域に強みをもつ法人・事務所ではコロナを理由に採用を制限するケースがあるため、この領域での転職を希望する公認会計士にとっては厳しい状況となっています。
まず、公認会計士が活躍する場について紹介します。
公認会計士の多くは監査法人で働いています。監査法人とは公認会計士法に基づき5名以上の公認会計士によって構成される法人のことを指します。大会社(最終事業年度に係る貸借対照表の資本金が5億円以上、または、最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部の合計額が200億円以上である株式会社)は、企業の監査が義務となっていますので、監査法人は主に上場企業などの会計監査を行います。
中でも従業員数・実績が突出している
はBIG4と呼ばれ、公認会計士資格を取得したらまずBIG4で経験を積もうと考える公認会計士も多いです。
公認会計士としての知識を活かして、企業のコンサルティングを行う企業(FAS:ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)に勤める人もいます。監査法人は、企業の会計が正しくできているかをチェックする役割ですが、FASの場合はいかに戦略的に事業拡大ができるかなどを財務面からアドバイスします。
具体的にはM&A・企業再生・不正調査などのアドバイザリー業務が主な仕事内容となります。例えば、事業拡大を効率的に行うためM&Aを行うと想定しましょう。このような場合、デューデリジェンス・企業価値算定・交渉支援、ディール全体のマネジメントなどをFASが担います。
FASの中で存在感があるのは世界的会計事務所の
です。
中堅FASとしてはM&Aセンター・GCA FAS・山田&パートナーズがあります。
税理士法人で公認会計士兼税理士として活躍するケースもあります。公認会計士は無試験で税理士登録をすることができます。そのため、個人の確定申告・法人の財務資料の作成などをサポートしたい場合には税理士として活躍することもできるのです。
大手企業のほとんどは大手監査法人と契約を結んでいるので、独立して大手企業と契約を結ぶのは難しいです。公認会計士として独立する場合はIPO準備やコンサルティングなど回公認会計士から派生した仕事になることがほとんどのようです。
一方、税理士法人の方が個人~大企業までニーズも多いので、将来独立することを見越して税理士法人で経験を積む人もいらっしゃいます。
公認会計士としての知識を活かして、一般事業会社の組織内会計士として活躍する公認会計士もいます。日本公認会計士協会によると、2020年12月末時点の組織内会計士の正会員数は2139名でした。2014年12月末時点では985名だったので2倍以上に増えていることがわかります。
組織内会計士の仕事は以下の内容が主です。
- 経理業務(財務諸表の作成、M&A、国際税務、連結納税など)
- 財務業務(財務方針・財務戦略の策定、経営分析結果の経営計画への反映など)
- IR業務(経営情報の管理・分析・発信など)
- プロジェクト業務(内部統制の構築、IFRSの導入など)
一般事業会社は働き方改革が積極的に行われているので、残業が少なく有給がとりやすいなど働きやすい環境になっていることが多いです。また、育休・産休・時短制度が整っていることも多く、女性にとっても働きやすい環境でもあります。そのため、特に女性の会計士にとって働きやすい環境といえるでしょう。
一般事業会社のCFO(最高財務責任者)として活躍する公認会計士もいます。CFOは企業の経営陣として財務を戦略的に考える役割です。例えば、事業を拡大するためにどの企業を買収するか、逆にリストラクチュアリングするためにどの部門を切り捨てるかを決めていきます。
経営を仕切るCEO(最高経営責任者)と並び重要なポストであり、監査法人での実績がある公認会計士をCFOとして迎えるケースが多く見られます。
上場企業では、2021年3月より社外取締役の設置が義務化されました。そのため、社内に会計に強い人材が少ない場合には、社外取締役として公認会計士を迎える企業もあります。また、上場をしていなくても、IPOを目指す企業が社内の会計体制を整えるために社外取締役として公認会計士を迎えるケースもあります。
転職が成功するかどうかは求職者の年齢によっても異なります。公認会計士の転職に年齢がどう影響するのかに触れたうえで、年代別に成功しやすい勤務先について見ていきましょう。
公認会計士の転職難易度について説明します。
一般的な仕事では「35歳転職限界説」などありますが、公認会計士の場合はスキルや実績が認められれば転職はしやすい傾向にあるようです。特に大手監査法人での実績があれば、FASへ転職したり、一般事業会社へCFOや社外取締役として迎えられたりすることも難しくないでしょう。
公認会計士試験は年齢制限がないため、転職においても単純に年齢だけで成功が決まることはなく、年齢と経験を加味して採用可否を判断されます。大卒のストレートで試験に合格した場合の年齢で考えると、監査法人で5年以上の経験を積んだ20代後半から30代前半の求職者が好まれる傾向にあります。
40代以降は求人が限定されてきますが、経験値の高い公認会計士を管理職として迎え入れたいと考える法人・企業も多いです。
ただし、どの転職先を選ぶのかによっても異なります。たとえば監査法人での経験がない場合に一般事業会社へ転職するのならはやいほうがよいでしょう。一般事業会社への転職に限らず、未経験の分野に転職するなら30代前半までがひとつの目安となります。
20代は監査法人からのキャリアをスタートさせる人が多いですが、学生時代の考え方や就職難などで監査法人以外からのキャリアになる人もいます。その場合は公認会計士に必要なスキルを得るために再チャレンジとして監査法人へ転職し、実績を積むケースが比較的多く見られます。
監査法人での経験を5年ほど積んだ20代の会計士であれば、若手即戦力としてのニーズが高まっているため、幅広い選択肢があります。20代のうちは未経験でもチャンスが十分にあるためチャレンジするなら早いうちがよいでしょう。
30代は監査法人での経験を十分に積んだことから、キャリアを活かした転職が成功しやすい時期にきています。結婚などライフイベントの変化を通じて働き方に目を向ける機会が増えるため、ワークライフバランスをとりやすい一般事業会社が人気です。採用側としてもリーダー的なポジションを任せられ、かつ会計の知見がある30代の公認会計士を求めているため、一般事業会社への転職はチャンスが大きいといえます。
コンサルティングに興味をもつ方も増える年代ですが、未経験でコンサルティングファームへの採用可能性が高いのは30代までです。意欲が高いのなら、30代のうちに自身の特性やスキルがコンサル業務に向いているのかをじっくり考えてみるのがよいでしょう。
40代以降になると年収が採用の足かせになるケースが増えてきます。想定年収が高いことから若い人材を育てるほうがコスパがよいと捉えられやすいからです。求人件数も徐々に減ってきたと感じるでしょう。
一方で、一般事業会社の管理部長やベンチャー企業のCFO(財務責任者)候補など、マネジメント経験を活かせる重要ポジションであればチャンスがあります。ベンチャー企業の場合はリスクもあるため慎重さが求められますが、年収を下げないで転職したい40代の方は一考の余地があります。
女性は一般的に出産や育児のために転職がしにくい傾向にあります。特に一度正社員を辞めてしまうと、どんなに優秀な人材でも正社員として再就職するのは困難です。
一方、公認会計士の場合は難関資格を取得していることもあり、一度キャリアを断絶しても復帰しやすい傾向にあります。例えば、子供が小さい内はパートやアルバイトで限られた時間だけ働き、子供が成長したら正社員として再就職することも可能です。
更に、最近では社外取締役として公認会計士を迎えたい企業が増えています。取締役に女性を迎えたいと思う企業も多いので、公認会計士資格を所有していれば社外取締役として活躍できる可能性も高いです。
このように、公認会計士資格を取得した女性は転職しやすいといえます。
公認会計士の転職市場は、超売り手市場だった数年前と比べるとやや鈍化していますが、幅広い求人が定期的に出されている状況です。では、公認会計士が転職するとしてどのような転職先が候補となるのでしょうか。またどんな経験やスキルを求められるのでしょうか。
公認会計士の醍醐味ともいえる監査業務に従事できるのが監査法人です。監査業務の複雑化や昨今の大企業の不正発覚もあって定期的に人員を募集しているため、求人自体は比較的豊富にあります。監査法人以外から監査法人へ転職する場合は、年収アップがもっとも叶いやすい転職のパターンです。
Big4と呼ばれる大手では取引先の規模が大きくグローバル企業も多いため、ダイナミックな案件を担当できる魅力があります。給与・待遇がよいため離職率が低いこと、大手を希望する人が多いことから採用のハードルは高めですが、優秀な公認会計士には門戸を開いています。
準大手や中小規模の監査法人では積極的な採用傾向が見られます。大手と比べると給与や待遇は見劣りしますが、幅広い業務を担当できてやりがいを感じやすい点、ハードワークの改善が進んでいる点などが魅力です。コンサルなど非監査業務の経験もできるので、将来を見据えて転職するケースも多く見られます。
監査業務で求められるのは高度な会計知識と正確性です。膨大な資料を期限内に確認するため効率よく業務を進めるための処理能力も求められます。監査はチームで取り組むため、協調性の高さやコミュニケーション能力なども必要です。
コンサルなどの非監査業務に就く場合には業務改善や問題解決のための提案力が必要です。また企業のグローバル化にともない英語力を重視する法人が増えています。
近年のコンサルティングファームは人材確保の観点からコンサル未経験者にも門戸を開いているため、公認会計士も転職しやすくなっています。公認会計士の知見を活かせるのは基本的にはFAS(財務・会計)系のコンサルティングファームですが、全く別の畑となる戦略系のコンサルティングファームに転職する人も少なからず存在します。
監査法人からほかの業態に転職する場合、年収がダウンするケースが多いですが、コンサルティングファームへの転職では年収を維持できるケースが多くなっています。また将来的にIPOを目指すベンチャー企業への転職を考える人が、IPO支援や財務アドバイザリー業務の経験を積むためのステップとしてコンサルティングファームを選ぶケースもあります。
顧客からのニーズに素早く対応し、戦略的なプランを提案することができる人材が求められています。そのためには高度な問題解決能力やコミュニケーション能力が必要です。評価の対象となりやすい経験としては、M&A・事業再生・事業譲渡・財務デューデリジェンス・マーケティングの知識などコンサル系の業務経験が挙げられます。
またBig4系のコンサルティングファームではフォレンジック業務(不正調査)の分野も注目を集めているため、会計監査や内部統制に関する専門的な知識があると有利です。
税理士法人・会計事務所も公認会計士の転職先としては人気が高いです。大手の場合はM&Aや事業計画の提案、中小の場合は企業会計や税務業務を中心に行います。
監査法人と比べて顧客との距離が近い点や横断的に業務を経験できてやりがいが大きい点などが決め手となり、税理士法人や会計事務所へ転職する人は珍しくありません。将来的に会計事務所で独立を目指す人場合には実務と経営手法の両方を学べる魅力もあります。
税務関連の業務が多いことから税務の専門的知識をもつ税理士のニーズが高いため、公認会計士だからといって簡単に転職できるわけではありません。しかし組織再編やM&Aに関する業務を扱う場合は公認会計士のニーズが高いのでチャンスがあります。
また中堅会計事務所の場合はコンサルティング業務ができること、専門特化型の会計事務所ではITや福祉の知識がある公認会計士を求めるケースが多く見られます。
会計基準の高度化や事業の複雑化にともない、一般事業会社にも公認会計士の需要があります。経理や財務部門での監査対応、または経営企画室で経営環境の分析と経営計画の策定・実行のサポートにあたるのが一般的なケースです。
公認会計士を求める事業会社は上場企業や大手企業が多く、労務管理体制が整っているため、監査法人やコンサルティングファームと比べてワークライフバランスをとりやすいのが魅力です。内側から企業の発展に寄与できる点も転職理由としてよく聞かれます。
一方で、年収が下がるケースが多い点に注意が必要です。特に監査法人からの転職だと年収が下がる可能性が高いため、長期的に見た働きやすさなども踏まえて検討するのがよいでしょう。
会計業務以外に内部統制報告制度の構築、監査法人への対応など幅広い業務ができる人材を求めています。公認会計士を役職者として転職するケースも多いので、チームを指揮・教育するマネジメント能力も求められます。その業界の監査を担当した経験や、事業会社の経理部への出向経験があると評価の対象となりやすいでしょう。
企業の一員としてIPOに携われる、当事者の立場で経営に関われるなどの理由からベンチャーやスタートアップ企業への転職を考える公認会計士もいます。採用ポジションとしては経理責任者やコンサルタントなどがあります。
40代・50代の経験豊富なミドル層の会計士を採用したいと考えるベンチャー・スタートアップ企業も多いので会計士のニーズはそれなりにある状況です。短期間で濃密な経験を積めてスキルアップできることから、将来的な起業を見据えて経験を積みたいと考える会計士にとっても選択肢のひとつに挙げられるでしょう。
初年度の年収は下がるケースが多いので、転職の軸となるのは年収以外の点です。事業内容の将来性や経営者の熱意、代表との相性など多角的な視点で転職を検討する必要があります。
ベンチャー・スタートアップ企業で求められるスキルは多岐にわたりますが、経理・財務体制の整備や監査法人の対応などがあるため、監査法人での経験は活かせます。とりわけIPOに関する業務ができる人材は重宝されるでしょう。
ケースとしては稀ですが、金融機関・投資会社へ転職する公認会計士もいます。企業の買収や資金調達など財務関係の業務を多く取り扱うことになるため会計士のニーズがあります。
監査法人よりハードワークになる可能性が高い点には注意が必要ですが、年収アップが見込める期待があります。ただし採用ハードルは極めて高く、学歴や年齢、語学力など変えられない要因で不採用となるケースも少なくありません。
監査の延長線上にある財務デューデリジェンス業務の経験を活かせますが、経営管理やマーケティングなど経営全般に精通していることが求められます。したがって監査業務の経験だけでは不足しており、FASやそのほかの特筆すべき実績などが必要です。対顧業務となるためコミュニケーション能力も必須です。
公認会計士が転職を考える理由にはどんなものがあるのでしょうか。
公認会計士がスキルアップを理由に転職を考えることはポジティブな要因としてあります。例えば、監査法人で監査方法をやさまざまな企業の会計方法を学んだ後に、企業に対して財務的なコンサルティングを行いたいと考えてFASへ転職するケースもあるでしょう。
収入アップを見込んで転職を考えるケースもあります。公認会計士は平均年収が高めですが、所属する監査法人などにより異なります。例えば、中小規模の監査法人に比べると大手一般事業会社で組織内会計士になった方が収入アップすることもあるでしょう。
企業の会計監査をする立場(監査法人)から、個人や企業の財務書類を作成する側(税理士事務所)にキャリアチェンジしたいと考えるケースもあるでしょう。税理士としての立場では、財務資料を作成するという立場から、節税のアドバイスなどもできます。
クライアントから見て監査法人の立場は、チェックされる側なので緊張した空気が漂い親しみを感じにくいです。クライアントに寄り添った仕事をしたい場合にはこのようなキャリアチェンジも有効です。
なんで監査法人辞めたいシニアが多いかわかってきた…もう既につらいわ…こんなの何年もしかも年中やってたら気が狂いそう
このうえスタッフに「それは主査の仕事です」とか言われたらもう限界だわ#公認会計士 #監査法人— びたー (@bittersend81) May 30, 2019
監査法人は、公認会計士という難関資格を取得した人の集まりでプライドが高い人も多いでしょう。また、出世レースも厳しくなるので人間関係に疲れてしまうケースもあるのではないでしょうか。
一方、一般事業会社では難関資格に合格した公認会計士優秀な人材として尊敬して扱ってもらえることが多いです。他に頼る人がいないので自分自身の力で問題を解決しなければいけませんが、一般事業会社に転職することで人間関係などのストレスから解放されることもあるでしょう。
従来に比べると監査法人の労働環境は改善しているようですが、終電帰宅・休日出勤などもともとの激務体質の名残はあります。そのため、残業や休日出勤が辛いと感じる場合には転職を考える人もいるようです。
特に大手一般事業会社では働き方改革により、残業時間を大幅にカットしたり、有給取得を促したりする企業が増えています。コロナの影響もあり、リモートワークが急速に進んだ会社も多いです。
一般事業会社に勤める組織内会計士は、その企業の規則に従い働くことになります。ワークライフバランスが整っている企業に転職すればメリハリがある働き方を手にできるでしょう。
転職が成功する可能性を考えるうえで年齢以外に気になるのは、転職時期(年間のスケジュール)です。1年の中で転職に適した時期はあるのでしょうか?
求人が多くでる時期を待ってから転職しようとすると、現職でプロジェクトが開始した、景気などの外的要因に変化があったといった理由で転職のチャンスを逃す可能性があります。求人が多ければライバルも増えるので、求人が多くでる時期が必ずしもよいとは限りません。公認会計士の中途採用に関しては随時募集しているので、転職意欲が高まったときこそが転職に適した時期だといえるでしょう。
一方で、より多くの選択肢の中から選びたい場合には時期を見極めることで選択の幅が広がる可能性もあります。また希望の業界や現職の繁忙期を避けたほうが腰を据えてじっくり転職活動ができ、転職先を慎重に選べるというメリットもあるでしょう。
求人がでやすい時期は希望の転職先によって異なります。以下、転職先別に求人がでやすい時期の傾向を挙げます。
日本企業の多くが3月決算となるため、3月下旬から5月上旬が繁忙期にあたります。外資系企業の場合は12月決算が多いため2月頃までは繁忙期です。したがって繁忙期が落ち着いた6月から11月頃に採用活動が活発化します
プロジェクト方式で進める案件が多いコンサルティングファームは年間のスケジュールが定まっていないため、求人が多い時期というものは基本的にありません。ただし会計色の強いファームであれば企業の決算に絡んで3月頃は繁忙期となるため求人が少ない可能性があります。
確定申告や3月決算法人の業務が落ち着いた4月下旬から6月にかけて求人が増えてきます。税理士試験が終わる8月~9月に求人を出す法人・事務所もあります。
会計士が転職しやすい経理部門では3月~4月が繁忙期にあたるため避けたほうが無難です(3月決算の場合)。5月下旬から6月にかけて採用活動が本格化する傾向にあります。
1年を通じて求人の波はほとんどないため、フィットする求人があれば応募するべきと考えればよいでしょう。
年度初めの計画に従い、上期に採用活動が活発化します。特に4月6月に増える傾向があります。
公認会計士の転職方法を紹介します。
転職エージェントに登録すると、希望する条件に合った企業を担当のキャリアアドバイザーが紹介してくれます。公認会計士に特化した転職エージェントもありますので、そのようなエージェントを利用すれば公認会計士の求人を紹介してもらえる可能性が高まるでしょう。市場に出回っていない求人に出会える確立も高いです。
公認会計士向けの求人サイトもあります。求人サイトに登録すると、自分の希望条件の求人を検索することができます。さまざまな求人と労働条件や年収など比較しやすい点もメリットです。
また、求人サイトは自分のペースで転職活動を進められます。もし急いで転職活動をする必要がないのであれば、求人サイトに登録をしておいて、希望の求人を見つけたときだけ転職活動をするというやり方もできます。
転職したい監査法人や一般事業会社に知り合いがいる場合には、採用担当者を紹介してもらうというのも一つの方法です。転職エージェントや求人サイトを利用すると、紹介手数料が発生するので求人企業としてはコストになります。
しかし、紹介なら手数料が発生しません。また、紹介者から事前情報を得られるので企業としても安心ですし、ミスマッチも起こりにくいです。良い人材と判断されれば採用してくれる可能性が高いでしょう。
異業種懇談会に参加してコネクションを作るのも一つの方法です。例えば、CFOや社外取締役を探している企業の経営者に出会うことができれば、そのまま採用の話に繋がる可能性があります。このようなケースもあるので、転職したいのであれば積極的に人脈を広げることをおすすめします。
公認会計士としての実績が雑誌や新聞で紹介されたり、業界で噂されたりすればヘッドハンティングされる可能性もあるでしょう。
公認会計士が転職を有利に進めるためにダブルライセンスで取得したい資格を紹介します。
特に大手企業がクライアントになる場合は、海外案件の取り扱いも増えます。そのため、英語力の証明となるTOEICの点数が高いと有利に転職できる可能性が高いでしょう。英語力があると、海外M&A案件に携わったり、海外現地法人の監査に携わったりとキャリアアップにも繋がります。
USCPA(米国公認会計士)とは米国各州が認めている公認会計士資格のことです。海外での認知度・取得者も多いのでUSCPA資格を取得することで、日本のみならず海外での活躍もできるようになります。海外で公認会計士として活躍・スキルアップしたいならおすすめの資格です。
弁護士資格も公認会計士と並び難関資格です。しかし、法律の専門知識と会計の専門知識が合わされば鬼に金棒。例えば、M&Aは会計面のデューデリジェンス・法務面のデューデリジェンスが必要です。通常、それぞれの専門家が対応しますが、一人で対応できればクライアントとしても安心ですし、得られる報酬も増えます。
公認会計士は無試験で行政書士の登録ができます。行政書士の登録をすると会社設立の書類や相続発生時の遺産分割協議書など官公署に届ける書類の作成が可能です。業務の幅が広がるので登録することをおすすめします。
不動産鑑定士は不動産の鑑定評価を行う資格です。難関資格ではありますが、公認会計士試験の選択科目である民法・経済学が免除になるので、他の受験生に比べると優位に資格取得できます。M&Aで不動産評価が絡むデューデリジェンスを行う業務を行いたいという場合にはおすすめです。
米国の会計基準であるIFRS(国際会計基準)の普及が急速に進むと言われていることから、語学力(英語力)が評価されるケースが増えています。ただし、外資系企業やグローバル企業を取引先にもつ監査法人やコンサルティングファームへの転職を希望する場合は、有利というより当然に求められると考えておきましょう。
IT監査のニーズの高まりを受け、ITの知識が豊富な公認会計士を求める法人・企業が増えています。また効率よく業務を進めるという点でもITスキルが不可欠です。公認会計士の中でITスキルが高い人はまだまだ多くないのが現状なので、ほかの応募者との差別化を図りやすいスキルといえます。
会計と税務は切り離せない関係にあるため、税務の知識があると評価の対象になります。将来的に独立を考えている場合にも税務の知識や実務経験が不可欠です。
監査法人で監査を淡々とこなすだけで満足できるのなら大きな問題はないのですが、このままだとだめだと考えてコンサルティングファームや会計事務所などへ転職する人も多くいます。その場合は自らが考えて提案する力や営業マインドが必須です。
最後に公認会計士が転職活動で失敗しないためのチェックポイントを紹介します。
業務内容に興味があるかは転職において最も重要です。例えば、ワークライフバランスを整えるために監査法人から一般事業会社へ転職する場合、業務内容は異なるものになります。そのため、業務内容に興味がないと途中で働く意味を見失ってしまったり、つまらなくなったりするかもしれません。
やる気がなくなれば出世や収入にも影響が出てきてしまうので、興味があることを選ぶのが大前提です。
労働環境や福利厚生は企業により大きく異なります。例えば、収入は増えても残業が多い企業に転職すれば、体調を崩したり、忙しさから家族仲に亀裂が入ったりする恐れがあります。
また、女性の場合は産休・育休・時短勤務などがきちんと取れる体制ではないとせっかく転職しても仕事を辞めることになってしまうかもしれません。転職時には、面接時に確認したり、インターネットで口コミを探したりするなどして、きちんと確認すべきといえるでしょう。
公認会計士は試験に合格すれば公認会計士になることができるので、資格を取得することに関しては男女の優劣は付きにくいです。しかし、残業や休日出勤が多い環境だと男性に比べると体力がない女性は出世しづらいです。育休などを経て活躍している女性社員がいるかも確認しておきたいポイントです。
女性でも男性に負けずにバリバリ活躍したいと思うのであれば、管理職となった女性はどれくらいいるかなども確認しておくと良いでしょう。
近年はダイバーシティ(多様性)が求められる時代ですので、女性だから、男性だからという性別だけではなく、人種、国籍、宗教、年齢、学歴、職歴など多様さを経営に活かすことが求められるため、そういった制度に理解がある職場であったり、監査法人であれば企業に対しての意識付けを行う立場ですので、正確に理解しているかを判断すべきと言えます。
ダイバーシティ経営の推進
女性をはじめとする多様な人材の活躍は、少子高齢化の中で人材を確保し、多様化する市場ニーズやリスクへの対応力を高める「ダイバーシティ経営」を推進する上で、日本経済の持続的成長にとって、不可欠です。
経済産業省では、企業の経営戦略としてのダイバーシティ経営の推進を後押しするため、「新・ダイバーシティ経営企業100選」や「なでしこ銘柄」の選定により、先進事例を広く発信するとともに、女性を含む多様な人材の活用を経営戦略として取り込むことをより一層推進するための方策を検討しています。また、企業の経営層に女性を含めた多様な視点が入ることは、企業の競争力向上に資することから、将来の企業経営を担う幹部候補の女性を対象とする企業横断的な「リーダー育成事業」を推進しています。
ロールモデルになりそうな人が働いている環境か
ロールモデルになりそうな人がいるかも転職時に確認したいポイントです。例えば、海外案件に携わりたいのであれば実際に海外案件で活躍している方のインタビューなどをホームページなどで確認してみましょう。OB訪問という形で実際に合わせてもらうのもいいかもしれません。憧れの人がいることでモチベーション高く仕事に取り組むことができるでしょう。
参考:令和元年度 新・ダイバーシティ経営企業100選表彰企業
独立を考えるのであれば独立を見越したキャリア形成が大切です。例えば、大手監査法人出身の場合は経歴に箔がつきます。一方、中小の税理士事務所や監査法人の場合、一人一人に任される領域も広いので、自分でできることが増えます。独立時に何が必要なのかを考えて、自分に足りないものを補う転職をしましょう。
公認会計士の退職理由でよくあるのは人間関係ですが、実際には入所してみないと分からない部分があります。しかし転職時に社風を確認することでリスクをある程度抑えることができます。たとえば監査法人といっても体育会系のノリがある法人、真面目で努力家が多い法人など社風には特徴があります。自分の性格や考え方と社風がマッチしていないと転職後に不満を抱える可能性が高いため、現場の温度感を含めて確認しておきましょう。
欠員補充なのか、業務拡大なのかといった募集背景も確認しましょう。たとえばワークライフバランスを重視して転職したものの、転職後に退職者が立て続けに出たために業務量が多くなってしまったという失敗が考えられます。募集背景を確認しておけばこのような失敗を回避できます。
安定したビジネスモデルなのか、将来的な事業の継続可能性が高いのかといった点も大切なポイントです。特にベンチャー・スタートアップ企業への転職を希望する場合は、将来性を見誤ったことで結局は上場を果たせずに再転職を余儀なくされるケースがあるため注意が必要です。企業HPだけでなくIR情報も見るなどして事業の方向性を確認しておきましょう。
豊富な経験や優れたスキルがあっても、応募先で活用できなければ転職につながりません。先方が求めている保有スキル・経験が合致しているか、差があるならどれくらいかを確認することが大切です。
中途社員の定着率を知ることで、働きやすさや満足度の度合いを測ることができます。定着率が低ければハードワークや業務内容など何かしらの不満につながる可能性が高まります。面接では聞きにくい質問になるため、転職エージェントを通じて確認するとよいでしょう。
厚生労働省の令和元年賃金構造基本統計調査によると、公認会計士・税理士合わせた年収の平均は6,835,000円でした。税理士も含んでいるため正確な数字ではありませんが、日本人の平均年収は500万円程といわれているので、それに比べると高い水準であることがわかります。
区 分 士業系のみ抜粋 |
企業規模10 人以上 | |||||
平均年齢(歳) | 平均勤続年数(年) | 所定内労働時間 (月) |
所定内給与 (月給/千円) | ボーナス (年間/千円) | 労働者数(十人) | |
公認会計士、税理士 | 42.7 | 11.0 | 154 | 472.0 | 1171.5 | 518 |
医師 | 40.7 | 5.2 | 156 | 910.0 | 772.3 | 6,707 |
歯科医師 | 36.0 | 5.7 | 158 | 450.4 | 296.2 | 1,333 |
獣医師 | 40.5 | 9.2 | 165 | 425.9 | 604.8 | 236 |
薬剤師 | 39.4 | 7.9 | 160 | 398.6 | 833.3 | 5,895 |
看護師 | 39.5 | 8.2 | 154 | 334.4 | 816.3 | 63,031 |
准看護師 | 50.2 | 11.6 | 158 | 282.4 | 641.6 | 14,019 |
診療放射線・診療エックス線技師 | 38.9 | 10.0 | 158 | 346.2 | 865.1 | 3,449 |
臨床検査技師 | 38.7 | 10.1 | 157 | 311.4 | 875.4 | 4,378 |
理学療法士、作業療法士 | 33.3 | 6.2 | 158 | 287.5 | 646.4 | 15,718 |
歯科衛生士 | 34.9 | 6.7 | 162 | 268.7 | 480.4 | 2,540 |
歯科技工士 | 38.6 | 10.1 | 171 | 296.2 | 293.5 | 1,072 |
栄養士 | 35.4 | 7.7 | 163 | 246.4 | 608.2 | 7,108 |
保育士(保母・保父) | 36.7 | 7.8 | 163 | 244.5 | 700.6 | 25,614 |
弁護士 | 40.1 | 5.5 | 160 | 502.5 | 1255.6 | 264 |
社会保険労務士 | 44.7 | 13.4 | 170 | 334.9 | 841.4 | 60 |
不動産鑑定士 | 46.6 | 7.5 | 146 | 490.3 | 1662.3 | 6 |
参考:厚生労働省
また、MSAGENTに登録している方のデータによると、BIG4の平均年収は約788万円とのことでした。企業規模が大きくなると平均年収が上がることもわかります。
公認会計士の独占業務である会計監査は景気に左右されない仕事です。そのため、景気によって求人が大きく減るということは考えにくい職種といえるでしょう。
しかし、公認会計士の主な仕事である会計監査は、ルーティン的なチェックも多い関係上、公認会計士の仕事はIT技術の発達とAIの登場AIにより減っていくという話もあります。
ただ、AIがいくら発達したとしてもすべての業務をAIに任せることはできませんし、感情を汲んでの人間味のあるアドバイスなどは必要でしょう。そのため、すぐに公認会計士の需要が減るということは考えにくいです。
会計監査って必ず必要な仕事で、絶対に誰かがやらなければならない仕事なのに比較的難易度が高く、上場会社の数はこれからも増え続けるので、監査法人勤めの公認会計士の将来は安泰。旦那が監査法人を辞めたいと言い出したら全力で止めるのを奥様方にはお勧めする。
— カヤバ公認会計士/シンガポール専門家/国際税務/税理士 (@Gen_Kayaba) February 3, 2019
また、不正を排除し、ステークホルダーにクリーンなイメージを与えたいと考える一般事業会社も増えています。公正な会計を行っていることをアピールできれば、投資をしてもらえたり、取引先が増えたりすることが考えられるからです。
そのため、今まで以上に一般事業会社での組織内会計士の雇用や、CFOや社外取締役しての需要が増えることが予想できます。
ここからは公認会計士が転職を成功させるために何が必要なのかについて解説します。
転職の目的が明確になっていなければ、応募先を適切に選ぶことも、応募書類や面接で印象に残る志望動機を伝えることもできません。そのため、まずは転職の目的を明確にすることが大切です。今回の転職で実現させたいことを2~3つ答えられるようにしておきましょう。
ブレのない転職理由があり、業務へ取り組んできた姿勢とのつながりもあれば強い志望動機を作成でき、採用の可能性を高められます。
転職後にどのようなキャリアを築けるのかも大切です。中長期的なキャリアを明確にしてから転職先を決めることで、必要な経験は何か、どこで働けばその経験を得られるのかがおのずと見えてくるでしょう。
給与や待遇など表面的な面だけで応募先を選ぶことがなく、失敗も回避しやすくなります。万が一失敗した場合のリカバリーが可能かどうかという意味でも中長期的な視点が必要です。
公認会計士はもともとの年収が高いこともあり、年収アップはおろか、年収維持も容易ではありません。年収にこだわりすぎると選択肢が狭まるため、希望年収には幅を持たせておき、どこまで許容できるのかを決めておくのがよいでしょう。特に監査法人から転職する人は年収ダウンも想定しておくべきです。
もっとも、初年度は高い年収を設定せず、経験に応じて年収を上げていくケースもよくあります。どのように昇給するのかを確認しておけば一時的な年収ダウンに一喜一憂せず、モチベーションも保ちやすいでしょう。
どんなに優秀であっても、魅力的な履歴書・職歴書を作成できなければ書類選考を突破できません。とくに職歴書は公認会計士としてどんな経験を積んできたのか、どんなスキルがあるのかを具体的にアピールするための重要な書類です。
ポイントは、単に経験・スキルを列挙するのではなく、採用担当者にとってあなたを採用するメリットが分かるように書くことです。そのためには自身の経験・スキルを丁寧に棚卸しすること、応募先の募集ポジションやサービス内容を研究する必要があります。
経験・スキルと応募先が求める人材像にマッチした内容に仕上げることを意識しましょう。
公認会計士は業務の専門性が高く業界の特性も大きいため、会計士専門の転職エージェントを利用して転職活動を進めるのがよいでしょう。業界・職種事情に精通しており、より具体的なアドバイスが受けられます。
転職を成功させるためには転職エージェントの利用が必須です。自分の市場価値を客観的に判断してくれる、転職市場の現状を把握しているため転職のタイミングを見極めやすいといった利点があります。
非公開求人とは、何らかの理由に人材募集していることを知られたくない求人のこと。また公認会計士は高度な専門性を有する人材であることから求人の秘匿性が高いため、非公開求人を保有する転職エージェントで求人を出すケースが多くあります。非公開求人に応募できるのも転職エージェントの大きな利点です。
特に今回ご紹介したようなCFO候補、IPO準備室などはエージェントの非公開求人に集中しているため、転職エージェントを活用した情報収集は必須と言えます。ほかにも職歴書や面接のアドバイスを受けられる、応募先の内情を知れるなど利用価値が高いため利用を検討しましょう。
表:公認会計士の転職に強い転職エージェント
msAgent | 士業管理部門特化の大手転職エージェント |
マイナビ会計士 | マイナビグループの公認会計士・科目合格者を専門にした転職支援サービス |
ジャスネットキャリア | 会計、税務、経理・財務分野に特化した転職エージェント |
REXアドバイザー | 会計士・税理士の転職に専門特化した転職エージェント |
ビズリーチ | CFO候補、社外取締役の求人が多いハイクラス向け |
企業や業界の詳しい情報が知れるのも、転職エージェントを利用するメリットの一つ。転職エージェントが紹介する企業について、直接訪問・人事担当にヒアリングするなどして、内情をきちんと把握しています。そうした情報を事前に確認できるため、転職後のミスマッチを避けられるのです。
転職エージェントを利用すれば、さまざまなサポートが受けられるため、効率的に転職活動が行えます。特に働きながらの転職活動だと、準備をする時間が取れないという場合も少ないでしょう。
転職活動の準備が不十分だと、ミスマッチにつながる可能性は高くなり、貴重な時間を無駄にしています。前述したように、企業・業界の詳しい情報や面接日程の調整、履歴書の添削など、転職活動に役立つサポートが受けられます。
公式サイト:https://cpa.mynavi.jp/
「マイナビ会計士」は会計士・試験合格者・USCPA専門の転職エージェントです。手厚いサポートと質の高い紹介を受けられると評判で、公認会計士がまずは利用を検討するべきエージェントの筆頭となります。
業界に精通したアドバイザーから的確なアドバイスを受けられる点、職務履歴書の添削指導や推薦状の作成、個別の面接対策など徹底したサポートを受けられる点が魅力です。マイナビエージェント本体と連携した豊富な求人があり、独自求人も多いので幅広い選択肢をとれます。
求人傾向としては、コンサルティングファームへの転職実績が高く、経験の少ない若手公認会計士や女性公認会計士の個別の悩みにそった転職支援にも強みがあります。
公式サイト:https://www.jmsc.co.jp/
「MS-Japan」(MS Agent)は管理部門・士業の転職に特化した転職エージェントです。管理部門・士業の登録率・転職相談率No.1と特化型エージェントの中で特に高い実績があります。
業界・職種事情を熟知したアドバイザーが多数在籍している点が特徴で、特化型ならではの質の高いアドバイス・提案が受けられます。求人の質も高く、会計領域では大手転職エージェントにひけをとらない案件を保有しています。
求人傾向としては、一般事業会社の経理・財務などのほか税理士法人・会計事務所への転職にも強みがあります。大手では扱っていない比較的小規模の法人・事務所やベンチャーまで幅広くカバーしているのも特徴です。
公式サイト:https://career.jusnet.co.jp/
「ジャスネットキャリア」は公認会計士・税理士・経理の転職支援に特化した転職エージェントです。業界特化型であるため専門的なアドバイスができる点、独占求人が多い点が強みであり、公認会計士の利用率も高くなっています。
担当者は現場とのコミュニケーションを密にとっているため、現場の意向を反映したミスマッチの少ない提案を受けられます。将来的なキャリアプランの提案力にも定評があるので、自分では考えなかったキャリアの道筋も広がります。
求人傾向としてはコンサルティングファーム・シンクタンク、USCPA保有者向けの求人が豊富ですが、監査法人や会計事務所も万遍なく扱っています。
公式サイト:https://www.career-adv.jp/
「レックスアドバイザーズ」は公認会計士・税理士・経理・財務の転職支援に特化した転職エージェントです。質の高い求人が魅力で、特にシニア・マネージャークラスや将来の幹部候補の転職に強みがあります。長期サポートも可能なのでじっくり腰を据えて転職活動をしたい方にも向いています。
コンサルタントはセミナーや研修会に積極的に参加しているので業界事情や最新動向に詳しく、具体的なアドバイスや応募先の情報収集に大きな利点があります。コンサルタントを指名できるため希望のキャリアに強いコンサルタントに相談するとよいでしょう。
求人傾向としては会計事務所・税理士法人、コンサルティングファームの求人が豊富です。また金融機関・ファンドなど攻めの求人も扱っているため、この領域にチャレンジしたい方にも登録の価値があります。
公式サイト:https://www.bizreach.jp/
「ビズリーチ」はハイクラス向けヘッドハンド型の転職サイトです。ヘッドハンターからくるスカウトをきっかけに主体的な転職活動を進めるのが特徴で、ワンランク上のキャリアを実現したい方や転職市場での価値を知りたいに利用されています。
保有求人の3分の1が年収1,000万円以上の案件で、ハイクラスに特化した転職サイトとしては国内最大級です。無料と有料のプランがあり、有料プランは希望する転職活動の幅に応じて2つのプランが選べます。
求人傾向としては、ミドル層や高度な専門スキルを持つ人向けの求人が多く、コンサルティングファームの求人紹介にも強みがあります。年収アップや重要ポジションでの転職を目指す公認会計士であれば適した求人を紹介してもらえるでしょう。
難関資格の公認会計士は、監査法人・FAS・税理士事務所・一般事業会社など活躍できるフィールドがたくさんあります。特に一般事業会社での需要は今後増える傾向にあるでしょう。
転職活動をする場合には転職エージェント・求人サイト・紹介・異業種交流会に参加して人脈を作るなどの方法があります。より良い転職先を見つけるためにも情報を多方面から集めると良いでしょう。
また、海外案件に強い公認会計士も求められているので、転職活動を優位に進めたいのであればTOEICで高得点の取得やUSCPAの取得もおすすめです。難易度は高いですが弁護士資格を所有できれば希少性を高め、好条件の転職ができます。
転職活動で失敗しないために、きちんと準備をしてから転職活動を始めてくださいね。
edit_note この記事を書いた人
一般事業会社の経理・財務・CFO候補に加え、監査法人・会計事務所への転職支援サービスも充実。転職成功事例や充実したサポート体制をお約束します。
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